645 エルフの国にて (5)
《実は僕の関係者は線指輪というものをしていますが、線指輪は魔力と相性が悪いです。多分線指輪をすると魔力がなくなってしまいます。魔力がエルフをエルフたらしめているなら、エルフでなくなってしまいます。線指輪は、長命、頑健、健康をもたらします。つまりエルフの皆さんに最初から備わっているものです。あとは収納の機能などがあります。収納は便利ですので、エチゼンヤで働く人には収納袋をお渡しします》
《後学のために線指輪とやらを見せていただけませんか》
ヴィーラントさんは好奇心旺盛らしい。
ローコーさんとエリザベスさんが線指輪を見せてやる。
《バングルと同じ材質だね。素晴らしい。神の輝きだ。神金属と呼ぶのが相応しいだろう。神以外扱えないな》
ヴィーラントさんはよくわかっているね。流石に鍛治の神と言われただけのことはある。
ユリアーナさん、ローザリンデさん、ヴィーラントさんにはアカがお盆に乗ったコップを出して水を飲んでもらった。みんな体が光った。
《普通はこの次に線指輪なのですが、魔力がなくなってしまいますので収納袋を進呈します。これは線指輪と同じ、一辺100メートルの立方体の容量があります。時間停止です》
収納袋を進呈した。各人の使用者権限付きで水筒入りだ。
《他の方にこれから渡す収納袋の容量は馬車1台分くらいです》
ユリアーナさんが《それでも十分過ぎるくらいです》。
リンダにも水を飲ませた。体が光る。
《アンクレットがあるがそれをすると僕の眷属になってしまうけどどうする。眷属になってもヴィーラントさんに仕えてもらえればそれでいい。練習すれば転移ができるようになる。特に僕からは何もないよ》
《転移ができるようになればヴィーラント様を助けられることもあると思います。ぜひお願いします》
アンクレットをしてやる。再び体が光った。
《主様、ありがとうございました。親戚と同じになれました》
主様になってしまった。注意事項はいつもと同じ。
《そのうち世界樹の元へ行こうね。人化できるようにしてもらおうね》
《シン様、ありがとうございます》
ヴィーラントさんにお礼を言われてしまった。
翌日ユリアーナさんによってエチゼンヤさんが隣の大陸のエチゼンヤで働く人を募集していると周知された。
周知内容は、以下の通り。
エチゼンヤの従業員として働くことを厭わないこと、エルフであることは言わない、態度に出さない。
面接を行い合否を決める。面接の合格者には魔物に襲われた時などの安全のための訓練がある。勤務は、合格者が多ければ交代勤務となる。
面接は3日後。希望者は明日中に申し出ること。
希望者はいた。50人ほどだ。面接したが、条件を承知で応募してきたので全員合格となった。応募者は若い連中全てだそうだ。若いと言っても何百歳らしい。
それではヴィオレンシア帝国の跡地の滅びの草原で訓練をしよう。
教官はゴードンさんと三馬鹿、神父10人くらい。それにブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃん、ティランママ、ティランサンでいいね。贅沢だ。あ、女性のエルフもいるから、プリシラさん、ロシータさん、三馬鹿の奥さんを追加しよう。
エスポーサにゴードンさんたちに連絡してもらった。こちらの準備ができたら迎えに行くことにしておこう。エルフの国にあまり知らない人が来ても困るだろうから現地集合だ。
訓練で思いついたけど、マノン支店長、縫い子さん、売り子さんにも簡単な訓練をしておこう。オリメさんとアヤメさんにやって貰えばいいね。それとジェナとチルドレン、熱帯号、雪原号に加わってもらって軽くやってもらおう。こちらは基礎体力錬成からだからアレシアス王国のエレーネ女王さんのところの留守城の周りの訓練場だ。
エレーネさんのところに頼みに行った。二つ返事で貸してくれた。
では訓練は明後日からだ。訓練期間はエルフは頑健、丈夫だから3日もあればいいだろう。
マノンさんたちは基礎からだから一週間程度を見ておこう。支店に都合により明後日から10日間休みと貼り紙をしておく。
オリメさんとアヤメさんはすぐ来た。支店の様子も見るのだろう。
縫い子さんと売り子さんには収納袋を進呈しよう。一般のエルフさんと同じ、馬車一台分くらいの容量だ。ナイフと水筒は入れておこう。皆使用者権限付きだ。
オリメさんが暗殺針が欲しいと言うので13本進呈した。
 




