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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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677 盗賊に囚われていた10人を身の立つようにしよう

 テントの中ではアカとマリアさんが囚われ人から個々に事情と意向を聞いている。終わったようだ。

 テントから出て来た。囚われ人は再び眠っている。


「囚われ人はこの先の街の人ね。10人のうち7人は神隠し方式で対応できそう。残りの3人は押し込み強盗で家族が全滅したりしていて難しい」


「わかった。7人はいなくなった時の年恰好で観察ちゃんが家の玄関付近に転移させる。この先の街は、ええと、砂金は使われているな。それでは7人には成人するくらいまでの砂金を持たせよう。急に大金をもらうと気が変になると困る。今日の夜、夢枕に立ってお告げをしよう。お告げが終わったら観察ちゃんが送ってね」

 観察ちゃんが尻尾を振っている。


「残りの3人はジゼルさんに考えてもらおう」

 ジゼルさんに押し付けるともいう。


 スパ棟を出して、僕らはスパ棟へ。ジェナたちも帰って来た。湖に寄ってみかじめ料をもらったのではないか。口の端にあんこがついている。

 テントは観察ちゃんが見ていてくれる。テントとスパ棟の周りにはバリアを張っておく。


 食事をしてお風呂に入ってすぐ就寝です。今日は夜中に仕事があるんです。


 真夜中になった。

 七人の家族の両親の夢枕に立つ。

『そちらの娘は我が園の時の狭間に落ちていた。見つけたので返そう。娘が成人するまでの費えを持たせる。流用してはならぬ』


 ガラガラピッシャーン。時ならぬ雷鳴が轟いた。どこの両親も仰天して飛び起きた。

「聞いたか」

「はい」


 両親は急いで玄関に向かって走って行ってドアを開けた。


 すぐ外に娘が立っていた。行方不明になった時のままだ。母親に抱きついて泣き出す。父親は娘が立っていたところを見ると上質な布袋が置いてあった。ずしりと重い。中身は砂金だった。


 よし。7人帰した。残り3人はどうやってジゼルさんに送りつけようかな。いつぞやはブランコに連れて行ってもらったな。今回はどうしようか。


 思いついた。ヴィーラントさん、ユリアーナさん、ローザリンデ、リンダに旅商人を演じてもらおう。荷馬車で行商しているからちょうどいいな。

 ローコーさんとエリザベスさんに了承してもらった。眷属便利。


 朝です。

 ヴィーラントさんたちはどこかな。いたいた。

 朝食前にちょっと出かけてくると言って僕が転移。

 ジェナたちはわかっているからついてこない。


「みなさんおはようございます」

「おはようございます。早いですね」


「ちょっと頼み事がありましてね。盗賊に捕えられていた10人の女性を保護して、7人は捕えられた当時の姿格好にして神隠しにあったというていで親元に返した。残りの3人はすでに親兄弟がいなくて返せない。そこでロワール商会のジゼルさんに押し付け、いや、頼もうと思ってね」


「わかりました。で、私たちはどう関係するのでしょうか」

「旅商人で、途中で拐かしの一団に遭遇、3人を保護した。3人は幼くまた長く旅をしていて故郷もわからない。ロワール商会のジゼルさんは慈悲深い方と聞いた。ぜひ引き取ってもらえないかというような筋書きだ」


「なるほど。でもその娘さんたちを急に私どもが預かっても、娘さんは不審に思いませんか」

「そこは、記憶は作り変える。娘さんは5歳くらいにして、親と幸せに暮らしていたというぼんやりした記憶がある。人攫いに攫われて旅をしている途中に旅商人さんに助けてもらった。という筋書きだ」

「ははあ。体も若くして記憶も作る。ということですね」

 さすが神様だ。体も記憶も作ってしまうのかとエルフの皆さんは思った。


「そう。よければジゼルさんのロワール商会の支店があるパレートから2泊ほどのところにまずはみなさんを転移させて、荷馬車が動き出したところに荷馬車の中に幼女3人を転移させる。幼女の記憶はそこから動き出す。道案内は観察ちゃんがする。ああ、ローコーさんとエリザベスさんは承知だ。ロワール商会にはジゼルさんと一緒にエリザベスさんもいるからすぐわかる」


「わかりました。幸い行商は我々だけでやらせてもらっているので、すぐにでも出られます。リンダはそうだな。黒猫の方がいいだろう」

「幼女たちの食事はローザリンデさんの収納袋に入れてある。道中着たような服も何セットか入れてある」


 リンダは転移してすぐ黒猫になって戻ってきた。


「ではお願いする」


 我々はシン様によって転移させられた。今までいたところとは違う。観察ちゃんがこっちこっちと道案内してくれる。馬は驚かない。シン様が何かしたのだろう。馬が荷馬車を引き出す。リンダは荷馬車の中だ。すぐ幼女3人が荷馬車の中に出現した。


「お姉ちゃん、お腹すいた」

 荷馬車の中からローザリンデに声がかかった。

「はい。朝飯がまだだったわね」


 三人の名前は聞かなくてもわかったヴィーラントたちである。

 荷車を止めるスペースが道端にあったので荷車を止めて、朝食にすることにした。


 幼児の世話はユリアーナはローザリンデを育てた時以来、ローザリンデは幼児に触ったこともない。いそいそと幼児の朝食の準備をするユリアーナとローザリンデである。


 自分たちの食事はそっちのけで幼女に食べさせて、林の中で用を足してもらい荷馬車に乗せた。


 馬と自分たちの食事は急いでして出発である。

 荷馬車が動き出すと幼女は黒猫のリンダを撫でてすぐ眠ってしまった。


「しかし可愛い子だな。これでは攫われてしまうのも納得だな」

 ユリアーナとローザリンデに睨まれるヴィーラントであった。

 シン様とアカ様がみんなに可愛がられるようにしたのではないかとヴィーラントは思った。


 ユリアーナとローザリンデ起きた幼女にまめに声をかけている。構いすぎだとヴィーラントは思うがまた睨まれても困るから黙っている。


 幼女を連れて2泊して、昼頃にはパレートの城門について入場の列に並ぶ。

 ティランランドの身分証明書で無事に入れた。


 観察ちゃんの後をついて行く。かなり大きな街だ。先の方に巨木が見える。あのあたりだな。


 巨木が生えている広場に着いた。観察ちゃんはぴょんと巨木に飛びついて登って行ってしまった。ここからはそれらしく、誰かに聞いて行けということだな。


 一行を見ていた衛兵。

「行商一行といたちっちゃい動物が御神木を登って行った」

「やばい」


 人は勿論、どんな動物もアリさえも登れない御神木をスルスルと登って枝葉の中に消えて行った。

 神様の使いか、と言うことは行商一行、いや御一行様も関わると危ないと思う衛兵たちである。


 衛兵がいたので聞こう。

「すみません。ロワール商会の支店はどこでしょうか」

 衛兵は後退る。

 なんだ、この衛兵は。


「あちらでござりまする。あちらの立派な建物でござりまする」

 指さすのが怖いらしい。体の向きでさし示している。それにしても変な言葉だ。大丈夫か衛兵さん。さっきより三歩は下がっている。


「ありがとうございます」

 お礼を言うと今度は飛び上がった。わからない衛兵だ。衛兵仲間も腰が引けている。


 広場を横切ってロワール商会と思われる建物に向かう。エリザベスさんがさりげなくお客を送り出すふりをしてまた店に入って行った。場所は合っていた。

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