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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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598 商業組合を掃除する

 僕らは中央広場近くの裏通りに転移。中央広場で買い食いをしてジェナたちは熱帯号と雪原号とどこかに行った。暴れ足りなかったらしい。熱帯雨林かな。


 さて、ジゼルさんに話しておこう。侍女さんにジゼルさんをスパ棟まで呼んでもらった。すぐ来てくれました。

 応接室で話そう。


「先ほど都に向かう荷馬車隊が襲撃されました」

「えっ」


「襲って来た者は殲滅しておきましたから大丈夫です。遠国の塩商人がこの国の年代物のワインを根こそぎ塩と引き換えに手に入れようとしているそうですが、都の商業組合本部の副組合長が、その遠国の塩商人とつるんでいます。こちらの副組合長もその一味です。塩の荷馬車が2台都に向かいましたので、都に到着してしまうとワインを手に入れる目論見が失敗しますので30人の襲撃隊を組織し、荷馬車を襲わせました」


「副組合長が。なんということを」

「こちらの副組合長は、組合長立会のもと処分しておきました。そこで、組合長、副組合長が不在の場合は、組合はどなたがトップになるのでしょうか」

「うちです」


「それでは組合を掃除して来たいのですが、どなたか一緒に行ってくれませんか」

「支店長に行かせます」


「よろしくお願いします。それと商会も今一度怪しいものがいないか、調べたらどうでしょうか。二人くらいいそうです。今度採用した縫い子候補にはいません。時間が経つといけませんので、これから組合に行きたいと思います」


「はい。すぐ支店長を呼んできます」

 奥さんが出て行き、代わりに支店長さんがやってきた。


「組合の掃除をしたいのですが、お付き合いください」

「もちろん」


 エスポーサに御者をしてもらい、僕らの馬車で出発。近いけど馬車。

 マリアさん、ステファニーさん、リン、支店長さん。

 エリザベスさんもイサベルさんも馬車に乗り込んだ。

 外はブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんだ。

 すぐ組合についた。


 支店長が事務室に入って告げた。

「組合長、副組合長不在のため、規則により本日よりロワール商会が組合長の職務を代行する。まずは帳簿類等を点検する」


「私たちがやりましょう」

 神聖鞭三人組だ。

 支店長さん、自信満々な三人なので受け入れた。

「ここにいる方々に点検を頼んだ。協力するように」

 職員は「えええ」という顔をしている。


 ステファニーさんとエリザベスさん、イサベルさんが点検を始めた。みんな経営のプロフェッショナルだからね。任せておこう。リンも三人の間と事務員さんの間を行ったり来たりして手伝ってくれている。


 僕たちは鼠取りだ。何人かいるね。三人いた。捕獲。マリアさんが退職届を書かせて三人仲良く滅びの草原行き。


 ステファニーさんとエリザベスさん、イサベルさんは帳簿類を点検しながら指導をしている。指導が的確だから、最初は不満があった事務員さんもすぐ真面目に聞くようになった。

 支店長はそれを見て自分より余程業務に精通している。仕事の裏表全てを知っているとびっくりしている。支店長はびっくりすることばかりだな。任せておこう。指導込みで二、三日かかるだろう。


 僕は暇になったので、アカ、マリアさん、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃんでぶらぶら散歩だ。


 アーダが戻って来た。ティランママもティランサンも泉に来ないから飽きてしまったらしい。すぐ僕の服の中に潜って顔だけ出している。


 何事もなくロワール商会に着いた。僕だっていつもトラブルに巻き込まれるわけではない。


 商会に着くとジゼルさんが待っていてすぐ応接室に連れていかれた。

「二人いました。副組合長宛に報告書を書いていました。友達の商会の知り合いということで採用しましたが、よく聞くとさらに知り合いに頼まれたということで、副組合長の縁者でした」

「そうですか。わかってよかったです」


「ちなみに宿舎の生体認証とやらに弾かれた娘です」

 僕らはわかっていたけど、生体認証が優秀だ。そんな機能があったっけ。わからん。


「あとはいないみたいですね」

「いないよ」

 アーダが言っている。アーダがいうなら確かだろう。妖精だからね。

「妖精様でしょうか」

「アーダと言います」

「・・・」


「ではスパ棟に戻っています。夕食はスパ棟でいかがですか。支店長さんといつも現れる侍女さんと一緒に」

「もしよろしければ。あれでも侍女長をやっています。アンヌと申します。ちなみに支店長はヴァンサンです」

「どうぞ。気楽に来てください」

 シン様は出て行った。


 いつも現れると言われた侍女を呼んだ。すぐ来た。ジゼルはため息だ。

「聞いたわね」

「はいー」

「気楽にと言われたわ。どう取ったらいいと思う?」

「それは気楽ですから、普段着でということでしょう」

「そうよね。場違いだったら困るし」

「聞いてきます」


 出て行ってしまった。腰が軽いのはいいのだけど。あれで侍女長なんだけど。大丈夫かしらね。

 すぐ戻ってきた。


「どちらでもいいですけど、せっかくだから正装にしますかと仰っていました」

「どなたに聞いたの?」

「マリアさんです。聞きやすいです」


「そうね。いつもシン様のそばにいるから右腕なんでしょうね」

「あれ、知りませんでしたか?アカ様が正妻、他の成人女性は2号さんですよ。順番は、ええと、マリアさんが筆頭2号さん?」

 どこで仕入れてきたのやら。ほんとかしらね。でも時々正解だったりするから。


「正装にしましょう。支店長にも夕食はシン様のところで正装と言っておいて」

「はい。合点承知の助」

 すぐ飛び出て行った。

 情報収集能力は抜群で、あれがなければいいのだけど、とジゼル。


 夕方、オリメさんとアヤメさんが戻ってきた。

 では支度をしよう。二百人衆を呼んだ。執事と侍女だ。給仕をしてもらおう。オリメさんが、縫い子さんに侍女を経験させたいというので三人にも手伝ってもらうことにした。

 僕らも着替える。みんな人化だ。

 そろそろ来るかな。来たよ。正装している。


「お邪魔します」

「どうぞ。お茶でもと言いたいところですが、夕食にしましょう」


「こちらでございます」

 執事服の精悍な男が案内してくれる。この方は、見たことないと商会のみなさん。


 ホールの奥の重厚な扉を執事さんが開けると、豪華な部屋が現れた。床はピカピカ、テーブルと椅子も普通のものではない。壁面は巨木の絵が描いてある。窓の外は明るい森だ。今夕方だけど明るい。

 天井はさらに大きな樹が描かれていて、根元に美男美女が立っている。その周りを多くの人が取り巻いている。見たことのある人がいる。マリアさんとかステファニーさんとか。ここにいる人全員が描かれているのではないか。すると中央の美男美女はどなただろう。シン様とアカ様か。大人だが。


 シャンデリアが柔らかく室内を照らしている。シャンデリアだけではないだろう。部屋全体が柔らかい光を放っているようだ。

 こんな部屋は見たことはない。王侯貴族の館、都の迎賓館でも足元にも及ばない。


 執事さんの案内で椅子に座った。

 見渡すとみんな、人だ。人型と言った方がいいのか。

「今日はおいでいただきありがとうございます。改めて紹介しておきます。僕の右から、僕のアカ、ジェナ、マリアさん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさん、プリメーロ、プリメーラ、フロランスちゃん、リオンちゃん。それとエリザベスさんとイサベルさん。左から、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃん、アイスマン、ジュビア、リンです。いま来たのがお狐さんと観察ちゃん。僕とアカの周りを飛んでいるのはアーダです。マルティナ、サントスはご承知の通り荷馬車についていますので来ておりません」


「お招きいただきありがとうございます。ロワール商会副会長のジゼルです。主人、会長のホルストは出張中につき失礼します。右が侍女長アンヌ、左が支店長ヴァンサンです。よろしくお願いいたします」

「さ、食事にしましょう」


 執事と侍女が給仕してくれる。王宮でも責任者が軽く務まるだろう。

 縫い子さんも侍女の服をきて、キビキビと働いている。どこの屋敷でも十分侍女としてやっていけるだろう。縫い子さんだが。

 みんな高度なスキルを持った人材だ。これでは我が国以上だと奥さん。


 食事は緊張で何を食べたか覚えていない。美味しかった記憶はある。

 お茶を飲んでお開きになった。執事が扉を開けてくれる。

 シン様達が玄関まで送ってくれた。


「執事、侍女までわずかな時間で用意出来るなんて、信じられないわ。それにシン様の家は敷地以上の広さだわ」

「全くです。どうなっているのでしょうか」

「シン様の国は、神国というそうですからシン様とアカ様は神様なんでしょう。きっとそうですよ」


 お気楽アンヌの言葉にがっくり来るジゼルと支店長であるが、神国というのならそうかも知れないと思い直したジゼルと支店長。それにしてもトンデモ情報収集分析能力だ。ほめていいのか悩むジゼルであった。

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