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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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30/236

530 サルメウムで落盤があり鉱夫を救助する

 サルメウムの門前でトラブルが解決したと思ったら轟音と地響きがして、すぐ半鐘が乱打される。

「落磐だ」

 もう一度轟音と地響きがした。

「大きい」


 門番も含め全員が大慌てで街の中に走って行く。塩商人も走って行く。街の中心の坑口へ向かっているのだろう。


 門には誰もいなくなった。

 それでは都市に入ろう。


 観察ちゃんが鉱夫が全員閉じ込められたと教えてくれます。

『坑道から出て来ていいよ』

『わかったー』

 転移して来た。


『シン様、シン様。あのね。少し離れたところから掘ると全員助けられるの』

『よく見て来たね。でも危ないところに行くんじゃないよ』

 ヨシヨシしてやる。喜んでいる。

 効き目がないとアカがおっしゃる。


 濛々と砂埃が噴き出してくる坑口についた。

「ダメだ。坑口から潰れている。掘り直している間に食料、空気がなくなってしまう」

 さっきの奥から出て来た男だ。偉い人のようだ。


「手伝いましょうか」

 さっき居なかった男から声が飛ぶ。

「素人が、それも子供が口を出すな」


「待て。今はどんな手助けでも必要だ。すまないが助けてくれ」

「穴を掘る道具を貸してください」

「おい。貸してやれ」


 ツルハシが差し出された。僕が片手で振ってみる。

 ブンと振ると土に柄の付け根のところまで深々と刺さる。柄を持ち上げると柄が折れた。

「軟い柄だ」


「ツルハシ、スコップ。大きい土を入れる箱、箱を釣り上げるロープを貸してください」

 さっき文句をいった男と何人かが取りに行ってすぐ持って来た。


「どうするんだ」

「ほかから穴を掘って、坑道につなげます。人一人通れる穴です。ツルハシの柄はいりません。柄がついていると邪魔です」

 僕が柄を折った。みんな黙っている。


「うまく坑道につなげたら後は皆さんで救出してください」

「わかった」


「じゃあ、みんな行くよ」

 観察ちゃんがここがいいという地点についた。


 責任者と鉱夫がついてくる。坑道の入り口を掘っていたのでは到底間に合わないと見切りをつけたのだろう。

 鉱夫の家族も駆けつけた。


「ブランコ、アイスマン。交代で穴掘りだ。穴の広さは、自分と大きい土を入れる箱が通れるくらい、ツルハシとスコップが使えるくらいでいい。掘ったら箱に土をいれ、上で引っ張り上げる。エスポーサとジュビアで引っ張り上げてくれ」


 ブランコが箱を置いて自分と箱の周りに円を描いた。その中を柄がないツルハシの金属部分をもって縦に振り下ろして掘っていく。土が貯まるとスコップで箱にいれ、上で引き上げる。すぐに体が地面の下になった。と同時に石になった。岩の層になったらしい。


 お構いなしにどんどん掘り下げるブランコ、鉱夫が何人かかっても引き上げられない岩が入った箱を丈夫な太く重いロープを使い女性が一人で軽々引き上げている。それを見た責任者。もしかするとと思ったらしい。


「おい。ツルハシ、スコップの替えをもってこい。櫓を組め。それから掘り出した土を片付けろ。箱をいくつか持って来い。ロープが足りなくなるだろう。ロープも持ってこい」

 見ていた男達が慌てて走ってツルハシ、スコップを担げるだけ担いで、棒、箱、ロープも持って来た。


「これを使ってくれ」

「ありがとうございます」

 男達が櫓を組んだ。


「怪力姐さん、櫓の上で箱を引っ張り上げてくれ。地面まで引き上げてくれれば俺たちが横に引っ張るので、次の箱を下ろしてくれ」

「あら。ありがとう」

 エスポーサは怪力姐さんになってしまった。


 30分ほどしたらブランコが壁をポンポンと交互に蹴って上がってきた。アイスマンが交代でツルハシとスコップを持って下に飛び降りた。


 箱を引っ張り上げる担当もジュビアに変わった。こちらも軽々と岩の入った箱を引き上げる。鉱夫は信じられないという顔をしている。ジュビアも怪力姐さんになってしまった。


 ブランコは余裕だが持ってきたツルハシは先が丸くなっていた。ツルハシを交換しに来たらしい。替えのツルハシと交換する。先が丸くなったツルハシは鉱夫がすぐ先を全力で研ぎ出す。疲れたらすぐ交代だ。あっという間に研ぎ上がる。


 アイスマンが掘った土が白っぽくなって来た。

「岩塩だ」

 誰かが呟く。

 すぐ真っ白になった。


 30分づつ掘って、交代を繰り返して2時間ほど掘った。

 下から歓声が聞こえた。


 結局最初と最後の30分くらいを除いて全て岩塩であった。

 アイスマンが上がってくる。


「ロープを下ろして引き上げてください」

「わかった。全員呼んでこい。坑道につながった。引き上げると言え」

 男がかけていく。すぐ全員集まった。


「この方々のお陰で坑道につながった。一人下へ降りて説明、一人ずつ体にロープを巻きつけて櫓の上から引き上げろ。坑道の状況は最初引き上げた男から聞く。素掘りだ。崩れる前に全員引き上げる。それに空気は澱む。急げ」

 容易には崩れないけど黙っていよう。


 降り始めた男がこれは崩れないと言って降りていった。

 最初の男が引き上げられてきた。


「音がしたので全員集まった。埋まったものはいない。助かった」

 喜びの声が聞こえる。次から次へ引き上げられた。半日ほどして全員引き上げられた。


「すまない。全員無事に助かった。岩塩も発見してもらった」

「ありがとうございました」

 男たちの声が響く。家族だろう、泣いている。


「坑道の手入れが悪かった。古いところから崩れていくだろう。儲けを優先するとこうなる。全員死ぬはずだった。これからは安全を優先し、むやみに犯罪人を作ってはならない」

「承知しました。心に刻んで御心に沿うようにいたします」

「それではこれで」


「お待ち下さい。お礼がまだです」

「お礼はご家族の笑顔です。十分いただきました」

 泣いていたけどね。


「私は鉱山監督人頭のロッカと言います。お名前をお聞かせください。せめて塩をお持ちください」

「シンといいます。塩は持っていますのでいりません。微罪でタダ働きの坑夫にされた人の補償に使ってください」


「そうですか。これからどちらへ」

「この国を通り抜けて隣の国へ行ってみたいと思います」


「手紙を書くのでしばらくお待ちください。おい、塩商人の荷車五台に積めるだけ塩を積め」

 鉱山監督人頭というのは偉い人だったんだね。観察ちゃんがこの国のトップと言っています。なるほど、さすが鉱山の国だ。監督がえらいのね。

 鉱夫たちが塩商人の荷車に塩を積んだ。


 ロッカが戻ってきた。手紙を持っている。

「我が国は近年評判が悪い。我が国の名誉国民では困るだろう。この手紙を隣の国の王宮に届けてくれ。俺の親戚がいる。名誉国民にしてくれるはずだ。そうすればこの先旅が楽だ」

「そうですか。それは有り難い」


「塩は、塩商人に運ばせる。王宮に届けてくれ。賂というわけではないが挨拶だ」

 男が笑う。みんな笑顔だ。今度はここも良くなるかも知れないね。


「お礼に僕の関係者の印を差し上げましょう」

 アカがコップを差し出す。

 ロッカさんが飲んだ。体が光る。

 次は線指輪だ。指にすると体が光る。

 線指輪の一応の説明をした。


 僕たちは男たちと家族に送られて塩商人と一緒に国境を目指す。

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