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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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514 コーレスに宿を取り、街の市場や店を巡る 甜菜、絹布、荷車などを購入

 エスポーサと僕とアカは宿探しだ。観察ちゃんのおすすめは広場に面した大きな宿だ。木造二階建てだ。周りは森だから木は豊富だ。石は山に行かないと無いだろう。宿へ行ってみよう。


 エスポーサがフロントに向かう。僕とアカが手を繋いでついて行く。えへへ。

「こんにちは。宿泊したいのですが」

「はい、何人でしょうか」

「大人6人、子供4人、幼児5人です。家族です」

「そうですか。お子さんたちはどこでしょうか」

「今、屋台を巡っています。呼びましょうか」

 呼んだ。疑われても困るからね。


「いえ。大丈夫です。ご存知でしょうが、今残忍な盗賊が出没しています。お泊めする場合は注意するようにとお触れが出ています」

「あ、みんな来ました」

 大人に連れられて子供、幼児がゾロゾロ来た。


 受付のお姉さん、思わずニコリとした。安心したようだ。子供、幼児が多いから盗賊とはとても思えないからね。それにみんな可愛い。大人は美男美女だ。


「少し値が張りますが、二間続きの部屋があります。15人家族でしたらその部屋がおすすめですが」

「そうしましょう」

「何泊でしょうか」


 盗賊が明日ふらふらしている我々を発見して、様子をみて早ければその夜、遅くても次の夜には襲ってくるだろうから、余裕をみて三泊にしておこう。

「三泊でお願いします」


「宿泊代は前金になります。砂金か塩ですが、塩をお持ちでしたら塩でお願いします。勉強します」

「はい。承知しました。では塩で」


 エスポーサが塩の小袋を出す。

「拝見します」

 いつもの流れだ。塩の品質に驚き、三本セットの一番大きい匙で一杯掬った。

「これで十分です。ありがとうございました」

 新しい容器に入れ、エスポーサが木匙でおまけするのもいつものことだ。三泊だから多めにおまけを入れた。


「食事はつけさせていただきます。朝、夕になります。時間帯はどこでもそうですが、夕食は今ごろから日の落ちる少し前まで、朝食は日の出から少ししてから始まりです。食堂はあちらになります」

「わかりました。ありがとうございます」

「こちらこそ。見たことのない品質の塩をいただきました。お礼はこちらこそです。お部屋にご案内いたします」


 女性従業員が案内してくれる。二階の端の部屋だ。部屋に入ってすぐ玄関のようなところで靴を脱いで戸を開けて一段高くなった部屋に入るようになっている。二つの部屋は障子で間が仕切られている。イヅル国のような様式だ。


 従業員さんがすぐタライと拭き布を持って来た。人数が多いからタライ四つを四人で持って来た。

 リン、アイスマン、ジュビアには本来の使い方で手や顔を洗ってもらって、足を拭いてもらった。練習だよ。一つのタライを一人で使ってもらった。

 もう一つはいつものドラちゃんとドラニちゃんの沐浴用だ。遊んだ後は僕が二人を拭いてやる。

 みんなに汚れ飛んでけだ。お風呂に浸れなくて多少物足りないかもしれないけど、綺麗にはなるんだ。


 人数が多いから混んでくる前に夕食にすることにした。みんなで一階に降りて行く。ロビーも人が増え出した。投宿の人たちが宿に来るピーク時間なのだろう。


 食堂はまだ空いていた。僕らでテーブル三つ占拠だ。申し訳ないね。混んでないからいいけど。なるべく混んでない時間に来よう。


 夕食はおいしかった。どこでも同じ、スープ、パン、野菜、肉料理などだ。僕は料理はよく知らないけど、いつも美味しい。みんなも美味しいと言っているから味覚音痴ではないぞ。

 食べ終わる頃、宿泊客だろう。食堂に来る人が増えて来た。僕らは退散しよう。


 部屋に戻ったら、タライなどは片付けてあって、布団が敷いてあった。間仕切りの障子は取り払って、布団をずって行って繋げた。

 ジェナとチルドレンはゴロゴロ楽しんでいる。お狐さんも来てみんなでゴロゴロしている。見ている方も楽しい。


 リンが部屋に備え付けのお茶の葉でお茶を淹れようとしたがお湯がない。お湯はもらいに行くみたいだ。冷めてしまうからね。リンとアイスマンとジュビアでもらいに行った。

 ポットにお湯を入れてもらって帰って来た。


 リンがお茶を淹れてくれる。アイスマンとジュビアは見学。

 お狐さんが僕のところに来たから、リンのことを詳しく紹介した。

 アウアウと言っている。

『長い間寂しかったね。あたしも長い長い間一人だった。だけど、子供たちとはすぐお別れになってしまったけど遊べた。あたしより大変だったね』

「ありがとう」

 リンがお礼を言っている。仲良くなってくれればいい。


 その日はそのまま就寝。みんな人化は解いた。そのほうが気楽なのかもしれない。

 僕の右はアカ。左はリンを抱っこしたマリアさん。

 ジェナはいつもの通り、アカと僕の間からあちこちゴロゴロして最後は僕の足元のブランコにペロしてもらって寝てしまった。チルドレンもブランコのまわりだ。人気のブランコだな。尻尾をパタパタしている。いい子だ、いい子だ。

 ブランコ、ジェナ、チェルドレンの両脇は熱帯号と雪原号だ。ちゃんとお役目は果たしている。

 ドラちゃんとドラニちゃんは僕のお腹の上。お狐さんはエスポーサと僕の頭の上の方。みんないい子だ。


『シン様、シン様。悪い奴らが、宿の従業員から宿泊客のことを聞き出しているよ。従業員はお金をもらったよ』

『そうか。ああ、この従業員か。お湯を持ってきた一人だね。わかった。ありがとう』


 観察ちゃんは悪い奴らの後をつけて行った。三人で来たけど、みんな別々のところに帰って行ったと報告があった。衛兵詰所、商家、屋敷が行く先だった。


 そうか。いつもはバラバラになって普通の生活をしているのか。強盗をするときのみ集まるのだろう。だからなかなかアジトが見つけられなくて、盗賊の逮捕も難しいというわけか。ボスはどこかに素知らぬ顔をして生活しているのだろう。そうすると襲ってくるまで待っていなければならないか。今日聞いていったから明日あたり襲って来てくれるかもしれない。楽しみだ。寝よう。


 朝、みんな人化して、朝食にして、部屋に戻って、服装は昨日とは変えた。普段着だけど、よく見ると上品な服で実は見かけよりお金持ちという雰囲気だ。受付に夕方まで戻らないと言い置いて街に繰り出す。


 僕たちは釣餌だからなるべく固まって目立つようにしなければね。

 市場に行ってみる。朝だから近隣集落から運ばれてきた野菜、果物、穀物、集落で出来るようなザルとか籠とかの細工物などが並んでいる。珍しいものがあったら買おうと思うけどあまりないな。

 野菜、果物などは新鮮には違いないから美味しそうなものをいくらか買った。もちろん支払いは塩だ。目立つぞ。


 おや、甜菜が売っている。種も脇に売っていた。初めて売っているのを見た。

 出店の人に聞いてみる。

「これで砂糖が出来るのでしょうか?」

「良く知っているな。これを細かく切ってお湯に入れて、それから煮詰めると砂糖だ」


「種と甜菜をください」

「種が出来るまで2年かかる作物だから少し高いがいいか?」

「はい。塩でお願いします」

 塩で支払って種と甜菜を買い占めた。大きな袋に甜菜をいれてくれた。


「どうやって運ぶのかい?」

「担いで宿に行って後は荷車です」

「そうかい。重いぞ」

 アイスマンが軽々と担いだのでびっくりされた。宿に置いてきてもらった。収納の使用は人目があるとおかしいだろう。


 ブランコたち、ジェナたちは朝粥に群がっている。みんなでフーフーして食べている。いいけど、君たちは朝食を食べたと思うが。


 まだお店は開かないな。街を歩き回ろう。衛兵詰所は門の傍にあったけど、本部は広場にあった。役所らしいのも固まってある。広場を過ぎていくつか通りを越すとだんだん住宅街になってきた。住宅街にあまりよそ者が入ってもね。引き返そう。


 広場から住宅街に来るとき横切った通りを歩いてみる。広場を中心に同心円状に何本も通りがあるらしい。暫く歩くと花街への入口がある。まだ眠っているね。行きませんよ。

 通り過ぎる。


 時々小さい広場はあるがちゃんと休憩するところはないね。

 しょうがない。誰もいない小さい広場にシートを出して休憩だ。


 休憩後、広場から放射状に伸びていると思われる道に入り、しばらくすると広場だ。店が大分開いていた。みんなバラバラで買い物をすることにした。


 布の店を見る。絹布が売っていた。これは買いだな。神国では黄金繭から取れる糸で布を織っているが、豪華すぎて僕とアカの服にしか使えないそうだ。

 オリメさんとアヤメさんを呼ぼう。連絡した。観察ちゃんが人気のないところに転移させて連れてきた。


 オリメさんとアヤメさんは絹布を見て気に入ったらしく次々と買っている。ほぼ全部お買い上げだ。岩塩があるから簡単に支払いだ。あまりの量の多さに、店の人が宿まで運んでくれるということになって、店の荷車に布を積んでリンがついて宿に向かった。宿泊は二人分追加してもらおう。

 オリメさんとアヤメさんは次の店に出撃していった。


 僕は荷車を買おうかな。荷車などを扱う店に入った。マリアさんがついてきてくれる。大人がいないと買い物がちょっと難しい。アカも一緒だよ。


 荷車が各種置いてある。

「馬車は使われていないようだけどないのですか」

 そう聞いてみた。

「馬車はこの辺の人は遠出をしないので必要ない。病人、老人、幼児などは、人が引く二輪の荷車に乗せるか、贅沢をするなら馬が引く四輪の荷車に乗せるかだ」

 なるほど。そうか。二輪だと安定しないから四輪だな。自分で作ったほうがいいけど、お金を使うところを見せなければいけないから買おう。四輪の荷車を買った。あれ、誰か引いて宿まで行くようだね。悩んでいたら、店で宿まで届けてくれると言うので、エスポーサの名前を告げてくれと頼んだ。

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