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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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521 コット狩人組合からお礼をされる

 宿の部屋で寛いでいると誰か来たらしい。部屋の外で声がする。マリアさんが出た。

 受付嬢がいた。

「昼食時と思い、ご案内に参りました」

「そうですか。それは助かります」


 昼食と聞いてジェナとチルドレンがすぐ起きた。

「おとたん。起きた。お昼、お昼」

 では出かけよう。

 ティランママとティランサンは武器は収納したから身軽だ。


 受付嬢に料亭に案内された。ちゃんと申し渡しがしてあるらしく、お客としての対応だ。

 部屋に通されると組合長が待っていた。接待だな。


「今日は済まなかった。4頭仕留めてもらったので、連中も人を恐れるようになったろう。やられっぱなしでは獣に舐められ、結局狩人が危険にさらされる。助かった。狩人一同感謝している。娘もさっき見てきたが、腫れも膿もなく、引き攣れなどもなく遠からずきれいに治るだろう。誠に有りがたく感謝の念に耐えない。ゆっくり食事をしてくれ」

 挨拶が終わると組合長は受付嬢さんと退席した。ぐずぐず残る自称偉い人と違って良く気が利くね。


 みんなで食事をいただく。やはり調味料がないのだな。大変な苦労をして作っているのがわかる。よく出来ていると思う。

 料理長が挨拶に来た。褒めておいてやろう。

「いかがでしたでしょうか」

「調味料がない中、素材の味を活かし、良く工夫されていると思います。一同美味しくいただきました」

 料理長は目が潤んでいる。


「前は調味料があったのですが、塩も調味料も滞ってこちらには届かなくなり、調味料はあってもとても手に入れられる値ではなく、お客様に不十分な料理を出しているのが心苦しく思っておりました。わかってくれるお客様は滅多にいらっしゃいません。ありがとうございます」


「調味料と塩はどうして入手できないのですか」

「この先6日ほど行った大きな街の商人が買い占めて高値で売っているとの噂があります。さすがに塩は全部止めるわけには行かず、混ぜものをして流通させているとか」


「それで苦情とか、訴えるとか申し出る方法はないのですか」

「緑の平原一帯は、街は完全な自治なので、よその街のことに口を挟むことは出来ません」


「他の街から流通はないのですか」

「その大きな街からこちらへの交通は全て握られており、それにこの頃大きな獣が出没し、こっそりと脇道を通って他の街にも行けなくなり、他の街からの物資の流入はありません」


「生地はすばらしいものがありましたが」

 オリメさんが聞いた。

「絹でしょうか。絹は周りの集落が糸を紡ぎ織っています。大抵のものは自給自足です。塩と調味料はそうも行かず難儀しています」

 料理長と暫く話をして料亭を辞した。


 面白そうだね。大きな街。ワクワクしてきたよ。みんなも楽しそうだ。

 午後は中央広場に行って、オリメさんとアヤメさんは生地の買い物。アイスマンとジュビアもついて行った。荷物持ちだろう。エスポーサは子供服の見学。マリアさんとリンもついていく。ティランママとティランサンもついて行った。


 残ったのは、僕とアカ、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、ジェナ、チルドレンだ。もちろん屋台です。さっき昼食を食べたって?関係ありません。くいしんぼう軍団には、屋台の前には時間などないのです。小遣いを渡します。目立たないように砂金です。串焼きを買っています。袋から砂金を渡しています。


 子供だけで砂金をもって買い食いをしている。目立ったようだ。男どもが寄っていく。

「お嬢ちゃん、もっと美味しいものがあっちにあるよ」

 路地を指す。

「いらない」

 ジェナからにべもない返事だ。


「いいからあっちに行こう」

 ドラちゃんが足払いをかける。男がひっくり返った。


 ジェナが食べ終わった串を投げた。男の顔すれすれに敷石と敷石の間の隙間につき刺さる。

「野郎」

 取り巻いていた男が吠える。


 チルドレンが串を構える。一人一殺だ。幼児の殺気に男たちがたじろいだ。

「やめとけば。こんな小さい子にやられても誰も信じないから、怪我をした分だけあんたたちの損だよ」

 ドラちゃんが親切に諭した。


 罵りながら男達が引いていく。ころんだ男も起き上がって男たちが固まって引いていく。後で誘拐しようとか言っている。誘拐実績があると観察ちゃん。


 やだねえ、誘拐。穏便に済ませてやろう。人目のないところから全員滅びの草原行き。僕、穏健派だから騒動を起こさず解決。

 僕たちのところには来ないかって?あまりにもアカが美少女だから萎縮してしまって来ないんだよ。


 みんなどこにいるかな。強者連合は、いたいた。あちこちの店をのぞいている。少し目端が利くチンピラは避けている。しかし、どこにも鈍感なお方はいるわけで、声を掛けたぞ。

「お姉さんたち、そんな坊ちゃんなど相手にしてないで俺たちと遊ばない?」


 みんな面白がっている。あああ、知らない。

 遠くでいち早く逃げたチンピラのお友達がよせよせと言っている。


「あなたの言う坊ちゃんに勝てたら遊んであげるわ」

 エスポーサがからかう。

「よし。ほんとだな」

 鈍感だねえ。


 坊ちゃんの雰囲気がだんだん変わっていく。坊ちゃんから人外へわざとゆっくり変えていく。

「し、失礼しました」

 鈍感さんが腰を抜かして四つん這いで逃げていく。命拾いした様だ。

 人外にもなっていないのに逃げ出した。もっとも、もう少しすると鈍感さんも動けなくなるところだった。


 ティランサンはすぐ坊ちゃんに逆戻りだ。上手になった。

 遠くで仲間がぺこぺこしている。四つん這いを回収したら一目散に逃げていった。本当にチンピラだったのだろう。大したことはしていないみたいだ。放置だ。


 鈍感2号がやってきた。

「お姉さん」

 アカに向かって声を掛けた。アカは無視だ。

「お姉さん」

 無視。

 前に回ってきた。

「お姉・・・」

 逃げていった。何を見たのだろう。


 みんな満足して戻ってきた。

 まだ時間があるからゆっくり街を回った。変わったところはない。コーレスと同じような作りだ。裏道に行っても一向に襲ってこない。

 一周した。

それじゃ宿に戻ろう。


 部屋に戻って、オリメさんとアヤメさんは荷物を収納。

 食堂で夕食。

 一度部屋に戻って、森の中に転移。スパ棟を出してお風呂。アカとエスポーサを除きみんな人化は解いた。

 ゆっくりお風呂で遊んで、宿の部屋に転移。


 お狐さんが来て、少し遊んでからみんなで就寝。

 翌日元通りに人化して、朝食後宿を引き払って、狩人組合に。


 狩人組合では受付嬢に組合長の執務室に案内された。

 組合長はニコニコと話し始めた。

「昨夜総会をしましてね。シン様ご一同に報いるためどうするかと皆で考えまして、これを作りました」

 カードを差し出す。前のことがあるから今度はよく読む。狩人組合連合特級会員永年組合員証だ。シン組と書いてある。


「これは組合員全員が賛成しないと作れません。文句なく全員賛成でした。どうぞご署名をお願いいたします。普通の特級永年会員と違って、この平原全体の狩人組合連合が認めた特級永年組合員となります。そのためこの会員証の発行には100人以上の会員がいる組合の構成員全員が賛成という高いハードルがあります。我々に出来る恩返しはこれしかありません。どうぞお納めください」

 しょうがない。署名した。発行地はコットと書いてある。


「では本日から有効です。会費はいりません。獲物は持ち込んでも持ち込まなくても構いません。数々の御恩、我々は決して忘れはしません。またいつかお寄りください」

 これから出ていくのもわかっていたみたいだ。


 組合の入口に行くとみんな整列して見送りされた。顔と首を縫ってやった娘さんもいる。だいぶ回復したようだ。

《傷治れ》

 娘さんが頬に首に手を当ててびっくりしている。


 皆さんに手を振って門に向かった。後ろの方でお父さん、傷が、傷がという声が聞こえる。早足で行こう。すぐ門について街から出て少し駆け足。もう街が見えない。よしよしゆっくり行こう。


 オリメさんとアヤメさんを観察ちゃんが神国まで送っていった。ティランママとティランサンは転移で帰っていった。みんなにお礼を言ったよ。また呼んでくださいと言われた。

 少し走っておやつだ。

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