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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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680 宿のフロントマン 妖精を見る

 こちらシン達。

 盗賊の後片付けも終わった。先に行こう。

 それからは組織的な大規模盗賊団は出なかった。半日ほどで街の城門に着いた。

 衛兵が門を固めている。ここもテラーサス王国名誉国民証で無事入れた。


 今までと違ってかなり大きな街だ。人口も万を越えているだろう。観察ちゃんが砂金も塩も使えると言っています。そうですか。


 今日はここで泊まりとしよう。みんなにリュックを背負ってもらいます。何も荷物がないとおかしいと思われてしまうからね。ジェナとチルドレンはオリメ商会謹製のお揃いのリュックだ。


 なんだか街がざわついています。神隠しという言葉が行き交っています。そうだろうね。


 とりあえず宿を確保しよう。無難に広場に面した宿にした。

 ええと何人だ。大人が、僕とアカ、マリアさん、ブランコ、熱帯号、雪原号の6人。子供がドラちゃん、ドラニちゃん、ジェナとチルドレンの7人。それにアーダだ。

 マリアさんを先頭に入ってカウンターに行ってみる。


「こんにちは。宿をお願いしたいのですが、空いてますか」

「はい。皆さんは、大人6人、子供7人でしょうか」

「そうです」

「アーダもいるよ」

 アーダが僕の服の中から出て来てマリアさんの肩に止まった。


「ええええ・・・妖精???」

 フロントマンが声を上げた。一斉にロビーにいた人たちの視線が集まる。


 マリアさんに見つめられたフロントマン。

「大変失礼いたしました」


 アーダはパタパタと帰って来た。


「それで部屋は空いているの?」

「二間続きの部屋があります。それか2室別々に取っていただくか」

「二間続きでお願いします。それと荷車があるのですが」

「部屋料金は先払いになります。砂金か塩になりますが、塩だと不純物が多いので量が多くなりますので砂金でお願いできないでしょうか。荷車は無料で預かります」

「では砂金でお願いします」

 砂金で支払った。食事は別料金だそうだ。


 受付が終わったので部屋に女の従業員さんが案内してくれた。荷車はボーイさんが引こうと思ったら重かったらしく苦労しているのでアイスマンが引いて行った。


 ロビーはざわついている。神隠しにあった娘さんの帰還に今度は妖精である。フロントマンはすぐ支配人に報告した。


 支配人は後難を恐れてすぐ広場に面した衛兵詰所に向かった。衛兵達はてんやわんやである。あちこちで神隠しの娘さんが帰って来たと信じられない話になっていて、犯罪が絡んでいないか本当に神隠しなのか、その確認に奔走している。詰所に衛兵は見当たらない。


「あのう、お忙しいところすみませんがどなたかいらっしゃいませんか?」

 誰もいない。いや奥から出て来た。顔は知っている衛兵隊長である。


「なんだい。今日は忙しくてな。みんな出払っている」

「お手間は取らせません。口頭の報告だけで結構です」


「そうかい。それで何が起こった?」

「妖精が泊まりに来ました」

「妖精?なんだそれは。こんな忙しいのに冗談を言いに来たのか」

「本物です」

「作り物に騙されたのだろう。旅の一座の人形だろう」

「飛んで口をききました」

「馬鹿な。妖精などと旅の一座の芝居か、おとき話だ」


「私は報告しましたので役目は終わりました。失礼します」

 支配人は衛兵詰所から出て行った。


「ふん。馬鹿め。作り物に騙されたな。妖精がこの世にいるなど聞いたことはない。騙りだろう」


 支配人は報告はしたので気が楽になって宿に戻った。信じる信じないは衛兵隊の方の問題である。


 宿に帰ってフロントマンに聞く。

「何泊だ」

「一応一泊で宿代は砂金でいただいています」


「妖精の話は衛兵隊長に報告して来た。あとは衛兵隊の責任だ。一泊でお立ちいただければいいが」

「美男美女、子供も可愛い子たちで悪い方々には見えませんが」


「神隠しもあり、その上妖精だ。なんだかおかしい。気をつけて見ていてくれ。それとロビーで大勢に目撃されている。従業員全員に話しておく」


「妖精様が現れたのは何か意味があるのでしょうか」

「わからない。だが神隠し、妖精とあるはずのこともないことが相次いだことも事実だ。何か関係があると大変だ」


「そうするとあの人々は」

「その先は言うな。言ってはいけない。旅の方々が一泊した。それだけだ」

「わかりました」


 真実に少し近づいてしまった支配人とフロントマン、俄かに緊張する二人である。


「食事はどうしましょうか」

 マリアさんに聞かれた。どうするかな。ジェナたちは今日は活躍だったのでごろごろしていたと思ったら寝てしまった。

「外はないな」

「そうですね。寝ちゃいましたから」

「僕らが見ています」

 アイスマンが言ってくれたけど、どうするかな。

「おとたん、おかたん・・・」

 寝言か。置いていくのはダメそうだ。


「失礼します」

 部屋の外から声がかかる。

「はい」

 ジュビアが出て行ってくれた。


「遅くなりましたがお湯をお持ちしました」

 なんだか緊張しているね。支配人さんが経営者なら奥さんだな。観察ちゃんが支配人の奥さんで、女将さんと呼ばれているとおっしゃっています。


「しばらくしたら下げに参ります」

「ありがとうございます」


 聞いてみよう。

「女将さん、食事は部屋に運んでもらうことは可能でしょうか」

「は、はい。お運びいたします」

「ではお願いします」

「しばらくお待ちください。出来次第お持ちします」


『びっくりした。女将となんでわかったんだろう。旦那が最重要最上級賓客だと言っていて、妖精を見たと夢のようなことを言っていたけど。何だか旦那もフロントマンも態度がおかしいわ』

 そう思いながら厨房に向かった。

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