表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

150/237

650 新眷属エチゼンヤ夫妻とリンダを連れてみんなで世界樹の元へ

 翌日。日の出前に魔の森の泉に集合。チルドレンは昨日のうちに親から借りて来た。エチゼンヤ夫妻は観察ちゃんが転移で連れて来た。リンダはリンと一緒に来た。みんな揃った。人化出来る眷属は人化してみんなで世界樹製の服に着替えて出発。その前に水筒を泉に沈めておく。


 エチゼンヤ夫妻の収納にも服が入っていた。

「おお、神服だ」

「そうだわね。着られるとは思ってもみなかった」


 暗い魔の森を崖下まで進む。全員夜目がきくから昼間同様のスピードだ。

 崖を登る。チルドレンも登る。熱帯号と雪原号が心配そうに後をついて行く。


「崖登りは初めてだわね」

「おい。俺の方に石を落とすな」

「勝手に落ちたのよ」

 エチゼンヤ夫妻は賑やかだ。


 アーダは朝が早いから、僕の服の中のオリメさん特製ベッドだ。服の中を空間拡張してあって、アーダの部屋がある。快適らしいよ。収納にも入れられるのだけど、うるさいだろうから部屋を作った。擬似窓が作ってあって外が見えるようになっている。本人の気分の問題だけで実は収納なのだけど。


 みんな難なく崖を登り切る。まだ暗い。

 シートを出した。ジェナとチルドレンはシートの上でゴロゴロしている。アーダも服の中から出てきてお狐さんにかまってもらっている。


 暗かった空の裾が濃く赤くなって行く。やがて薄れて陽の光が溢れて来る。魔の森の梢が色づく。お日様が登って来る。

「綺麗ね。木が梢から陽の光に照らされていくところは初めて見たわ」

「ああ、綺麗だ」

 エチゼンヤ夫妻の感想だ。

 魔の森が日に照らされて、崖の下の方で翼竜が朝日の中を飛び始める。一日が始まった。


 シートに座ってみんなで朝食。

 朝食が終わって、巨樹の森の入り口まで走る。


「ではローコーさん、エリザベスさん、リンダは体の組成を変えるけどいい?」

 みんないいという返事。もっともローコーさんとエリザベスさんは、ほとんど変えるところはない。最後のひと押しだけだ。リンダは大幅に変更。


「巨樹の森に入るよ」

 抵抗のある膜を通り抜ける感覚があり、静謐の世界に入る。一切生き物の気配がない。

 いつもの通り巨樹の森から出る前の谷川に竹水筒を沈めておく。

 先を急ぐ。竹林と河原に着く。

 僕は竹水筒作りだ。

 慣れたものでみんなは河原で遊んでいる。

 竹水筒をまたいくつも作った。


 河原に降りて、石をスパッと相棒で平らに切ってテーブルにして昼食。シートを出して休憩。


 休憩が終わって走って果樹園に行き、果樹園から野菜畑、穀物畑、岩塩畑?などを巡る。エリザベスさん夫妻、リンダは始めてだから、ドラちゃんたちとリンが教えている。


 次は泉だ。みんな沐浴した。神服を着た可愛い女の子のドラちゃん、ドラニちゃん、お狐さんを抱っこしてやる。ジェナはおかたんに抱っこしてもらっている。

 みんないい子だよ。


 泉の水が澄んだから僕とアカ、ジェナの水筒を沈めておく。


「さて里芋畑まで行くよ」

 すぐ着いた。

 少しちょうだいねと言って里芋をいつものように少しもらう。もらったら世界樹と対面だ。


 みんな走って世界樹に抱きつく。

『良く来たわね。私の可愛い子たち』

 みんな口々に何か喋っている。ひとしきり報告が終わったようだ。


『ローコー、エリザベス、リンダは初めてだわね。ローコー、エリザベスはほとんど眷属だったから何も言うことはないわね。今まで通りにして貰えればいい。リンダは、ヴィーラントや他のエルフの面倒を見ればいいわ。エルフは転移できないしね。また魔法には限界がある。強い魔法は自分の命を削るからね。今のままくらいの魔法で丁度いいのよ』


 知らなかった。へえ。僕らはどうなのだろう。

『眷属のは魔法じゃないからね。私とシン、アカ、もうすこししたらジェナが加わって蓄えたエネルギーを使う。いわば神力よ。まあみんなが使う分などは微々たるものよ。ほとんど無尽蔵だわね。各人の能力に応じて使えるエネルギーの量が決まる』

 へえ、そうなの。知らなかった。知らないことは多い。みんななんとなくわかっていたの?へえ。


『リンダは人化できるようにしてあげようね』

『お願いします』

『はい、終わり。人化できるようになったわ』

『ありがとうございます』


 それから少し世界樹と話をして世界樹の元で森の恵みで夕食。そのまま横になって眠る。観察ちゃんは今日も星の観察。ここは良く見えるので何人もの観察ちゃんがあらゆる方向から観察している。集合知だからね。天文学者になれるだろう。


 うとうとしていると世界樹さんが話しかけてきた。

『エルフはね、人と別れて独自に進化したのよ。森の中にずっといたので魔物の魔力に触れることが多くて、突然変異して魔力を持つようになったのよ。魔物ではないから魔石はないわ。魔力の獲得後だんだん長寿になったわ。元は人と同じ。だからまれに人との間に赤ちゃんが生まれる。大変生まれにくいけどね。生まれた赤ちゃんの魔力はエルフと比べたら殆どない。基本は人。ただ長寿ではあるわね。ステファニーとマリアはその子孫よ。魔力は殆どなかったし、基本は人だから線指輪をしてもなんの問題も無かった』

『そうなんだ』


『長寿を獲得してからエルフは生殖能力が衰えてしまった。今ではほとんど赤ちゃんは産まれないわ。一人亡くなれば一人生まれるくらいよ。だから5000人程度で変わらない。人は多産で生は短い。エルフから見ればほんの一瞬の生の煌めきね』


『エルフを捕まえようとする人がいるけど』

『迷信ね。血を飲めば長生きするなんてあり得ない。長生きは魔力を獲得した突然変異のおかげよ。血を飲んだからどうこう言うことはない』

『そうだろうね』

『そう言う奴はさっさと滅ぼせばいいのよ』


 ローザリンデさんを捕まえたやつらはどうしたかな。後一週間くらいで雇い主のところに帰りつきそうだ。いい方法を思いついた。彼らが帰りつく前にまずは雇い主を病気にしよう。それから帰りついたら雇い主から感染する。そうすれば雇い主が感染源で、エルフハンターが歩いた道を疑われることはない。

 雇い主を病気にした。すぐ発症した。ふむふむ。上出来だ。

『いいんじゃない』


『それでエルフの耳は尖っているのと普通のがあるらしいけど』

『特に意味はないわね。突然変異の一種よ。離れて暮らすエルフ同士は交流がほとんどないからね、固定化されてしまったのよ』


『外観はほとんど変わらないね』

『まあほっそりした美男美女がほとんどだわね。これも狭い地域で生きてきたので固定化されてしまった。完成形といえば完成形だけど終末期ともいえる。今度エチゼンヤで働く50数人がいるけど、動き出すかもしれないわね』

『良いのか悪いのかわからないけど』

『静かに滅んでいくよりいいでしょう。50数人はそれがわかっているから応募した』

『そうかもね』


『あとは、そうね。魔物の魔力の根源は魔石だから、魔物に線指輪をするとだんだん神力エネルギーが満ちてくるに従って魔石や魔石関係の器官が無くなっていく。魔石がなくなっても問題はない。エルフは魔石がないから、全身が魔石の代わりよね。線指輪をすれば体自体が無くなる。エルフでなくなっていいならやりようはあるけど、それも可哀想ね。人は線指輪をしても人ではある。眷属になればもちろん人ではなくなるけど、エチゼンヤ夫妻のように一見しただけではわからないわね』


『魔石にエレルギーを充填出来るけど』

『魔物の体内から取り出した魔石は単なる蓄エネルギー石よ。なんのエネルギーでもいい』

『ランプがつくけど』

『魔石ランプなんて一々なんのエネルギーか判別してないからエネルギーがあればいいのよ』

『低機能に見えるけど、見方を変えれば万能ランプとも言えるのか』

『まあね』

 万能ランプの話をして眠くなった。今の話は僕とアカだけ。


 お狐さんは人化をといてアーダを抱えて僕の胸の上だ。いつの間にか眠ってしまった。


 顔を冷たい朝霧がなでて行く。真っ白な世界だ。アカとマリアさんは両脇だ。アーダを抱えたお狐さん、ドラちゃん、ドラニちゃんは僕の上。ドラちゃんもドラニちゃんもいつの間にか人化を解いていた。眷属全員に囲まれて世界樹の元だ。


 しばらくしたらみんな起きた。みんな里芋の葉っぱに溜まった水を飲む。

「これは美味い水だな。それに冷たい」

「そうね。地上の里芋ではこうはいかないわね」

 エチゼンヤ夫妻だ。


 お狐さんを抱き抱えて十分水を飲んでもらう。僕も飲む。

 それから森の恵みで朝食。

 今日は忙しいので世界樹に抱きついて挨拶して、すぐ出発。


 里芋にお礼を言って、世界樹に手を振って泉へ。僕とアカとジェナの水筒を引き上げる。アーダは泉に潜って遊んでいる。みんなも泉の水を飲んで果樹園から岩塩まで一周して戻ってきて、巨樹の森を出るまで駆け足。森を出る前に谷川に沈めてあった水筒を回収。巨樹の森を出たらアリさんが「また増えた」と言っている。


 それから崖の端まで駆け足。恒例の崖からのジャンプ。アーダはお狐さんに掴まり、みんなは無事に着地。魔の森の泉まで走った。


 泉についてアーダはすぐ泉に飛び込んだ。泳いだり潜ったりしている。いわば実家だからね、リラックスして楽しそう。

 二百人衆に紹介するのでリンダには人化してもらう。二百人衆には連絡しておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ