561 従魔と称してブランコとドラちゃん、ドラニちゃん、リン、熱帯号、雪原号を入城させ帝都を行進する
一夜明けて今日はお楽しみの日だ。
「それじゃあ、みんな普段のアカくらいの大きさになってね。ステファニーさんと城門から入ってきてね。僕らは内側で待っているよ」
スパ棟は収納。ステファニーさんがブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、リン、熱帯号、雪原号、チルドレンと城門へ歩いて行った。
僕とアカ。エリザベスさん、マリアさん、エスポーサは宿の部屋に転移。
フロントに行こう。
あ、無視されている。
「もしもし。幼児が4人ほど増えるのですが。それにもしかすると大人が4から6人くらい増えますが。今の部屋で十分です」
「どうぞ」
「従魔と人の追加料金を支払いましょう。奴隷商から巻き上げた、いや支払っていただいた砂金がありますからどうぞ」
砂金中袋を出した。
「もらいすぎです」
それでは砂金小袋だ。押し付けた。しぶしぶ受け取ったぞ。フロントマン。もう人数が増えても何も言えないぞ。えへへへ。
さて城門まで迎えに行こう。
「おい。受け取ってしまったのか」
支配人だ。
「砂金中袋を出されたのを押し返すのがせいぜいです」
「そうか。それもそうだな。しかしもらってしまったらもう何も言えないな。従魔と4から6人くらいだぞ。何人になるかわからん」
「まずかったでしょうか」
「いや、やむをえまい。これ以上の対応は誰にもできまい。何しろ今言ったな。奴隷商から巻き上げたと。そんなことは誰にもできない。お前はよくやった」
城門の内側で待っているとやってきました。ステファニーさんとチルドレンと従魔だ。
門番がびっくりしている。
「それはなんだ」
「可愛いでしょう。従魔です」
「それはーー」
「従魔に関する規則はないでしょう」
「それはそうだが」
「規則に従って仕事をしておけば、何があっても規則のせいです。勝手な判断をしたのならあなたが責めを負うことになります」
「入って良い」
「ありがとうございます」
ステファニーさん一行は僕らと合流。
正規の手続きで入城したので従魔と称してみんなと街を歩ける。楽しいなあ。
ブランコはすぐ大きくなってエスポーサを乗せた。雪原号も熱帯号も大きくなってジェナとチルドレンを乗せた。リンも大きくなって僕とアカ、マリアさんとステファニーさんを乗せた。嬉しそうだ。アーダは僕とアカの周りを飛んでいる。
「ではデモンストレーションと行こう」
ブランコに乗ったエスポーサが先頭。リン、熱帯号、雪原号。殿はドラちゃん。ドラニちゃんは遊軍。
本来ならティランママがバトルホースに乗って先頭だな。
みんな道をあける。どう見ても危ないと思ったらしい。
中央広場に出た。ゆっくり歩いて行く。広場を通過して奴隷商の通りだ。
奴隷商がびっくりして店の外に出て来る。お得意さんの奴隷商も出てきた。手を振ってやる。顔が真っ青だ。
ディミーティスさんと奥さんが店の外に出てきていた。深々とお辞儀をされた。刺青のお礼だろう。温泉宴会も無事に過ごせたからね。
裏通りを通ってもう一度中央広場に出て宿へ。
その前に思いついた。皇帝城の前を通って市場の前を通る。僕は丁寧だから裏口のあたりも通る。闇市場の会長さんが見ていただろう。
宿へ戻ろう。
宿の前でブランコと熱帯号、雪原号、リンはスルスルと小さくなる。
宿に入る。宿の中は凍りついているようだ。
フロントマンは僕の肩のあたりで浮いているドラちゃんとドラニちゃん、アーダを見て、卒倒しそうだぞ。
「戻りました。追加のチルドレンと従魔です」
あっちあっちあっちへ行けとフロントマンが手を振っています。そうですか、それでは部屋に行きましょう。
その前に聞こう。
「もしもし、フロントマンさん。お聞きしたいことがありますが」
「ーーーー」
「馬は連れてきていいのでしょうか」
頷いている。
「厩舎はあるのでしょうか」
また縦に首を振る。
「世話をしてくれる人はいるのでしょうか」
またまた縦に首をふる。
「そうですか。それでは馬と馬に似た動物を連れてきますがよろしく」
首が縦にふられる。
僕は部屋へ。
支配人が這って出てきた。
「行ったか」
「はい。怖かったです」
「よくやった。馬なんて余程金持ちでなくては持っていないぞ。どういう方だ。それに従魔とやら。あれはどう見ても従魔ではない。玄関先でスルスルと小さくなったぞ。なんだかわからん。よくない予感がするな」
「支配人。私もです。天地がひっくり返りそうです」
「ああ。いざという時のために逃げる準備だけはしておけよ。従業員にもそれとなく話しておけ。あれは危ない。どう見ても人ではなかろう」
「私もそう思います」
「このことは誰にも言うなよ。泊めていることは泊めているが規則上、従魔を泊めることは問題がない。俺たちは規則に従っているだけだ。誰か何か言ってきたらすぐ俺を呼べ。いなければ国の規則通りと支配人が言っていたと言って良い」
「わかりました。ありがとうございます」




