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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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138/237

638 テラーサス王国を発つ

 テッサニア湖畔のスパ棟を収納。

 ロワール商会パレート支店に転移。


 オリメさんとアヤメさん、エチゼンヤ夫妻、イサベルさんは工房に行った。

 おやつにジェナとチルドレン、熱帯号、雪原号が帰って来た。警備員は山越えで離宮の周りの定位置に戻って行ったとジェナが言っています。


 おやつをしたら、プリシラさんがチルドレンを連れ、熱帯号、雪原号が神国に送って行った。みんなを親元に届けてくれる。熱帯号と雪原号は領地だ。


 夕方、オリメさんとアヤメさん、エチゼンヤ夫妻、イサベルさんが工房から戻って来た。商売繁盛らしいよ。みんなニコニコしている。


 夕食は、マノン支店長、縫い子さん、売り子さん、パレート支店のヴァンサン支店長、アンヌ侍女長を呼ぼう。奥の部屋は仰々しいので、会議室にしよう。夕食の前にスパを堪能してもらおう。


 リンが呼びに行ってくれた。アンヌさんはすぐ来た。暇なのか。少し遅れてみんな揃った。


 女性と男性に別れてスパへ。お狐さんもやって来た。すぐエリザベスさんに捕まった。女湯行きである。


 僕らは、僕にローコーさん、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、観察ちゃん、ヴァンサン支店長だ。


 ジェットバスの泡に打たれながらローコーさんが「こちらの大陸に昔一度来ただけなのに、よく覚えてくれていたな。名前はエチデンヤだったが」。


「海を渡って来た方は初めてで、強烈な印象がありました」


「よほど海を渡って来たのが衝撃的だったのでしょうね」


「そうだろうな。後にも先にも一回きりだった。しかし、砂漠という言葉が残っているのも驚いた」


「こちらには砂漠はないので、想像もつかないくらい珍しい話だったです。今も半信半疑で砂漠という言葉が残っています」


「これからどうするんだい?」

「明日、こちらを発とうと思います」


「そうか。一応この辺りも落ち着いたようだし、それがいいかもな。どっちにいくのかい?」

「塩商人が暗躍したので、その塩の産地を目指してゆっくり旅をしようと思っています」


「何かあったら呼んでくれ。二百人衆もそうだが、ゴードン、三馬鹿、神父、ハビエル神父、トルネード、バトルホース。みんな楽しみにしている。神国から商品を運んでくるベーベーもベーベー言っていたぞ」


「何かあったら呼びましょう。今度湖に花が咲いたら、みんなを湖に呼んで1日楽しんでもらいましょう」

「そうだな。討伐だけではなく、そういう娯楽もいいな」


 お狐さんが転移して来た。抱っこしてお風呂に入る。気持ちよさそうだ。ブランコ、ドラちゃんとドラニちゃんと遊び出した。

 楽しくって尻尾が無意識のうちに九尾になっている。お湯の中も自由自在に追いかけっこをしている。


 アーダが転移して来た。アーダも追いかけっこに加わった。


 しばらく遊んでお風呂からでた。ブランコは暖かい空気玉を作って空気を回転させ乾かしている。観察ちゃんも一緒だ。お狐さん、ドラちゃん、ドラニちゃんは拭いて、拭いてだ。ドラちゃん、ドラニちゃんを拭いて、次はお狐さん。拭いてから暖かい空気を吹きつけて乾かしてやる。ふわふわの毛並みだ。


 夕食だからみんな人化してもらって、ホールに戻る。


 女湯からも出て来た。みんなツヤツヤ、色艶がいい。

 マノン支店長が「若返った気がします」。

「若返ったら子供になってしまう」

 僕が言うとみんな笑った。いい湯だったんだろう。


 会議室で夕食にした。今日は椅子とテーブル。二百人衆が来て給仕してくれる。人数が多いからね。呼んだ。


 席についた。僕とアカの間にジェナ、お狐さんとドラちゃんとドラニちゃん。僕とアカに挟まれて嬉しそうだ。僕の右にマリアさん。その隣がリン。アカの隣がオリメさんとアヤメさん。ブランコ。エチゼンヤ夫妻、イサベルさん。


 空いた席にロワール商会パレート支店のヴァンサン支店長、アンヌ侍女長。オリメ商会パレート支店のマノン支店長、縫い子さん、売り子さんに座ってもらった。


「たまには一緒に夕食にしましょう。湖の時と違って、身内の集まりのようなものですから気楽にお願いします。では」

 すかさずエリザベスさんが

「乾杯」

 と唱えて僕が

「いただきます」

 と言って食事となった。


「ヴァンサンさん、広場に木を植えたいのですが、手続きはどうすればいいですか?」

「ここは旦那様の直轄地ですので植えてもらってかまいません」

「そうですか。それじゃあ明日朝、植えて出発します」


「どちらへ行かれるのですか?」

 マノンさんに聞かれた。


「諸国漫遊の旅を再開しようと思います」

「えええええ」

「行っちゃうのですか?」

 縫い子さん、売り子さんに一斉に言われてしまった。


「僕たちは諸国漫遊の旅の途中、この国に立ち寄って縁あって長居していましたが、この国も落ち着きました。それと皆さんはオリメさんとアヤメさんに認められて、縫い子さんは下着、売り子さんは縫いぐるみに巨木のタグをつけられるようになりました。オリメさん、アヤメさんが時々立ち寄りますし、観察ちゃんもアンヌさんもいますから何があっても大丈夫です」

「そんなあ」


「これからは扱える品物を増やしましょう。赤ちゃん服、幼児服から始めたらどうでしょうか。そうすると人も増やすようでしょうか」

「えええええ」

「まあオリメさんとアヤメさんと相談しながらぼちぼちと進めてください。僕らも時々立ち寄ります」

「是非来てください」


「ああ、宿舎はそのままです。今まで通り住んでください。もちろんロワール商会の方も引き続きご利用ください」

 みんなほっとしている。


 色のついた布もだんだん入るようになったとの事であった。カラフルな下着とドラちゃん達の縫いぐるみが出来るだろう。


 夕食が終わってマノン支店長さん達は宿舎に戻って行った。ヴァンサン支店長とアンヌ侍女長も戻った。


 お茶を飲みながらエリザベスさんが「王都の即位式には出るのですか?」。

「いや、王都によらずに通過するつもりです」


「それで済むのでしょうか」

「まあ引き止めるだろうな」

 ローコーさんだ。


「そうか。それじゃあ即位式が終わるまでは神国に戻っていよう」

「それがいいかもな」


 夕食が終わって寝室へ。エリザベスさんとローコーさんは自分の部屋に行った。


 翌日、朝食を済ませて、スパ棟、厩、車庫を収納。お狐さんはイヅル国に戻って行った。


 ロワール商会の皆さんに神国に戻る。お世話になりましたと挨拶してみんなで広場へ。ヴァンサン支店長、アンヌ侍女長、マノン支店長、縫い子さん、売り子さんもついて来た。


 ブランコが広場の中央あたりの石畳みを踏んで土にした。巨木だからかなり大きい円だ。

 衛兵の皆さんが遠巻きにしている。


 円の中心にブランコが穴を掘ってアカが木の実を入れ、ブランコが埋めた。僕が水をやった。

「芽出ろ、芽出ろ」


 すぐ芽が出て来て、ぐんぐん成長する。立派な巨木になった。

 衛兵さんはあんぐり口を開けて巨木を見上げている。


 ドラちゃんとドラニちゃんが上空で大きくなる。

「それじゃあ皆さんまた会いましょう」


 エリザベスさん、ローコーさんと一緒にドラちゃんの背中の上に転移。手を振って、パレートの上空を一周し、高度をとって最短距離で神国を目指す。


 ヴァンサン支店長はすぐ店に戻り本店に連絡鳥を飛ばした。

『シン様一同、広場に巨木を生やし、神国に引き上げる。オリメ商会支店、宿舎はそのまま』


「ああ、支店長、シン様が使っていたところは残しておいた方がいいですよ。戻ってこられた時、スパ棟、厩舎、車庫のスペースがないと長居はできません」

「そうだな。シン様用地としておこう。その分買えたら隣を買おう。オリメ商会は拡張するならそちらに拡張すればいい」


「隣のお爺さんが土地、建物を売って倅のいる王都に行きたいと言っていましたよ」

「いつの間に。すぐ行って話しをまとめよう」

「他に買い手がつくと困るからあとは支店長が行けばいいだけになってます」

「そうか。助かる」


 かくしてその日のうちに売買契約が成立し、隣の爺さんはロワール支店から本店行きの定期便と一緒に王都に向かった。護衛はロワール商会持ちである。爺さんはアンヌ侍女長とヴァンサン支店長に見送られ気持ちよく出立した。


 それにしてもアンヌ侍女長のトンデモ情報収集能力、人間関係構築能力は天才と言ってもいい。時々いなくなるのは目をつぶろうとヴァンサン支店長は思うのであった。

 いや、待てよ。よく考えるといる方が少ない。それを誰にも気取られず仕事にも穴も開けない。多分ジゼル奥様はご存知なのだろうけど、もはや神技だと思うのであった。


「シン様は戻ってくるだろうか」

「依代があるから戻って来ますよ」


「依代とは?」

「いやだなあ。立派な依代があるじゃないですか。巨木が」

「そ、そうか」


 ヴァンサン支店長はあわてて衛兵詰所に行った。


 隊長がすぐ出て来た。

「広場の巨木はシン様の御神木だ。粗相があってはならない。よく見守るように」


「すでに木にしめ縄が巻いてあって御神木となっています」

「誰が巻いたのか?」

「わかりません。気がついたら巻いてありました」


「切れそうになったら言ってくれ。ロワール商会で新調しよう。また毎年巨木が生えた日に新調しよう」

「承知しました」


 支店長は隊長と巨木を見に行く。なるほどすでにしめ縄が巻いてある。


 噂を聞いたり自宅から巨木を見たりしたのだろう。人が集まって来ていた。皆手を合わせて祈って行く。すでに立派な御神木となっていた。


「支店長さんよ」

 屋台の連中である。

「なんだい」


「広場の名前は、御神木の広場にした方がいいんじゃないか」

「確かに。それ以外ないな。正式には旦那様に了解を取るようだが、もうそう呼んでいい」

「わかった」

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