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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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593 商業組合に入会する (上)

 さて朝です。ロワール商会の塩買い付けの隊商は日の出とともに出発した。

 僕たちは今日はお楽しみの商業組合です。

 朝食後みんなで出かけます。馬車です。楽しいな。ロワール商会の裏口から出て、中央広場を通って商業組合に乗り付けます。


 ティランママが商業組合の人に馬車をとめるところを聞いて裏に回って馬車をとめました。

 バトルホースは2頭立てだけど1頭は馬車から外しておいた。賢いから馬車に繋がっている風をよそおっている。

 さて行こう。

 ゾロゾロと表に回って商業組合に入る。


 ステファニーさんがカウンターに行った。

「商業組合の組合員になりたいんだけど」

「はい。あちらの窓口になります」

 誰も並んでいない。朝早いからか。


「こんにちは」

 聞こえないふりをしているぞ。なんだ、ここは。

 ドンとステファニーさんが窓口のカウンターを叩く。ビシッと音がした。カウンターがひび割れたぞ。


「こんにちは」

 聞こえたようだ。


「何かご用でしょうか」

「商業組合の会員になりたいんですが」


「うちは敷居が高いんですが、屋台の人は屋台組合にどうぞ」

「屋台ではありませんが」


 ジロジロみんなを見ている。感じが悪いね。

「保証金を出せるでしょうか。砂金大袋一袋です」

「へえ。その保証金は抜けたら返してもらえるの」

「もちろん。抜ける人はいませんが」


「何か返す条件があるの?」

「いや、特にありません」

「じゃあ、砂金大袋一袋ね」


 ステファニーさんが砂金大袋を受付担当者に渡した。投げたようにも見える。砂金の大袋のアタックを受けて担当者は倒れてしまった。


「気をつけて扱いな。商業組合の受付が砂金の大袋一つを持てないのか。保証金は支払った。さっさと仕事をしな」

 受付氏はまだ大袋の下だ。


「保証金を受け取って仕事をしないのか。詐欺師か。そこの偉そうに座っているあんた。あんた受付しな」

「私は」

「なんだ。仕事が出来ないというのか」

 ステファニーさんが睨む。

「いえ。そういうわけではなくて」

「どういうわけだ」

「その男が受付係なので」

「受付係が受付不能なら上司がやるべきだろう」


 ステファニーさんが鞭を取り出した。偉そうなことを言っている男の頭上スレスレに鞭が伸び鳴った。

 鞭は黒い炎を噴き出している。派手だ。

「ヒッ」

 男は失神してしまった。もう一度鞭が男の耳元で鳴る。起きた。


「受付しな」

「は、はい」

 砂金のアタックを受けた受付係は気絶してしまった。

 上司が脇を通ってカウンターにやってきた。


「まずは保証金を確認してください」

「それは」

「受け取ったお金を確認するのは商売の基本でしょう。確認して受け取りを発行しなさい」

「は、はい」


 他の人に確認させた。

 渋々受け取りを書いた。こいつら受け取りを書かずにしらばっくれて返金しないつもりじゃないか。


「あんた、財産は?」

「へ?」

「これはあんた個人の受け取りだわ。何かあったらあんたのところに砂金を回収しに行かなくてはならない。財産があるの?」

「へ?」


「組合長に署名してもらってきなさい。それとも今まで保証金はあんた達で分けてしまっていたの?そもそも保証金の制度があるの?」

「そ、それは」

「着服?詐欺だわね。この国ではどういう罪になるのかしら」


「こ、この頃新規受付をしていなくて忘れていました。保証金はありません。お返しします」

 砂金の大袋が帰ってきた。

 すぐステファニーさんが収納した。保証金はこいつらで分けていたに違いない。


 受付でゴタゴタしていると2階から人が降りてきた。

「何をやっている」


「商業組合に加入しに来たのだけど、この人たちに保証金砂金大袋一袋と言われて困っていたところです」

「そんなことはありません。保証金などとってはいません」

「そう。この人の受け取りがあるわ」


 ステファニーさんが砂金の大袋の受け取りを2階から降りてきた人に見せた。

「なんてことをやっている。公になったらお前らは全員死刑だ。穏便に収めてやる。全員首だ。その前に砂金を返せ」


 ステファニーさんが受け取りをひらひらやっている。

「死刑がいいの?砂金を返すの?」


 返したと言いたいところだが砂金の袋は見当たらない。いつもは自分たちがしらばっくれて申込者が泣き寝入りだが、今度はしらばっくれられてしまった。過去のこともほじくり返されて、死刑になるよりかはこの詐欺女に砂金を渡した方が良いと受付係全員で必死に砂金を集めている。事務室から出て行ってどこからか砂金の袋を持って来たりしてやっと大袋一袋になった。


 ステファニーさんが収納してにっこり笑った。

「それじゃこの受け取りは破いてあげる」

 ぶったくりの姐さん、ペテン師の姐さんである。


「2階にきてくれ」

 組合長と書いてある部屋だ。


「すまなかった。まあ儲けたようだから相殺にしてくれ」

 あれ、よく見ているね。組合長さん。


「組合も色々あってな。職員を押し売りしてくる奴らがいて、そいつらは役に立たないから誰も来ない受付係に押し込んでおいた。一掃できた。ありがとう」


「どこかの料亭にここの偉いさんが押し込んだ女性がいて昨日首になりましたよ」

「そうか。立場を利用して色々やる奴がいてな。困っている」

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