表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

246/343

746 ラピスラズリの村 (3)

 僕らは村から出て少し街の方に戻って道の脇にテントを張った。


「ドラちゃん、ドラニちゃん、空からどこに鉱山があるか探してきて」

「行ってきまーす」

 小さなドラゴンになって観察ちゃんを乗せて飛んで行った。もちろん下からは見えなくしている。


「マリアさん、ジュビア。村の人が見ているといけないから今日は外で材料から汁物を作りますか」

「そうしましょう」


 石を集めてかまどを作って鍋をかけて煮始める。材料はあっても変ではない青物だ。調味料は手持ちでも不思議ではないだろう。


 ドラちゃんたちが帰って来た。

「シン様、石はいっぱいあったよ。浅いとこだけ掘っても出てくる」

「そうかい。ありがとうね」


 採掘現場は村の裏山の谷筋ですぐ高い山になって山の方からは誰も来られない。村を通る道からも見えないそうだ。


 良い匂いがしてきた。村の方から子供が見ている。手招きしたら三人ほどやってきた。


「ちょうど出来た。お食べ」

 マリアさんがよそってやる。

「うめえ」

 子供は一心不乱に食べた。


「子供はまだいるかい?」

「うん」

「呼んできてもいいよ」

 子供は駆けて行った。


 すぐ10数人子供がやってきた。親が何人かついてきた。親に聞いてみる。

「汁物を作ったのでいかがですか」

「いや」

 でも食べたそうだ。


「遠慮なさらずにどうぞ」

「すみません」

 親と子供に汁物を振る舞った。

「こんなに美味しいものは食べたことはありません」


「野菜は作っていないのですか?」

「恥ずかしながらみんなで石の採掘に行き、とても畑仕事まで手が回りません。青物は山菜のみです。石も安く食べていくので精一杯です」


「もし良ければですが、村の皆さんにこの汁物を差し上げたいと思います。呼んできてくれますか。器とフォークを持参してもらえると助かります」

「はい。すぐ呼んできます」


 かまどをもう一つ作って、少しちょいちょいと鍋の時間を進めて汁物を二つの大鍋いっぱいに作った。


 村から器とフォークを持って大人子供がやって来た。

「並んで器を出して下さい。マリアさんとジュビアがよそります」


 フォディオさんもやって来た。

「シン様、すまない」

「いいえ。汁物ですが中に芋が入っています。腹持ちはいいと思います。たくさんありますのでどうぞ」


 マリアさんとジュビアが次々と出される器に装ってやる。みんな黙々と食べた。


 二巡目になってやっと言葉が出た。

「美味しい」

 マリアさんとジュビアがニコニコしている。

「それはよかったです。作り甲斐がありました」


「フォディオさん、この中に入っている芋は、収量も多く、しかも美味しいです。それに何より丈夫で手がかからない芋です。よかったら明日種芋を差し上げます」

「何から何まですまない。畑仕事をする暇もなく大人全員で石を採掘していた。石は安くカツカツの生活をしていた。こんな美味い汁物は食べたことがない」

「これから良くなるでしょう」


 村人みんなに満腹になるまで食べてもらって、村人は村に戻って行った。


「シン、お爺さんは来なかったわ」

「そうだな。面白くないのだろうね」


「シン様、今夜あたりでしょうか」

「多分。アイスマンとジュビアは人化を解いて見張っていてくれるか。そう遅くならずに動き出すと思う」

「承知しました」

「悪いね」

「とんでもないです。それに暗くなってみんなが寝静まったらすぐ動き出すと思います」


 日が落ちて一時間ほど経った頃、村から老人が出て来た。今日は月が出ていて足元には困らない。シンたちのテントの脇をそっと通って街の方面に進む。


 道の先に何かいる。老人が気がついた。月の光に照らされて白い牙が輝いている。低い唸り声が聞こえる。老人はジリジリと後ろに下がった。ドンと何かにぶつかった。思わず振り向くとすぐそばに大きな魔物がいた。牙がある。突き刺されそうだ。さっきまでいなかった。


「おや、こんな夜中にどちらに行くのですか。道を間違えましたか。村にお送りしましょう」

 僕は親切だから村まで送ってやろう。


「どうぞ。ご存じかどうか知りませんがあちらが村の方向です」

 魔物は消えていたが得体の知れない恐怖から老人はふらふらとシンの後をついて村に向かった。


 村外れにマリアさんと村人が何人か立っていた。


 フォディオが声をかける。

「親父、夜中にどこに行く」

「うるさい。このままじゃ旦那の店と取引が終わりになってしまう。旦那にお前たちとこのよそ者のことを言いつけてやる」


 身を翻して走り出そうとしたが村人に取り押さえられた。

「縛ってうちに転がしとけ」


「シン様、すまなかった。危ないところだった」

「いいえ。夜中に道を間違えたようなので村までご案内しました」

 フォディオがクスッと笑った。

「確かに道を間違えた」


「明日朝、若者二人がラシード隊の皆さんと戻ってくるそうですよ。今日はもう寝ましょう」

「今日はありがとうございました。明日が楽しみです」


 フォディオはどうやってシン様に連絡が来たのかわからなかったがわからないことが多いので家に戻り寝てしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ