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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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551 コーリス王国王都の怪しい宿屋

551 コーリス王国王都の怪しい宿屋

 コーリス王国の王都の近くなので、王都に入って何か買ってからお昼にしよう。あまり人目が多くなる前にみんな人化しよう。街道から外れて森の中にテントを出して人化。さて行きますか。

 森から出て街道に出た。人はたまに用を足すから別に森から出て来ても不思議ではない。街道の人も驚いていない。


 しばらく歩くと城門が見えて来た。やっぱり並ぶんだ。混んでいる。荷車を引いた狩人もたくさんいる。ちゃんと確認してから入れているらしい。僕らはテッサニア王国名誉国民証を出してすんなり入れた。


「おとたん。早く早く」

 ジェナに引っ張られて人の流れていく方に歩いていく。中央広場だろう。広い場所に出た。すぐ屋台だ。支払いは何にしようかな。


「僕、サルメウムの塩をいっぱい持っているよ」

 ブランコが思わぬことを言った。

「穴を掘っている時箱が間に合わなかったから掘っている間いっぱい収納した」

 アイスマンもうんうんと首を振っている。


 ほんとだ。二人の収納にいっぱい入っている。深いところまで掘ったからね。文字通り塩が山ほどある。汚れもない。へえ。じゃあそれで払ってもらおう。皮袋を渡したら収納の中で皮袋に塩を入れるのに苦戦している。思いついたらしい。

「みんなに塩あげる」


 ここで塩を出して収納したりしていては目立つからブランコの収納からみんなに配った。でもまだ山のようにある。

「僕のもお願いします」

 アイスマンから申し出があったのでアイスマンの掘った塩もみんなに配った。


 塩はもちろん、ジェナたちだけでなく、観察ちゃん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさん、ティランママ、ティランサンにも配った。普段使いの塩は使い勝手がいいからね。目立つことなく使える。


 ブランコが塩を皮袋に入れるのをまだ苦戦しているので手伝ってやった。エスポーサがやらせればいいと言っているがブランコにやらせていたのでは日が暮れてしまうよ。


 ブランコは皮袋をもってご機嫌でジェナたちと屋台へ行った。自分の掘った塩が役に立って嬉しいんだね。いい子だ。


 アーダはマリアさんの髪の中。人が多いので隠れているらしい。

 トラブルもなく塩で串焼きを買えたようだ。アーダは急いでジェナのところに行った。食いしん坊だ。

 僕らも買う。この辺は獣肉だがまずまずの味だ。


 アーダはジェナの持つ串焼きの下の方の肉に噛みついている。噛み切れないぞ。頭を振って、全身が振れてしまっている。ジェナはニコニコみている。ジェナが少し手伝った。噛み切れた。


それをみている視線の中に悪い視線がある。普通の人はびっくりという視線だけど、こいつは違うね。捕まえようとしている。金持ちに売れば大金になると思っている。人目があるので今は手は出せない。そうかい。退屈せずにすみそうだ。


 串焼きでお昼にしてぶらぶらと散歩する。時間を潰す。頃合いかと思ったのだろう。悪い奴が近づいて来た。

「お宿をお探しですか。今の時間はもう表通りの宿は塞がっていますよ。少し離れますがいい宿があります。どうですか」

 わかりやすいねえ。面白い。みんなワクワクだね。


「宿が取れなくて困っていたんですよ。ちょうどよかった。案内してもらえますか」

「はいはい。こちらでございます」


 裏通りに入った。さらに奥に行く。裏通りならまだいいが、裏通りの裏通りだよ。誰も歩いていない。ところどころに人が屯している。気がつかないお上りさんのふりだ。


 一軒の宿のようなところに案内された。フロントがあるから宿なんだろう。名前も書かなくていいらしい。すぐ部屋に案内された。汚いねえ。


「ちょっと、おじさん。汚いんだけど」

 ジェナが言った。

「なんだと」


 エスポーサに睨まれた。

「汚いと言っています。他の部屋か、まずは掃除ね」

「そんなこと」

 出来るかと続けたかったようだけど、エスポーサから放出される気配に圧倒されて言葉を飲んだ。

「掃除をしてくれるかしら」


 男が出て行った。ジェナとチルドレンが棒を持って続く。

「ムジンボーケン、ムジンボーケン、ショーコインメツ」

 と呪文を唱えながら。


 しばらくしたら呪文を唱えるジェナたちに後ろから追い立てられるように掃除道具を持って、男が何人か仲間を連れてやって来た。


「しっかり掃除をしなさいね」

 エスポーサに言われて情けない顔をして掃除を始めた。


「わかっているわね。寝具も虫がいそうよ」

 ちゃんと害虫は転移させてあげましょう。掃除をしている人たちの服の中に。

 ボリボリあちこちを掻き始めた。

「ほら、この部屋は悪い虫がたくさんいるわ。全部退治しておいてね」


「時間がかかりそうだから、夕食に行ってこよう」

 お昼が串焼きでお腹が空いているから少し早いが夕食にしよう。

 僕が言ってみんなで部屋を出る。


 部屋の中から声が聞こえる。

「兄貴、こんなことやらされて黙っているんですかい。痒くてしょうがない」

「お前、あの女に逆らえるか」

「何されるかわからねえ」

「だろう。あの周りを飛んでいる奴を手に入れるまで我慢しろ」


「この寝具なんて掃除をしようと思ってもどうにもならんでしょう」

「しょうがない。安物を買ってこい」


「こんなことして実入りはあるんですか」

「あるぞ。お前もみたろう。あの連中の頭の上で飛んでいた妖精のような奴。妖精なんて神話の世界だ。今までいたことはない。あれを捕まえて、妖精と偽って、帝国の闇市場に持ち込んで金持ちに入札させれば金額は鰻登りだ。寝具ぐらい安いものだ。でも一番安いのを買ってこいよ」

「へい。さすが兄貴だ。吝い」


 またまた面白い話を聞いてしまった。帝国の闇市場ね。へえ。帝国はどこにあるのだろうか。あとで聞いてみよう。楽しみだねえ。

 アーダは妖精の偽物にされてプンプン怒っている。

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