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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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571 国境警備隊と行き合い隊長とお話をする

 もう少しで都に着きそうだ。

 都の方面から誰か来る。馬に乗っている。近づいて来た。兵隊のようだ。20騎ほどだ。先頭の男が手を挙げる。止まれの合図だったらしい。止まってゆっくりこちらに近づいて来る。


「おい、何処から来た」

 エスポーサが睨む。

 馬が腰を抜かした。男達は馬から落ちた。

 僕たちはその脇を通って進む。


 男達が剣を抜いた。

「止まれ」


「バーカ、バーカ」

 アーダが煽る。躾が悪いね。何処の子だろうね。


「アーダ。正直に言ってはダメよ」

 マリアさんが教えている。

「本当の事を言われると傷つくことがあるからね」

「アーダ、わかんない」


「何をごちゃごちゃ言っている。止まれと言ったら止まれ」

「やだね。命令される謂れはない」

「こっちにはある。俺たちは国境警備隊だ」

「国境はここじゃないだろう。向こうのほうだよ。早く行ったら」

「怪しいやつだ。不法入国者だろう。捕まえろ」

「やってみます?」

 エスポーサが聞いた。熱帯号と雪原号が低い唸り声を出す。


「隊長、よしておきましょう。そんなことより国境を確認する方が先でしょう」

 トーンダウンしちゃったね。


「国境警備隊の隊長さんですか?」

「そうだ」

「ヴィオレンシア帝国との国境の警備隊の隊員さんから手紙を預かっているが」

「出せ」


「アホー、アホー」

 アーダは考えたらしい。いい子だ。


「出してくれ」

 手紙を渡してやった。

 すぐ読んでいる。至急とか書いてあったからね。


「これは、ーー隊員を助けてもらったようだ。すまなかった。無礼を詫びる」

「いいですよ。それじゃあ」


「待ってくれ。話を聞かせてくれ」

 まあいいか。

 道路脇にテーブルと椅子を出す。

「どうぞ」


 僕とアカの対面に隊長と副隊長が座った。隊員からはどこから出したとの囁き声が聞こえる。


 チルドレンはシートの上で休憩だ。ブランコがチルドレンの前、両脇は熱帯号と雪原号が隊員の方に牙を向けている。後ろはリン。


 僕とアカの脇にエスポーサが薙刀をマリアさんがロングソードを持って立っている。その脇にドラちゃんとドラニちゃんが浮いている。アーダは僕の服の中から顔を出している。


 隊長は何かすれば一瞬で命がなくなるとわかったらしい。顔色が良くない。

 ここまでやる必要はなかったんだけどね。みんな態度が気に入らなかったみたいだ。


「それで国境の話が聞きたいと言うことですか」

「ぜひお願いする」


「ヴィオレンシア帝国は空からの火球の業火で全て焼き尽くされ草原になってしまいました。魔物が跋扈しているから誰も入れないでしょう」

「あの火球はそうだったのか。都で大騒ぎになっている。俺たちはそれで火球が落ちたと思われる国境方面に派遣された」


「国境警備隊は、ヴィオレンシア帝国が無くなり、魔物しかいなくなったので、警備所を閉鎖。警備隊員が谷を越えるところで、吊り橋のロープが切れ、渡橋不能。僕たちが警備隊員を手助けして谷を渡った。警備隊員は駐屯地を放棄。こちらに向かっている」


「ヴィオレンシア帝国は無くなったのでしょうか」

「何もない。人も建物も何もない。領土全て草原になった。滅びの草原と呼ぶが良い」


「どうして火球が落ちてきたのでしょうか。許さないという神の声が聞こえましたが」

「犯罪国家であり、魔物の改造をし、人の改造に手をつけた」


 目の前の美男子、美少女からの威圧感がすごい。押しつぶされそうな隊長と隊員。もしかしたらこの人たちがやったのではないかと思うと、恐怖に体が震える。


「ありがとうございました」

 隊長は椅子から立ち上がり後退りして、隊員と馬と国境方面に逃げていった。馬にまたがる余裕もないのだろう。馬と一緒に走って逃げていった。


「面白かった」

 マリアさんです。


 では出発。街はすぐそこと観察ちゃんが言っています。

 シャワー棟を出して人化してもらう。最初からトラブルになってしまうからね。


 都へは1時間ほどで着いた。

 円形の城壁が取り囲んでいる。直径2キロ程度か。人口は3-4万人くらいか。

 街としてはまずまずの大きさだけど、国に一つの街となると非常に小さいだろう。人口は3-4万人の国ということになる。


 門はあって一応門番はいるけどチェックは無しで出入りしている。余所者は来ないのだろう。


 僕らは止められた。そうだろうね。他の人とまるで様子が違う。

 テッサニア王国名誉国民証を出した。

 門番さんは通してくれた。テッサニア王国名誉国民証がここでも通用するらしいよ。


 ぶらぶらと通りを歩いて行く。火球の話をみんながしている。もう何日も経つけど相当インパクトがあったんだろう。


 広場に出た。屋台がある。ドラちゃんやチルドレンは走って行った。

 ここも支払いは砂金か塩だ。ブランコが掘った塩で払っている。ブランコはニコニコしている。塩の方が歓迎されている。聞いてみよう。


「ここは塩は何処から来るのですか」

「サルメウムだ」


「ヴィオレンシア帝国を通って来るのでしょうか」

「いや、あの国は危ない。テッサニア、コーリスを通って脇にそれて迂回して来るのさ。他の商人も皆そうだ」


「そうですか。塩は他に産地はないのですか?」

「あるにはあるが遠い。運賃がかかりすぎる。ただこの頃サルメウムの塩が枯渇しつつあるらしくて値も上がり心配だ」


「サルメウムで新たな岩塩の鉱脈が発見されましたよ。もう少ししたら豊富に出回ると思います」

「そうか。それは良かった。助かった。ほれ一本おまけだ」


 アーダが食いついた。いつもの事だけどなかなか噛みきれない。羽を一生懸命羽ばたいて肉を引っ張っているがダメそうだ。世界樹からもらった棒を取り出して振った。スパッと肉が切れた。後ろ向きに飛んでいったが少し行ったら引っ張られるように元に戻って来た。僕とアカから余り離れられないらしい。肉を両手に持ってかぶりついている。


「それは物語の妖精のように見えるがなんだい」

「アーダといいます」

「そうかい。どこにでも悪い奴はいるから気をつけることだ」

「ありがとうございます」

 アーダは自分で汚いの飛んでけと言っている。綺麗になった。

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