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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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520 コット狩人組合から頼まれ狩人に怪我をさせた獣の討伐に参加する

 広場の宿を出て狩人組合に向かう。

 組合の中に入るともうティランママとティランサンが着いていた。

「シン様、アカ様、呼んでいただきありがとうございます」

 周りが驚いているぞ。強者の気芬芬の二人が子供に礼をとっているから。

「今日は頼むよ」

「承知しました」


 会議室で打ち合わせをするといわれて会議室に案内された。

 爺さん組合長は昨夜会議をして一同一致でクビにして、その息子が組合長になったみたいだ。昨日の怪我をした娘の父親だ。


「では、会議を始める。獲物は昨日うちのメンバーを襲った四つ足の大きな獣だ。襲われた組合員は、見たことがない獣の種類、大きさで、その強さは今までに遭遇したことの無い無類の強さだと言っている。遭遇したらすぐ退避、仲間に合流だ。全員でかかる。決して数人でかかって行ってはならない。やられる。応援に特級組のシン様と仲間が加わってくれた。お礼を言う」

 軽く挨拶する。

 昨日いた人たちは問題ないが、いなかった人たちが不服そうだ。子供のくせにと顔に書いてある。僕はいいけどね。僕は。


 あ。少し怒ったティランママが力をほんの少し放出した。部屋が凍りついた。

「わが主を侮っている方がおられるようですが」

 真っ青になった狩人たち、一斉に首を横に振る。

「そうですか。チームワークは大切です。気をつけましょう」

 今度は一斉に首を縦にふる。面白い。


「で、では、そういうことで。現場の案内は昨日遭遇して襲われて軽症だった二人だ。シン様よろしくお願いいたします」

 今度は不服がないようだ。


 狩人たちは4−5人に一台荷車を引きながら軽症だった二人について行く。門を出て街道を歩き、しばらくして森の中へ。狩人たちの道だろう。いくらか道らしいものが続く。やがてそれも途切れて木だらけになる。荷車はここに置いていくらしい。


 遭遇した場所は近いらしく先頭の二人がやけに慎重だ。ガサッと音がして二人が飛び上がる。小さい動物が駆け抜ける。この先だな。そうと知らない狩人たち、先に進む。向こうが気がついたぞ。隠れている。襲う気満々だ。また縫うのも大変だから声をかけよう。

「引け」

 狩人は止まった。戸惑っている。

 向こうも戸惑っているが棒立ちの獲物と思ったのだろう。出てきた。


 ティランママが前に出る。ティランサンが棒立ちの先頭の二人を後ろに投げる。

「これは切ってしまっていいのか。後で利用するのか?」

「人を襲った獣だ。見せしめに切ってくれ」

「承知」


 ティランママが大太刀を抜く。陽の光を反射して光る。

「神流一刀両断派 閃光両断太刀受けてみるか」

 獣も後ろ足で立ち上がった。大きい。ざっと一階の家の天井に頭がつきそうだ。受けるようだ。前足の爪でティランママを切り裂こうとする構えだ。


 ティランママの大太刀がきらめき、獣が前足を振り下ろそうとする。

 一歩踏み出した獣は中心から左右2つに分かれ倒れた。

 あたりを沈黙が覆う。狩人、獣、全て沈黙だ。

 先に気がついた周りにいた獣、逃げる。


「あと何頭かいますがどうしますか」

 組合長に聞いてみる。

「是非お願いします」

「それで、利用しますか」

「できれば」


「ジェナ、チルドレン行っておいで。アイスマン、ジュビア付いて行って」

 ジェナとチルドレンが喜んで行く。ムジンボーケン、ムジンボーケン、ショーコインメツと唱えながら。途中で気づいたらしい。ショーコインメツが無くなった。


 遠くの方でボカとかドカとか聞こえる。

「ドラちゃん、ドラニちゃん。右と左」

 ドラちゃんとドラニちゃんが一頭づつ引きずってきた。


 ジェナとチルドレンが帰ってきた。アイスマンとジュビアが獲物を長い木に二頭くくりつけて担いで帰ってきた。

「あと数頭いますが、どうします」

「そのままで結構だ。奴らも怖いものがいると知ったろう」

 狩人が穴を掘っている。両断された一頭を埋めるためだ。

 ちょうどいい。血抜きをしよう。

 みんなまだ生きてはいる。ブランコとティランサンが木の枝に狩人が持っていたロープを投げ獲物を吊るした。

 一人で一頭をロープで軽々引き上げた。狩人は唖然としている。

 エスポーサが首の血管を切ると勢いよく血が吹き出る。

 2回で4頭処理が終わった。

「後はお願いします」

 言われて我に返った組合長。

「承知しました」


 狩人が腹を裂き、内臓を取り出す。不要なものは両断された一頭と穴に投げ入れた。

 狩人が荷車を引いてきた。乗せると車輪が沈む。

「帰るぞ。引け。押せ」

 組合長が号令し、荷車が動き出す。

 苦労して道まで荷車を引いて、押して、道はまずまず平らだから少し楽になって進む。


 門番がびっくりしている。見たこともない大きさの獣が4頭だ。

 門はすぐに通過、ジェナとチルドレンはおやつがまだだったから、アイスマンとジュビアと先に宿に戻ってもらう。


 獲物は狩人組合の例の解体場に持ち込んだ。

 解体場の人にお礼を言われた。人の傷を縫うのは嫌だったのだと言っていた。そうだろうな。結果は良くなく恨みだけもらったんだろう。


 肉は食肉組合に持ち込み、皮など使うものは狩人組合で処理するらしい。

 僕らは組合長に挨拶して宿に引揚げた。明朝もう一度組合に来てくれと言われた。

 ジェナとチルドレンが待っている宿に戻ろう。


 フロントに人数が増えたと告げたらもう聞いていたらしく、承知しておりますと返事があった。

 部屋に戻ったらジェナとチルドレンは、ジュビアにおやつをもらって寝ていた。ご苦労さん。

 明日組合に寄ったらこの街を出ようかな。今日はとりあえず外で昼食だ。この間のようなことがあるから料亭も面倒だな。

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