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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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751 牧場の街 (上)

「砂金取りのおじさんも行ったし、僕らも行こうか」

「はい。この先の村はどうしましょうか」

 マリアさんが心配している。


「頑固な人に砂金泥棒と疑われると面倒だね」

「おとたん、ドラお姉ちゃんに乗って行こう」

「そうしよう」

 テントなどを収納して、すぐドラちゃんが大きくなり、みんなで乗って村の上を通りすぎた。


 村が見えなくなってから道に降りた。

「おかたん、おやつ」

 ジェナだけでなくチルドレンも期待しているようだ。


「まだよ。朝食べたばかりでしょう」

 マリアさんは甘えさせるだけではない。

「ううん」

「はい、歩く。体を動かさなければおやつも美味しくないよ」

「うん」


 ジェナはおやつをあきらめた。が、歩くのはよして熱帯号に乗ってしまった。熱帯号は嬉しそうだからまあいいけど。チルドレンも熱帯号と雪原号に分乗した。道が狭いからいつもの荷車は使えない。


 僕とアカとマリアさんはブランコに乗った。アカは柴犬だからブランコはそう大きくならなくても十分乗れる。


「では行こう」

 ドラちゃんとドラニちゃんは周りを飛んでいる。アーダはジェナのところに行ったり、僕らのところに来たり、ドラちゃん達に乗ったり忙しい。


 しばらく進んだが何もない。川幅は段々広くなってきて河原もあるようになって来た。ジェナ達は河原に降りて遊び出した。歩いてばかりでは飽きるよね。僕らも河原に降りよう。少しみんなで遊んで今度はおやつだ。


「おかたん、おやつ」

「はいはい、おやつにしましょうね」


 アカは人化した。神様だからね。服も人化に合わせて作っているからその場で人化できる。

 熱帯号と雪原号は転移して人化して来た。

 ジュビアがシートを出しておやつも出す。


 周辺を見に行っていたブランコとドラちゃん、ドラニちゃんが戻ってきた。


 僕に抱きついて来て、ドラちゃんが教えてくれる。

「この先に街があったよ。あまり大きくないけど街だよ。人も多かった。街から先の道は荷車が通れるよ」


『シン様、シン様。街の郊外でメーメーを飼っているよ』

 観察ちゃんも教えてくれる。


『それは珍しいね。今までメーメーを飼っているのを見たことはないな』

『魔物がいないから飼っているみたいだよ』

『そうか。ありがとう。あまり先に行ってはダメだよ。何があるかわからないからね』

『はーい』


 観察ちゃんのいい返事だ。そういう時は危ない。いうことを聞き流していることが多い。いいか、強くなったから。

「またそうやって甘やかすから図に乗るんです」

「あれ、聞こえた?」

「独り言が多いからね」


「おとたん、川に魚がいるよ」

「珍しいね。ということは川にも魔物がいないのだろうね」

「そうみたいだよ」


「それじゃ、おやつが終わったらみんな人化しようね。魔物を見慣れていないとドラゴン、ブランコ、熱帯号や雪原号を見たら騒ぎになってしまう」

 シャワー棟を出して人化してもらった。


「片付けたら街まで駆け足で行こう。お昼には間に合うかな?」

『間に合うよ』

 観察ちゃんが間に合うというから大丈夫だろう。


 片付けて道に上がってみんなで駆け足だ。

 昼少し前に街が見えるところまで到着した。


「みんな止まって。街が近いからリュックを背負ってね。荷物がないとおかしいから。それからアーダはアーダの部屋にいてね」

「リュックを背負ったね。ここから歩いていくよ」


 てくてくと歩いていく。30分ほど歩いて街の入り口に着いた。街は木の柵で囲まれている。動物避けか。門があるけど木戸のようだ。門番はいない。誰も通らないからだろう。


 門を通過して少し歩いて広場に出た。ジェナとチルドレンは屋台がないか走って行った。


 広場に面して役所のような建物があった。横目で眺めて通り過ぎようとすると役所の守衛に呼び止められた。


「どこから来た」

「西」


「それはそうだが西には街がない。集落があるだけだ。お前達は集落の奴には見えない」

「集落のずっと西だよ」


「遠くから来たのか」

「そうだよ。一本道だから集落の人でなければその先から来るより他はないよ」


「それはそうだな。何しに来た」

「東の方に行ってみようと思って旅をしている」


「東のどこにいくのか」

「東には行ったことがないから地名もわからないよ」

「まあいいだろう。通れ」


「ところでおじさん。お昼がまだなのだけど、広場で何も売っていないようだけどなんで?」

「ここはよそ者はほとんど来ない。祭りの時以外は屋台はない」

「え、そうなの。では食堂はあるの?」

「それはある。数軒はある」


「泊まるところは?」

「商人宿はあるが」

「あるが?」

「旅人を泊める宿ではない」

「ええ、困ったな」


「野宿して来たんだろう。街を出てテントを張ればいい」

「自由に張っていいの?」

「街の外は誰のものでもない。街は関係しない」

「そう」


「おとたん。広場に串焼きない」

 ジェナとチルドレンは広場を回って来て何も売っていなかったのでがっかりだ。

「そうだね。その代わり食堂があると言うよ」


『シン様、シン様。食堂は汚いの。まずそうなの』

『それは弱ったな』


「外に行きましょう」

 マリアさんの意見だ。確かに広場に串焼きがなく、食堂が汚く、宿がないなら外だな。

「そうしよう」


 ジェナとチルドレンが走っていく。もちろんアイスマンとジュビアがついていく。


 東の門から街の外に出る。すこし先に進んだところにテントを張る。街からテントの出入り口が見えないよう街を背にした。


 テントの前にテーブルを出して、ジュビアが収納から食事を出して並べてくれる。

 アーダも出て来てみんなで「いただきます」だ。


『シン様、シン様。さっきの守衛が人を集めているよ。お金を持っていそうだから、夜、襲うんだって。遠くから来た余所者だから街を出てしまえば襲っても問題ないと言っているよ』


「シン様、今潰して来ましょうか」

「ジュビア、僕らを襲う守衛さんが言っていたね「街の外は誰のものでもない。街は関係しない」と。だから街から出て来たらにしよう。そしたらこちらが何をしても街は関係しないと言うことだ」


 昼食後の昼寝をしてジェナたちは牧場を見に行った。東を向いて道を挟んで右が川、左が牧場だ。


 僕たちも牧場に行ってみる。


 ジェナたちは牧場の人に中に入れてもらったようだ。メーメーと遊んでいる。


「こんにちは。子供がすみません」

「坊主も子供だろう。あの子たちはメーメーが好きなようだ。メーメーも寄って来たからいいさ」


「メーメーを飼っているところを初めて見ました」

「この辺には魔物がいないし、大型の獣もいない。だからメーメーを飼える」


「毛をとるんですか?」

「そうだ。どこもメーメーは飼っていないから高値で売れる」


「それで買い付ける人のための商人宿があるんだ」

「まあそうなんだけどね。一度泊まれば懲りてここに来てテントを張って泊まっている。宿は汚い」


「どうして商人宿がそんなに汚いの?」

「連中は儲けのことしか考えていない」


「綺麗にして泊まって貰えば儲かるのに」

「金をかけるのが嫌なんだろう」


「ふうん。メーメーの毛は誰が売るの」

「この牧場の管理人だ。商人宿の持ち主でもある。管理人は毛が安くしか売れないと言って俺たちにはほとんど回ってこない」


「安いと誤魔化しているんだ」

「そうだ。俺たちはここに泊まる商人と仲がいい。商人が買い付け値段を教えてくれた。牧場管理人が言う値段との差額は牧場主が横領だ」


「横領って、牧場の持ち主は誰なの?」

「この先の大きな街の領主だ。牧場管理人は領主に雇われている。領主へ売り上げを納めている。牧場管理人は売り上げを少なく見せかけて横領している」


「守衛は?」

「ああ、管理人の事務所の守衛か。牧場管理人の一味だ。横領がばれないように街の人を監視している」


「それで商人宿に僕らを泊めたくないんだ」

「そうだ。街の中によそ者は泊めたくない。でも商人宿は汚いから結局一度泊まれば次回からテントを持参して来てこっちに来てしまう。面白くないから色々話をしてくれる」


「毛はどこにいくの?」

「領主の街だ。そこで領主一族が加工している」


「直接領主が商人と取引すればいいのに」

「昔領主と一緒になって苦労して牧場を開いた人に報いる形で管理人をしてもらって管理人に商人へ売る権利を与えたのが始まりで、その子孫が管理人を引き継いでいる」


「そうなんだ。領主は知っているの?」

「権利があると監査ははねつけている。領主は何も知らないはずだ」

「そうか。よくわかったよ。ありがとう」

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