698 引き続き訓練指導依頼
次はヒバさんのところだ。
ドラちゃんに乗って砂漠のラシードさんのオアシスへ。
騒がせてはいけないから、高空から人気がないところに転移。ドラちゃんとドラニちゃんは小さくなって転移して来た。
オアシスを歩く。木が生えていて木陰があり水路に水が流れている。気持ちいいな。すぐラシードさんのところから迎えが来た。まあ目立つからね。ドラゴンが飛んでいてブランコがのしのし歩いていれば。
ラシードさんの屋敷に着いた。奥さんが出迎えてくれて応接室に案内された。ラシードさんは隊商で出かけているそうだよ。
すぐお茶とお菓子が出てくる。ブランコとドラちゃんドラニちゃんは砂漠の珍しい菓子に大満足だ。
「今日はお願いがあって来ました。隣の大陸の国の兵500と兵の家族を鍛えることになりまして、ヒバさんに家族の訓練のコーチをお願いしようと思って。コマチさんにはこれから頼みに行きます」
「行きます。今からですか」
奥さんはどうぞどうぞだな。
「明日日の出前に観察ちゃんが迎えに来ます」
それから少し話をした。
ラシードさんと隊員、ベーベーはお呼びがあって暴れられるのが嬉しくて、何かお呼びがないかと待っているそうだ。強盗では相手にならなくなったらしい。極悪強盗バスターズと強盗に囁かれていて、強盗の見張りがラシード隊を見つけると襲われるーと凶悪強盗団までもが一目散に逃げるのだそうだ。困った連中だ。
三人組は菓子も食べ終わったし、さて行こう。
ドラちゃんが大きくなって、僕とアカが乗って出発。ドラニちゃんは隣を飛んでいる。ブランコ?ブランコは空中駆け足。だんだん早くなった。十分ついて来られる。
イヅル国に入った。トウケイのお狐さんの社に寄る。神職さんに挨拶。お狐さんと観察ちゃんが社から顔を出してこっちこっちと呼ぶ。
社に入って本殿に上がる。すぐお狐さんが抱きついてくる。
「今日はねコマチさんに用があって来たんだよ。隣の大陸の国の兵隊さんの家族を鍛えることになってコマチさんに手伝いをお願いしに来た」
「神様、遊んで」
そうだねえ。お手玉やるか。
「お手玉しよう」
「お手玉って何?」
「これだよ」
お手玉を作って出す。もちろん不壊のお手玉です。遊び終わったらお狐さんの元に帰ってくる仕様だ。お狐さんは人がいいからね。
「これを上に投げて手の甲で取ってを繰り返したり、いくつかのお手玉を右の手のお手玉を左手に、左の手のお手玉を右手に投げたりして遊ぶんだ。それとみんなで遊ぶにはね、丸くなって座ってお手玉を持って歌を歌いながら、歌の中に「さ」が入っていたらそこで右隣の人にお手玉を渡すんだ」
「歌はこうだよ。あんたがたどこさ ひごさ ひごどこさ くまもとさ くまもとどこさ せんばさ せんばやまには たぬきがおってさ それをりょうしが ゆみやでいてさ にてさ やいてさ くってさ それをこのはで ちょっとかぶせ」
「歌が終わってお手玉を持っていたら自分の頭の上に乗せて終わり。やってみようね」
僕とアカ、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、お狐さんの6人でやってみる。お手玉は四つだ。
一時間ほど遊んだ。お狐さんは僕達と遊べて嬉しそうだよ。
「じゃあ行くね」
「うん。お手玉は」
「お狐さんのものだよ」
「うれしい。子供と遊ぶ」
「子供の分は子供の親に作ってもらうといいよ。中身は小豆とか数珠玉などだよ。赤飯に使う豆でも大丈夫だよ」
「うん」
もう一度お狐さんを撫でて社を出る。
あれ、お狐さんがついて来た。
お辞儀をしている神職さんの前を通ってタロー大君の屋敷に。
大君の屋敷の人はお狐さんがついて来たのでオタオタしている。
すぐ大君と奥さん、コマチさん、コジローちゃんが出迎えてくれる。
「こんにちは、久しぶりです」
「お久しぶりです。ま、どうぞあがってください」
タライを持って来てくれて足を濯いでくれる。ドラちゃん達はくすぐったいようだ。
客間に案内された。
「今日はどのようなご用件でしょうか」
「隣の大陸の国で兵隊さんとその家族を訓練することになって、コマチさんに家族の訓練のコーチとして加わってもらえたらと思って。ヒバさんは参加してくれるそうです」
「行きます」
即答だ。
お狐さんがいるから、タロー大君も奥さんも二つ返事だ。
「それじゃ明日、日の出前に観察ちゃんが来ますのでよろしく」
タロー大君の屋敷を出たら、お狐さんはいそいそと観察ちゃんと消えた。子供のところにお手玉をしに行くのだろう。
僕らは必要なところは回ったから戻ろう。帰りはブランコもドラちゃんに乗っている。




