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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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718 棚田の塩田 (上)

 僕らは、エルフの人たちにお別れを言って、転移。旅の続きだ。

 僕とアカ、マリアさん、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、ジェナとチルドレン、熱帯号、雪原号、それにいつも一緒のアーダ、観察ちゃんだ。


 転移先は、バーレスに戦争を仕掛けたエクシトゥスの王都の先だ。

 この国はさっさと出よう。観察ちゃんの情報では、先に見える山の麓までエクシトゥスとのことなので山の麓まで転移。ここは谷道がない。山に登って隣の国にいくらしい。


 細い道はあるが特に国境らしい施設もない。村も街もない。王都からこっちはほとんど人が住んでいないようだ。

 麓で野宿。


 朝から登山。荷物が全くなくてもおかしいからみんなリュックを背負った。荷車は山道が細く通れないので歩いて行く。荷物運びはロバなんだろう。


 細い道が山を登っていく。魔物はいない。時々動物の気配がある。二千メートルくらい登ったら、山の鞍部に着いた。建物があって呼び止められた。

「どこへゆく」

「テッサニアから来たんだけど、この先に行ってみようと思って」


「この先は行き止まりだ。何しに来た」

「塩が取れるというからどうやって取っているのか見てみたい」


「塩はあそこで取れる」

 指さす方を見ると南向きの山の斜面が白い。


「山の斜面でとれるの?」

「そうだ」


「へえ。珍しい。掘るの?」

「いや、塩田だ」

 よく見ると棚田になっている。


「あ、ほんとだ。棚田だ」

「棚田なんて言葉をよく知っているな」

「塩の棚田は初めてだ」

「山の湧水がしょっぱい。それを棚田に引き入れて塩田にしている」


「何枚くらいあるの?」

「3000枚は超えている」

「へえ。それじゃ各棚田への水路の管理、棚田に水を止めたり入れたり随分水の管理が大変だね」

「坊主、よく知っているな」


「まあね。近くに行ってみていい?」

「ああ、盗賊には見えないからいいぞ」


「それとこの先には国はないの?」

「山ばっかりだ。山を越えればあるかもしれないが行き来は全くない。先のことはわからない」

「そうかあ。ありがとう。塩田に行ってみる」


坊主とお供のものが山を降りて行く。

「変な坊主だな」

「ああ。荷物はリュックだけ。幼児はいるし、この山道を登って降りて、随分達者な幼児だ」


「途中で休憩し出したぞ」

「シートを敷いて幼児は昼寝らしい」

「それはそうだろうな」

 国境警備隊は暇なのである。


 マリアさんが、

「暇な国境警備の人がこちらを見ているわ」

「誰も通らないからな。暇なんだろう」


 山の上の方から小さい石がコロコロ転がって来た。

 ドラちゃんが教えてくれる。

「シン様。小さい地震だよ」


 ドラニちゃんが続ける。

「また揺れた」


「よくわかったね。大きな地震にならなければいいけど。とりあえず下に降りて山の麓から離れよう。ブランコ、ドラちゃんとドラニちゃん、アイスマンとジュビアは人化は解いて、いつでも逃げられるようにしておこう」


 マリアさんがシートを片付ける。みんな転移して人化は解いて来た。

 僕とアカ、マリアさんがブランコに乗る。ジェナとチルドレンは熱帯号と雪原号に分乗。


「よし。麓まで降りて麓から少し離れるまで急ごう」

 熱帯号と雪原号が先に行く。両脇はドラちゃんとドラニちゃん。僕たちはブランコに乗ってあとからだ。


 道は無視して直線で降りるから早い。すぐ麓に着いて数キロ盆地の中心に進んだところで道にもどってゆっくり進む。


 地面が揺れる。大地震ではない。すぐおさまった。棚田の下の村、この盆地唯一の村だ。その村から人が出て棚田に向かう。棚田に亀裂ができたようだ。棚田を掘って一生懸命亀裂に塗り込んでいる。水路の補修もしているようだ。


 村に近づく。畑があるが作物の生育はあまり良くない。いくらか土に塩があるのかもしれない。


 村に入った。村は囲いも何もない。山自体が囲いか。村人は働ける人はみな棚田の補修に行ったようだ。足腰の悪い老人と幼子しか残っていない。


「こんにちは」

「ああ」


「この辺は地震が多いのですか」

「何年かにいっぺん、今くらいの地震がある。それくらいじゃ。だからさっきの地震で今回はおしまいじゃ」

 アカが、確かにさっきの地震でおしまいと言っています。


「棚田は大丈夫でしょうか」

「ああ、すこしひびが入った程度じゃろう」


「どこか泊まるところはありますか」

「塩商人が買い付けにくるが宿ではなくいつも泊まる民家が決まっていてその家に泊まる。だから宿はない」


「村はずれにテントを張っていいでしょうか」

「棚田側でなければいいじゃろう。畑は避けてくれ」

「はい。わかりました」


「棚田は見せてもらえますか」

「それは若い衆に明日にでも聞いてくれや」

「はい。それでは元来た方に戻ってテントを張らせてもらいます」


 村から出て、少し離れた空き地にテントを張った。

 ステファニーさん始めみんな来た。棚田の塩田が珍しいからね。誰が教えたって?眷属は情報共有だからね。


 その日はテントの中で夕飯にした。ジェナ達はお昼寝が少なかったからぐっすりだ。お狐さんは来て、空気がしょっぱいと言っていつも通りお話をしてくれた。

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