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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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542 湖で遊ぶ

 僕らが離宮に入ると、すぐみなさんが跪く。侍女と女官さんは最初と違って納得して自ら跪いている。

「どうもみなさんお付き合いいただきありがとうございました。湖は綺麗にして来ましたので明日一日湖で遊びましょう。今日来てくれた者は、まだこの国にくる途中でしたので、また元に戻って、明後日あたりにここに着くようにします。今日使った馬車はまた持って行きます」


「ではみなさんまた会いましょう」

 ステファニーさんが挨拶して、オリメさん、アヤメさん、ティランママ、ティランサン、二百人衆が転移して行く。


 僕が立ち寄ったところには立ち寄って、途中転移を繰り返して、プリーミスから山を越えてサルメウムを通ってこの国に来るつもりみたいだ。


 離宮のみなさんが気を使うといけない。

「明日また来ます。朝食後湖に行く用意をしてお待ちくださいね。ではまた明日」


 シン様御一行様が消えた。多分怪物馬も消えているのだろう。

 疲れがどっと出る王妃以下離宮にいる人たち。


「まさに神様ね。今日はもう疲れたわ。食事もいらない。寝ます」

 みんな同様であった。

 死んだように眠ってしまった。


 朝は普通に起きられた。お腹も空いた。朝食がおいしい。


 神国の夜。スパ棟。

『シン様、シン様。女官が手紙を隠しているよ。普段使わないところに慎重に隠している。動かせばわかるように物を置いているよ。手紙は厳重な封をして、それをわざと破って読んだようにして隠しているよ』

『わかった。ありがとう』


 どれどれ、なるほど。動かせばわかるね。原始的だが気づく人はいないだろう。ほんの少し物の重ね方をずらしておいてある。そうかいそうかい。へえ。なるほど。


 では手紙の中身だけ手元に転移させよう。

 ふんふんなるほど。要約するとこうだ。


 時候の挨拶

 塩を高値にしてテッサニア王国を疲弊させる。

 疲弊したところに王妃が塩の財で侵略のために整備した道路を使って強襲し、征服する。

 機は熟した。姉様はシンを離宮から進撃させてほしい。

 では数日のうちに進発するのでよろしく。

 挨拶

  年月日

    署名


 へええ。なるほどね。そうかい。よく偽造したね。

 それでは対策をしよう。


 少し出掛けて対策をして、対策した手紙を封筒の中に転移させる。

 よしよし。上出来。楽しみだ。


 僕たちは起きて食堂へ。

 ジェナとチルドレンも部屋から出て来た。


「おとたん夜中にどっかに行った」

「ちょっとね。一人で出かけて仕掛けの種を仕込んで来た」

「ふうん」

「朝食にしようね」


 ジェナを抱き上げてよしよしする。お腹が空いていたのか、すぐ機嫌が直った。

 二百人衆の給仕で今日も美味しい神国の朝食だ。

「今日はみんなで湖に遊びに行こうね」


 ステファニーさんたちも昨日の夜は神国に戻っていたので、一緒に離宮の玄関前に転移する。

 僕らが着くと離宮の人はみんな支度がしてあってすぐ玄関前に出て来た。


 では出かける前に紹介しよう。

「紹介します。僕がシン、隣がアカ、マリアさん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさん、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃん、ティランママ、ティランサン、アイスマン、ジュビア、リン、ジェナ、プリメーロ、プリメーラ、フロランスちゃん、リオンちゃんです」

「みんなはクロエさんは知っているね。隣がオフェリア王妃、王子、王女。後は侍女と女官さん。では行こう」

 湖のほとりに転移した。


「まあ」

 王妃様が声を上げた。

 目の前には朝の光に照らされた美しい湖があった。

 魔物の気配もない。朝の清浄なそよ風が湖を渡っているだけだ。


 王妃の目に涙が滲む。

「これで我が国は救われる。シン様。ありがとうございました」

 みんな平伏してしまった。


「どうぞ顔をあげてください。今日は一日楽しみましょう」

 湖の上に例の四角に三角をくっつけてウキをつけた船を二艘出す。

「どうぞみなさん乗ってください」

 みんな乗った。

 船頭さんは、エスポーサとティランママだ。少し沖に出る。


 湖の水は澄んでいて、泳ぐ魚が見える。みんな歓声を上げた。

 ジェナたちは魚を追って船の上を右に行ったり左に行ったり、前、後ろと大変忙しい。神国の魚のように進化?していないし、慣れていないから、近づくと逃げる。追いかけっこが楽しそうだ。

 船で湖を一回りして、岸に上がった。


 シャワー棟を出しておく。要はトイレなんだけどね。簡易トイレと違って室内だから目隠しもいらない。王妃さんも次女さんも女官さんも安心して利用できる。


 次はキャンプだよ。泊まらないけどね。


 人数が多いからかまどを作ろう。みんなで石を拾ってかまどを作った。王妃さんもクロエさんも、王子、王女も手伝った。


 魔物の気配がないけど念の為、ジェナとチルドレン、アイスマン、ジュビアがついて侍女さんや女官さんたちが少し山の中に入って枯れ枝を集めて来た。ジェナとチルドレンは半分以上遊びだ。


 鍋と食材をリンが出して、火を焚いて料理だ。料理といっても鍋に食材を入れただけだ。

 王子、王女が楽しそうに見ている。こういう経験は初めてだろう。

 もう少し楽しませてやろう。


 オリメさんとアヤメさんに頼んで王子、王女と一緒に焚き火をしてもらった。

 リンが焚き火の周りに肉と野菜を刺した串を刺して行く。


 ブランコとティランサンが腰掛けられるような石を集めて来て焚き火の周りに椅子がわりに置いた。僕らは地べたでいいけど、王妃様たちには石に腰かけてもらおう。


 ステファニーさんが、もう串は焼けたんじゃないと串に手を出したが、リンにまだですと手を叩かれている。みんな笑った。王妃さんも、王子、王女も屈託なく一緒に笑っている。


 懲りずに鍋はもういいんじゃないかとステファニーさん。

「そうですね。ではよそってください」

 リンに言われてお玉を渡されたステファニーさん。器はマリアさんが配った。


 王妃がお願いしますとステファニーさんに器を出す。

 ううと言いながらステファニーさんがよそる。ティランサンがかわりましょうかとリンに言ったが、たまにはやってもらいましょうと却下された。


 結局ステファニーさんがみんなによそった。

「ステファニーもご苦労様。食べましょう」

 アカが言ってみんなで食べる。


 結局王妃さん達も石に座らずみんなと一緒に火の周りに座った。

 ステファニーさんは串を回転させている。

 王子が聞いた。

「何しているの」

「火の当たってない方は焼けないだろう。坊主、自分の前の串を回転させてみろ」

「はい」

「返事がいいな。そうだ。そうやって回せば満遍なく焼ける。まだ食べるなよ。リンに手を叩かれる」

 ステファニーさんが、王子を坊主呼ばわりしてかまっている。王子も嬉しそうだ。


 王子が王妃に向かって

「母上、美味しい。いつも食べている食事より美味しい。あったかい」

 器を持ってニコニコしている。王女も「美味しい」

「そうね。王宮では毒味とか色々あって調理してから時間が経っているからね」

「そっかあ。湖ではいいの?」

「今日はシン様の料理だからね。普通はそうもいかない」

 王子と王女ががっかりしている。

 マリアさんが、

「でも、廊下もないから温かいものが食べられるかも」

「そうね。そうかも」

「母上、また来よう」


「坊主、串が焼けたぞ」

 ステファニーさんは言う前から食べている。みんなに見られる。

「ど、毒味だよ」


「焼けたようです。食べましょう」

 王妃が言って王子と王女も串焼きに手を出した。

 串焼きも美味しかった。


 食事が終わって食器や鍋はリンが汚れ飛んでけで綺麗にして収納した。

 午後はジェナ達は船に乗ってお昼寝だ。日除を張ってやろう。


 侍女や女官さんは王子、王女と一緒に船に乗ったり、散策したりしている。ステファニーさんはどうしたわけか、王子に懐かれて一緒だ。


 王妃さんにアロガンの手紙偽造のことを話しておいた。隠し場所には触らないように言っておいた。楽しみだね。

 おやつをして離宮に一度戻り、王妃たちは馬車で王宮に帰って行った。クロエさんは残った。


 翌朝、今日は何をしようか。思いついた。

 離宮の使用人さんたちを一日慰労しよう。

 ベントーを作ってもらった。


 では行こう。留守番は観察ちゃんだ。警備員がいるから誰も入ってこられないし全員で行く。

 湖に転移して、昨日と同じ。のんびり一日遊んだ。王妃と一緒に王妃の実家から来たから湖のことはよく知らなかったらしい。綺麗な湖でびっくりしていた。


 食事会の前日に馬車がついた。

 サルメウムに寄ってロッカさんにも会って来たそうだ。面白いことになっていると教わって来たらしいよ。楽しそうだ。

 もちろん今日も湖でみんなで遊びました。

 クロエさんは二日間湖に付き合ってくれた。

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