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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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742 ディースを出発しラシード隊に会う

 ディースの門を出て、ぐるっと回って門の反対側に出て東を目指す。


『シン様、シン様。シン様の後ろから馬に乗って5人ついて行くよ』

 後方の観察ちゃんが教えてくれます。

『ありがとう』


 さて、どうしようか。とりあえず、ドラちゃん、ドラニちゃん、アイスマン、ジュビアには転移して人化を解いてきてもらった。


 僕はアカを抱えてマリアさんと大きくなったブランコに乗る。ジェナとチルドレンは熱帯号と雪原号に分乗だ。ドラちゃんとドラニちゃんは僕らの周りを飛んでいる。


「後ろの人たちと等間隔で進もう」

 ディースが見えなくなったら後ろの人たちがスピードアップした。僕たちもスピードアップ。


「おい、追いつけないぞ。急げば向こうも急ぐ。間隔は同じだ」

「くそ、気付かれたか」

「ディースを出たときは、小型の従魔2頭だったが今は違うぞ。どうなっているんだ」

「わからねえ。きりがない。一気に追いつめるぞ。いくぞ」

 馬に鞭をくれた5人。馬はトップスピードだ。


「へえ。がんばるね」

 もちろん僕らも後ろの人と同じ速度だ。


 馬の速度が落ちてきた。普通の馬はトップスピードで5分も走れば限界だ。


「だめだ、追いつけねえ。馬が潰れる。何もいただかないで馬が潰れたら丸損だ」

「休もう。ゆっくり行って野宿したところを襲うほかはないだろう」


 少し歩いて道端に止まって馬を休ませる。憎いことに相手も道端で休み始めた。楽しそうな笑い声が聞こえるようだ。


「くそ、面白くねえ」

「まったくだ」


「さて先に行こうか」

 僕らは出発。

 後ろの人は馬が動けないだろう。


「おい、連中が先に行ってしまうぞ」

「こっちは馬を休ませなければ馬が潰れる」

「連中は馬より強いのか」

「これでは追いつけない」


「夕方まで休んで追いかけるか」

「それともあきらめるか」


「やむを得まい。あきらめよう」

「あの妖精を捕まえれば大金が手に入ったのに」

「誰も見たことのない妖精をつれているんだ。特殊なやつらだろう。おれたちが敵わないのも不思議ではない」

「そうだな」


『シン様、シン様。追い剥ぎさんはあきらめたようだよ』

『わかった。ありがとう』


「あきらめたみたいね」

「馬ではブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、熱帯号、雪原号に追いつくのはどだい無理な話だ」


 先に行こう。乾燥高原地帯だね。ほとんど砂漠だ。何組もの隊商とすれ違いながら六日歩いたら街が見えた。みんなには人化してもらった。アカとブランコはそのままだ。


 荷車を出して、ジェナとチルドレンが乗ってアイスマンが引く。僕とアカとマリアさんはもちろんブランコに乗る。


 街の中に入る。周りは囲まれていたが特に何も言われず街に入れた。門はしっかりあり門番もいたので夜は閉じるのだろう。


 この街が山の方へ進む道と山裾を進む道の分岐点らしい。追分の宿場街というところか。


 ほとんど隊商宿で出来上がっている街のようだ。市場もあることはあるが小さい。


 ディースからこのかた大きな街はなかった。僕らで六日だから隊商では多分二週間くらいかかってしまうかもしれない。十日は必ずかかるだろう。


 隊商宿をのぞいて歩いていると、中心に近い隊商宿でベーベーが何頭もこっちを見てベーベー言っている。見たことのある顔だ。

 マリアさんも気がついた。


「あら、ラシードさんのところのベーベーだわ」

 ジェナとチルドレンが走っていってベーベーにポンと飛び乗ったりして遊び出した。ベーベーも機嫌良くベーベー言っている。


 何事かと男たちが出て来た。

「なんだガキ、遊ぶんじゃねえ」

「すみませんね。知り合いのベーベーだったものですから」


「お前らベーベーの顔がわかるのか」

「はい。ラシードさんのところのベーベーですよね」

「ああそうだ。知り合いか」

「はい」


「へえ。ベーベーの顔がわかるのなら砂漠の民か」

「いいえ、違いますがこの子達とは仲が良いもので」

「そのようだな」


「それでラシードさんはいますか」

「今市場に行っているがもう夕方だ。もうすぐ戻るだろう」

「そうですか。今日は泊まれますか?」

「一見さんはお断りなんだが、ラシード隊長と知り合いなら泊まっても良いぞ。お、ラシード隊長が戻って来た」


 ヒゲのラシードさんを先頭にぞろぞろと戻って来た。

「シン様、どうしたんですか?」

「今度はこっちを旅しようと思って、ディースから歩いて来たのですが、この宿の中からベーベーに呼ばれてジェナたちが遊び出したところです。皆さんもお元気そうで何よりです」


「今日は一緒に泊まりましょう。おい、部屋はあるだろう?」

「あるぞ。隊長の知り合いなら歓迎だ。しかし、子供が多いな。よくディースから歩いてこられたな」

「この人たちはまあ、その、足が達者だ」

「足が達者か。確かにそれでなくてはここまでこられないだろう」


「夕食がまだなら一緒にどうですか」

「はい。宿の迷惑でなければ」

「いいぞ。大丈夫だ」

「それでは夕食と明日の朝食をお願いします」

「わかった。任せておけ。では食堂へどうぞ」


 食事は美味しかった。どちらかというと山の方の食事だな。

 食事が終わって部屋に案内された。


 ラシードさんがすぐ部屋にやって来た。

 ラシードさんに教えてやろう。

「こちらにくる前にオアシスに寄って来ましたよ。みなさん元気でした」

「それは良かった。隊商に出ると家のことはわからないから助かります」


「ヒバさんはエレーネ女王とイヅル国に行って、大福の作り方などを教わりに行きましたよ」


「大福とは?」

 マリアさんが緑茶と一緒に出してくれる。


「この白いのが大福ですか」

「そうです。外側が餅で中はあんこです」

「甘い。初めてだ。こんな甘いものは」


 お茶を飲んでもう一口食べる。

「この緑のお茶と大福は相性がいいな」

「はい。大福の外の皮は餅米を蒸して搗いて作ります。中のあんこは小豆と甜菜糖と塩で煮て作ります。リュディア王国のトラヴィス宰相さんから餅米と小豆の発注がエチゼンヤにあり、エレーネさんのところのエチゼンヤの事務所でラシードさんに発注されると思います。餅米と小豆はイヅル国にあります」

「わかった。どのくらい必要でしょうか」

「発注したのは各大袋一袋だそうです」


「なんで宰相なのでしょうか。料理長の方がいいように思いますが」

「先の王妃たち三人組に大福を作れと強要されたようです」

「ああ、初めてこれだけ甘いものを食べたら欲しいだろうな。からかわれる宰相も災難だ」

「眼に見えるようですね」

「まったくだ。これから山裾を通って東に行き、平野まで行くから、ついでに甜菜糖と緑茶を仕入れておきます」


「今までは甜菜糖は需要がなかったのですか」

「ああ。甘味は贅沢品で金持ちがそのまま舐めたりしていただけだ。料理に使う発想はなかった」

「なるほど。緑茶は」

「紅茶しか飲まなかった。しかし、甘みにはこの緑茶の渋みが合いますね」

「はい。大変合うと思います」

「シン様の線指輪に入れておけばいいから東で仕入れておきましょう」

「はい。よろしく」

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