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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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734 強盗始末 (中)

 秘書が近衛隊長と衛兵隊長を連れて来た。


「これを見てくれ」

 宰相が二人に手紙を見せる。


「折り目がついていますが」

「紙飛行機で飛んできた」


「壁の穴は?」

「紙飛行機が開けた」

「「・・・・」」


「近衛隊長はヴァルガー男爵屋敷を囲め。外に誰も出すな。男爵を訪ねて来た者は中に客人だと放り込め。屋敷から逃げようとする者は男爵の屋敷に押し戻せ」


「衛兵隊長は地図の場所に行って盗賊と男爵一味を確保しろ。紙飛行機を使いに出して壁に穴を開けるエスポーサ様だ。どうなっているかわからないが」


 近衛隊長は近衛兵を率いてヴァルガー男爵屋敷を囲んだ。

 衛兵隊長は衛兵と共に手紙に書いてあった地点に急行する。


 衛兵隊が着くと、馬車が三台。二台には外側から鍵がかかっている。鉄格子のはまった窓から覗いてみたが、むさい男どもで売り物になりそうにない。押し込められているのは盗賊だろう。

 馬車の脇に下半身が妙に平べったい男が寝ている。


「おい。お前は誰だ」

「おれはヴァルガー男爵だ。盗賊にやられた」


「お前、体の胸から下あたりが平べったくなっている。盗賊はこんな器用なことはできない」


 剣でヴァルガー男爵の足を持ち上げてみる。

 ギャーっと男爵が悲鳴を上げる。


「見えるか。足はだらんと自由自在に曲がる。これは骨がないな。痛みは感じるようだな。腹から下の骨がなくなったようだ」

「痛い、痛い。やめてくれ。助けてくれ」

「男爵というからには俺たちの管轄ではない。近衛兵に引き渡す」


「馬車に乗っている奴らを出せ」

 馬車の鍵が壊され中からぞろぞろと男達が降りてくる。


「お前らは盗賊か」

「いや、ヴァルガー男爵の家のものだ」


「何をやっている」

「人買いだ」


「みんなそうか」

「俺は盗賊だ。人買いに売る商品を捕まえている」


「何でこうなっている」

「初めは大人の女一人に子供が6、7人歩いてきた。カモだと思ったらその女に手下がやられてしまった」


「それから人数が増えて、男爵は魔女に薬を飲まされ骨が溶けた。餅つき大会とか言ってみんな消えた」


「素直だな」

「ああはなりたくない」

「そうか。王都に護送する」


「隊長、こいつらは数珠繋ぎにして駆け足させて連れて行けばいいですが、あの骨なし男はどうしましょう」

「馬に積んでいくか」


「動かさないでくれ。頼む。神経がむき出しになってしまったようだ。少し動けば激痛になる」

「そうか。まあ男爵の犯罪は近衛隊の管轄だし、本人の希望だから置いて行こう。行くぞ」

 衛兵達が引き上げて行く。


 残された男爵。魔女の魔物忌避剤の効果が切れ始めた。魔物がだんだん近づいてくる。ついに男爵は魔物の餌になってしまった。


 こちらハミルトン公爵邸。

 ハミルトン公爵が庭で孫と剣の稽古をしていると、ドラちゃんが大勢の人を連れて転移して来た。


「こんにちは」

「おお、こんにちは。大勢だな」


「こちらは盗賊に囚われていた人たちだよ。エスポーサお姉ちゃんがハミルトン公爵によろしく取り計らってもらってくださいとのことだったよ。これは盗賊のアジトにあった金貨などだけど、この人たちのために使って。それとみなさん商品だから手はつけてないって言ってたよ」

「わかった。事情を聞いてうまくやろう」


「この人たちをヴァルガー男爵という者が買いに来たよ」

「ヴァルガーか。あいつは金で後継のない男爵家に入った男だ。もともと何をやっていたのかわからない。こういうことをやっていたのかもな。宰相の慌てる様が見えるようだ。ヴァルガーはどうした?」


「エスポーサお姉ちゃんが新しい薬を作って、男爵に飲ませたら足先から骨が溶け始めて、腰の辺りでもう一度薬を飲ませたら胸までいかず溶けるのが止まったよ」


「それはまた大変な薬を作ったな。時間が経つとヴァルガー屋敷の連中がおかしいと思って証拠を隠滅するといけないな」


「餅つき大会だから付き合えないけど観察ちゃんに送り迎えしてもらう?」

「おお、そうしよう。ウォーレンは残ってこの人たちの世話を頼む」


 狐面をつけたハミルトン公爵、孫のカイル、バーサ侍女長が観察ちゃんと転移して行く。


「ウォーレンさん、よろしくね」

「はい、承知しました」

 ドラちゃんに頼まれたウォーレン執事長。ヴァルガー屋敷に行けず少し残念そうである。


 さてヴァルガー男爵屋敷ホールに転移した三人。

「やあやあ、我こそは狐仮面なるぞ。狐仮面が出張ってきたからには悪は殲滅、証拠は保全。ものども恐れ入ったか」


 乱入してきた狐面を被った抜き身の剣を持った爺さんらしい男が叫ぶ。両脇を狐面の少年と婆さんらしいのが固めている。


「おかしなやつらだ。やっちまえ」

「おお、また正当防衛だ。やってしまえ」


 バッタバッタと切り刻む。一階を終了、2階へ。

 階段上で待ち構えていた男達を切り刻む。


 観察ちゃんがこっち、こっちと案内してくれる。

 男爵の寝室らしいところに案内された。ここ、ここと壁をさす。


 公爵が壁を蹴飛ばして壁を崩すと奥に部屋があり中に金貨などの財貨と人身売買などの悪の証拠書類があった。


 二階を片付け終わって一階に戻り、地下への通路を発見。下に行ってみると囚われている人がいる。


「囚われている人と屋敷に戻ろう。その前に外で待機している人に言っておこう」

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