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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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569 帝国跡地から隣の国に入り兵隊さんに会う

 僕らは警備所を過ぎて隣の国に入った。普通の森がある。あまり帝国と行き来していなかったようだ。細い道しかない。通る人がいなくなるからやがてこの細い道も森に帰るのだろう。

 一泊した。


 朝になり、ここからは、次の通りで行こう。

 僕とアカ、マリアさん、エスポーサ、リン、観察ちゃんとアーダだ。


 ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんは神国の見回りと滅びの草原の見回りに行ってきたいそうだ。


 またジェナとチルドレンも、熱帯号と雪原号と熱帯雨林と雪原の見回りにいくと言っている。


 みんなブランコの遠吠えと火球の説明に行くみたい。

 行ってきてもらおう。


「じゃあみんな、何かあったら呼ぶからね。あとは頼んだよ」

「面白そうになったら呼んでね」

 ステファニーさんが代表して答えて、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさん、ティランママ、ティランサンが転移で帰っていく。ステファニーさん達はティランママとティランサンが送ってくれると言うので頼んだ。


 ブランコ達とジェナ達も転移で出かけた。


 みんな出かけてしまったからね。残ったのは僕とアカ、マリアさん、エスポーサ、リン、観察ちゃんとアーダだ。やる気が起きない。久しぶりに日除を張って、下にシートを敷いて、ゴロゴロだ。


 ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんがいないと寂しいね。ずっと一緒にいたからね。


 キュ、キュと声が聞こえた。ドラちゃんとドラニちゃんが飛んできて小さくなって抱きついてきた。「寂しかったよー」と言っている。

 「僕もだよ。よしよし」


 ブランコが空を駆けてくる。「ただいま。寂しかったよ」と言って抱きついてきた。撫でてやる。尻尾を振っている。ドラちゃんとドラニちゃんはどかされてぷんぷん。でもブランコは大人だからね。すぐドラちゃんとドラニちゃんに譲った。

 ブランコはとてもドラちゃんとドラニちゃんのスピードには敵わないから、離されると転移して追いついて、また離されると転移して追いついてとやって来たのだそうだ。「早いから大変だったよ」と言っている。だいぶ器用になった。尻尾をブンブン振っている。よしよし。


 ブランコ達は神国内だけ見回りをして、滅びの草原はベーベーとバトルホースに任せてきたのだそうだ。そうかい。ありがとうね。

 ジェナ達も戻って来た。


 お昼にしよう。

 誰もいないから日除の下でそのままの格好でお昼だ。

 ほんとに誰もいないな。ヴィオレンシア帝国も人がいたのは帝都の周りだけだった。このへんはそうなのだろうか。


 それはどうでもいいけど、これからの格好はどうするかな。人型か、いつもの形か。人がいたら小さくなってもらって従魔と言い繕う。誤魔化してしまおう。リンが「それなら自分も黒猫になる」と言うのでシャワー棟を出した。すぐ黒猫になった。


 昼寝後、この頃忙しかったからさらにごろごろ。おやつにしてからゆっくり出発だ。


 ブランコは、エスポーサを乗せてご満悦だ。

 リンが僕とアカ、マリアさんを乗せてこちらも嬉しそう。

 ドラちゃんとドラニちゃんはあちこち飛び回っている。

 ジェナとチルドレンは熱帯号と雪原号に分乗している。

 アーダは僕とアカの周りを飛んだり、肩に止まったりしている。

 観察ちゃんはその辺にいるのだろう。


 あれ、お狐さんが観察ちゃんを乗せてやってきた。しばらく一緒にいられなかったから寂しいらしいよ。アカは人型だからね。アカが抱っこしてやる。

 では出発。


 誰もいない。

 この頃色々あったからね。ポクポク歩く。


 前方にテントが見える。誰か野宿しているらしい。こちらを気にしている。逃げようかとどまろうか、思案の最中らしい。せっかくだから話を聞こう。


「こんばんわー」

 近づくこちらを見て踏みとどまったようだ。おかしな連中だが子供と女だけだと思ったらしいよ。

 制服を着ている。兵隊さんのようだ。


「隣にテントを張っていいですか」

「あ、ああ」

 マリアさんとエスポーサでさっさと大きなテントを張った。


 僕は落ちていた石で簡単なかまどを作った。

 ジェナとチルドレンに枯れ木を拾いにいってもらう。

 鍋に水を水筒から入れて、市場で買った野菜を入れて、魔肉も入れる。

 味付けは味噌だ。

 いい匂いだ。


「たくさん作りましたので、いかがですか」

 匂いに釣られて、器を持ってやってきた。向こうはその辺の草を煮たらしいからね。


 7人だね。

 マリアさんが7人の器に僕らが作った魔肉汁を装ってやる。

「美味い」

 一口食べた感想です。

 もちろんジェナとチルドレンはすでに食べています。


「何で味付けしたのかわからないが美味い」

「そうですか。ありがとうございます。遠くで作られた調味料です。こちらにはないと思います」


「そうか。どこからきたのかい」

「ヴィオレンシア帝国のはるか向こうです」


「ヴィオレンシア帝国は炎の壁が出現したと思ったら天から火球が降ってきてあっという間に草原になってしまった。通れたのかい」


「帝都にいたのですが、それより前に出ました。国境を出て森の中にいました」

「そうか。俺たちの交代の前に国境を通ったのか。俺たちは交代したと思ったらすぐ火球だ。帝国の領地は草原になってしまって、魔物が跋扈しているから俺たちは国境警備所を閉鎖して引き上げてきた」


「あの帝国は悪の巣窟のようでした。すぐこちらにきました」

「そうだ。悪の帝国だ。俺たちの国とは国交はない。逃げてくるものは通していたが」


「こちらには攻めてこなかったのですか」

「こっちはこの先に深い谷があり、一度に数人しか渡れない吊り橋があって、軍が渡れない。谷が深いので谷に降りるのも登るのも難しい。それだからこちらには攻めて来なかった。なんでも湖の国を攻めるとかいう噂だった」


「谷間まで少しと思いますが、進出して来なかったのでしょうか」

「ああ、この辺は土地が痩せていて作物は育たない。帝国内もそうだ。帝都の周りだけ必死になって開墾して土を作って作物が作れるようになった。だからここを占領しても意味がない。食料は全て帝都から運ぶ必要があって駐留経費が嵩む。だから昔からの国境がそのままだったんだろう」


「でも木は育っていたよ」

「木は昔から生えている木だけだ。新しく生えることはない。切ってしまえば木はなくなる。だから木を切ると犯罪になる。さっきのように枯れ枝を拾うことは許されている。自分たちで使う分だけだが」


「そうですか。皆さんの食糧はどうしていたのでしょうか」

「谷の向こうはかろうじて作物が育つ。そこから運んできていたのさ」

 兵隊さん、そんなことまで話していいのかね。

「ははは、話しすぎたか。でもすぐわかることだ。それに帝国は無くなってしまった。こちらから攻められることはもうない」


「そうですね。この先に集落はあるのでしょうか」

「ないな」


「都に近づくにつれて地味が豊かになる。この辺りは俺たちの駐留基地があるだけだ。農業をやってやっと自分たちの食糧を賄っている。でもこれで引き上げかもしれないな。俺たちは家族をつれて都に戻る。だれか現地を確認したらもう駐留はないだろう」


「都はなんていう名前でしょうか」

「モンターナだ。やや高地にある。この辺は国に街は一つだ。モンターナが一番大きい。あとは全部合わせてもモンターナと同じくらいだ。国名と都の名前は同じだ。住んでいるのは都とその周りだけだ」


「そうなんですか。帝国も帝都以外何もなかった」

「そうだろう。帝国からこっちは皆同じだ。攻めてこないのもそういう理由がある。帝国から向こうは地味が豊かだ。攻めがいがあるだろうよ」

 暗くなってきたのでそれぞれのテントに入った。


 兵隊さんのテント。

「おかしな連中だな」

「そうだな。本当に帝国から来たのだろうか。子供と女だけだ。身包み剥がされて奴隷か遊郭だろう」

「つれているのがやけに強そうだからそれで手を出せなかったのかもしれないな」

「女も強そうだぞ。それに頭のあたりを飛んでいた妖精のようなのはなんなのだろう。あれでは帝国の連中ならすぐ手に入れようとしたろう」

「あの坊主の周りしか飛んでなかったからな。坊主の周りは強そうなのが固めていた。手は出せないだろう」

 夜は更けて行った。

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