543 名誉国民証の授与式、食事会、ダンスパーティー (上)
さていよいよ名誉国民証の授与式、食事会、ダンスパーティーの日です。
楽しいなあ。
離宮でクロエさんと朝食を一緒に食べて、支度します。今日はみんな人化だ。支度はオリメさんとアヤメさんが見てくれます。
僕とアカは神様モードにはなりませんよ。お楽しみが控えていますから。
部屋は引き払った。といっても荷物は何もないので気分だけ。
では表で隊列を組もう。
先頭は騎乗のブランコ、その後にティランママとティランサン、世界樹とクラウン・ティアラ入りの紋章の馬車が続く。僕とアカ。マリアさん、ステファニーさん、リン、ドラちゃん、オリメさん、アヤメさんが乗る。続いて巨樹のマークの馬車に、クロエさん、ジェナ、ドラニちゃん、プリメーロ、プリメーラ、フロランスちゃん、リオンちゃんが乗る。巨樹の馬車の後に騎乗のアイスマン、ジュビア。殿はいつものようにエスポーサ。僕らの馬車の御者は二百人衆各二人。騎乗は6人になった。
クロエさんは自分の馬車で行くと言っていたけど、僕らの隊列をみたら僕らの馬車に乗ることを承知してくれた。クロエさんの馬車では、僕らの馬車と格と迫力が段違いの差があるから御者、馬が可哀想だからね。気を使わないようにジェナたちの馬車に乗ってもらった。
オリメさんとアヤメさんが騎乗用の服を作ってくれたので実戦向き儀仗兵という趣だ。みんな面白がって着ている。腰が寂しいね。ではサーベルを作ろう。作った。飾りだけどね。終わったらさっさと収納の肥やしだ。でも二百人衆の刀と同じ材質。同じように切れる。みんなに渡した。見たことのない見栄えの良いなかなかの隊列になってしまった。
馬車に乗り込む前にジェナが警備員の皆さんに今日が終われば解散と言っている。警備員は頭と尻尾が垂れている。寂しそうだ。一頭一頭ジェナとチルドレンが撫でてお礼とお別れを言っている。
警備員にお給金をあげなくちゃね。タダ働きさせてはいけない。ホワイトシン組だからね。長生きと、強さは変わらないが負けないようにしてやろう。祝福した。アカも祝福したってさ。少し強くなってしまったかもしれない。まあいいか。一生懸命やってくれたから。
ジェナとチルドレンが時々遊びに来ると言っている。喜んでいる。警備員が頭を持ち上げ尻尾を振っている。当面警備は続けるみたいだ。ジェナとチルドレンの遊ぶ場所が増えていいことだ。
使用人さんたちにも祝福して出発だ。
ブランコがシュッパーツと言っている。今日は吠えないけど力がある。切込隊長か。楽しいな。
隊列が軽やかに動き出す。
使用人さんと警備員さんに手を振ってお別れだ。警備員さんはピシッと敬礼している。
ジェナとチルドレンが一生懸命警備員に向かって手を振っている。
すぐスピードアップ。離宮が見えなくなった。
少し寂しいよね。たまには来ようか。
離宮と王都は普通の馬車で30分だからね。僕らはあっというまに城門についた。
門番があたふたしている。それでもブランコが名乗ると通してくれた。傍によけたというのが正しいかもしれない。馬車の紋章を見てあわあわ言っている。見たことはないけど触るな危険という感じがするのだろう。
中央広場に差し掛かる。串焼きのおじさんは元気でやっているかな。
おじさんがこちらをみている。
リンとジェナ、チルドレンが手を振ってやる。
おじさんはあんぐり口を開けている。ぶったくり女とガキがとか口を動かしている。聞こえてしまうんだよね。いいけど。
貴族街に入った。王宮に向かう貴族の馬車が避けてしまう。とても勝ち目はないと思うらしい。バトルホースに乗ったブランコが先頭で、その次がティランママとティランサンだからね。それだけでギブアップだろう。さらに馬車は超高級馬車だ。見知らぬ紋章入りだが、紋章にクラウンとティアラが入っている。危ないから避けるというのが貴族の本能だ。
王宮に着いた。
守衛が仰天している。止めも誰何もしない。
貴族たちの馬車を引く馬が御者が制しても勝手に避けてしまう。こっちはバトルホースだからね。バトルホースに乗っている人も御者も恐ろしいから、避ける。どかしたわけではないが車寄せにすぐ着いてしまった。
貴族が見ていると、御者が一人御者台から降りて、恭しく馬車の扉を開けた。中から子供と大人が降りた。騎乗の将校が馬から降りて馬車から降りた人達の前後左右を守りそのまま中へ入ってしまった。クロエ侍女長もいたような気がした。
貴族は周りの貴族など眼中にない行動にびっくりしたが、馬車の紋章がどこかで見た記憶があるクラウン、ティアラ入りである。関わりにならないほうが無難だと考え見ているだけにした。
馬は馬車と一緒に馬車控えまで勝手に行ってしまった。恐ろしくて誰も手を出せない。
クロエ侍女長が僕らを控え室に案内してくれた。
お楽しみの名誉国民証授与式だよ。
服装は今のままでいいことにしよう。サーベルは収納だ。
用意が出来たようだ。侍従が呼びに来た。
では行こう。大きい会議室かな。神様に礼を取らせるわけにはいかないので王妃が謁見の間ではなく、強引に会議室にしたと観察ちゃんが報告してくれます。
すぐ簡単な挨拶ののち事務的に始まりました。
国王が発言する。
「我が国に多大な貢献のあったシン様、アカ様、その一族に名誉国民の」
「待った。その者は王妃と組んでサルメウムを手引きし、我が国を乗っ取ろうとしている」




