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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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630 水泳講習 (下)

 講習二日目は朝はややゆっくりだ。気温が上がらないと水が冷たいからね。

 朝食にするとすぐ気温が上がり始める。


「では今日も頑張りましょう。今日は水着ではなく、普通の服で泳いでみましょう」

 エスポーサが湖に先導していく。


 そうだ。家族用ボートを出しておかないといけないね。観光客が乗ってひっくり返って湖に落ちるというシチュエーションに必要な小道具だ。

 湖に行ってボートを出す。三艘くらいでいいかな。あまり多いと目が届かなくなるから。


 三馬鹿がすぐ一人づつ乗った。落ちる役だろう。救助に行って抱きつかれる方はいい迷惑だ。少しくらい泳ぎがうまくてもブクブクだろう。


 あ、ゴットハルトさんが降ろされた。ステファニーさんが乗せろと言っているが衆目の一致するところは危ない。男が近寄ったら殴りそうだ。それではもう一艘女性用を増やした。リンとロシータさんが乗った。

 いいんじゃないか。頑張ってもらおう。


 ステファニーさんとオリメさん、アヤメさんが予想に反して残ってくれたので、僕とアカとマリアさんはみんなに任せてテントだ。


 ベーベーが寄ってくる。乗って、乗ってと言う。しばらく乗ってなかったからね。僕がベーベーマン、アカがベーベー、マリアさんがバトルホースに乗って散歩だ。

 ジェナが気づいたが湖の方が面白いらしい。来なかった。

 おやつの時間まで時々かけたりして散歩して戻った。


 ジェナとチルドレン、子供たちがリンと戻ってくる。リンがおやつを出してくれて世話をしてくれた。


「訓練はどう?」

 リンに聞いた。

「最初はボートから落ちた溺れ役に抱きつかれてブクブクやっていましたが、いまは上手に抱きつきを回避して救助できるようになりました」

「そうか。じゃあ、昼までやっておしまいにしよう。昼食はパーティーだ。二百人衆を呼ぼう」

「ステファニーさんに話して来ます」

 昼にパーティーをするとステファニーさんとリンが二百人衆に話に行ってくれた。


 ジェナとチルドレンは湖に戻って行った。監視員を従えて、熱帯号と雪原号に乗って湖を泳ぎ回っているみたいだ。


 昼近くなって、リンが二百人衆を転移させて来た。テキパキと日除テントの下にパーティーの準備をする。


 昼になってみんな上がって来た。最後はみんなボートに乗って遊んだようだ。

「皆さん、救助まで出来るようになりましたので、水泳訓練はこれで終わります。宿舎、宿はまだそのままですのでお風呂に入って着替えて来てください。水着は差し上げます。打ち上げのパーティーをしましょう」

 訓練が終わりで皆ホッとしている。すぐ着替えに行った。


 僕はアカと湖に行って清掃。綺麗になった。何も生物がいない澄んだ砂漠の湖だ。

 テントにぶらぶら戻る途中に三毒生物がいた。

「ご苦労さん。昼食にして帰るからね。もう少しだよ」

 特製ソーセージを投げてやると上手に取ってペコっとして走り去って行った。

 意外と可愛いかも。


 テントの下には二百人衆がパーティーの準備を終えていた。

 訓練生たちもパラパラと宿舎や宿から戻ってくる。

 揃ったみたいだ。


 司会はもちろんゴットハルトさんだ。頼んでないけど。

「それでは、皆さん。楽しい訓練はこれで終了のようです。残念です。まずはシン様にご挨拶をお願いします」


「皆さん、お疲れ様でした。皆さんの訓練は短くて申し訳なく思っていましたが、テッサニアの湖で貸ボート屋さんを観光馬車屋さんが開くことになり、湖に落ちた観光客の救助をする訓練をする必要が生じて、ついでながら訓練を追加をさせていただきました。魔物との水中格闘は出来ませんでしたが、機会がありましたら高空のドラちゃんから水中に飛び込んで魔物と格闘などやってみたいと思います。またの機会をお楽しみに」


「ドラちゃんクルクルなどまだまだ訓練することはたくさんあり、本来の仕事をしっかりとして次の機会を待ちましょう。では乾杯の音頭はその昔皆さんの大陸に渡って来たエチゼンヤの今の名誉副会長のエリザベスさんにお願いしましょう」


「では、目の前の料理が皆さんを待ちかねていますので、乾杯」

 乾杯はロワール商会支店長の差し入れのワイン、子供には葡萄ジュースだ。


 オフェリア妃とクロエ侍女長がやってくる。

「シン様、今までなかったボートを湖に提供していただきありがとうございました。湖に新たな魅力が追加され、花の季節が待ち遠しいです」

「知り合いが石碑のそばで、観光馬車屋を営むことになり、従業員も余裕があり、ちょうど良かったです」


 ディミーティスさん夫妻がやって来た。

「ディミーティスと申します。シン様に命を助けられて、王妃様の国に帰化させて頂き、シン様湖の石碑の前で観光馬車屋を営ませて頂くことになりました。連れて来た従業員の数が多く、馬車屋の他に何か商売をと考えていたところ貸ボート屋の話をシン様からいただき、溺れた人の救助訓練までしてもらいました。テッサニア王国のために商売に励ませて頂きます」


「隣で宿を営ませて頂きますヘレンテと申します。ディミーティスさんと同様シン様に助けて頂き、シン様に教えていただきましたこの国に一緒に辿り着きました。美しい湖のために誠心誠意励ませて頂きます。そしてそれがテッサニアへの、シン様への恩返しになろうかと思います」

 支配人とフロントマンがお辞儀をしている。


 ここにもシン様に助けられた人がいるのねと王妃とクロエ侍女長。

「私どもも助けていただきました。一緒に頑張りましょう」


 そっと逃げる。ロッカさんに捕まった。

「シン様、おかげ様で神鉱脈は品質も良く、鉱脈も縦横広く、命を助けられた鉱夫、その家族、我ら一同大変感謝しております」

 神鉱脈になってしまったようだ。


「それは良かった。良い塩のようだ」

「はい。この間、テラーサス王国のロワール商会がシン様の紹介状を持って久々に隊商としてやってきました」

「融通してくれたようだね。ありがとう。これからは前の通りになると思うよ。よろしくね」

 逃げる。


 今度はシャルル王子さん、ノエルさん、アンリちゃんに捕まった。

「シン様、我が国の因習を取り除いていただき、ノエルとアンリを救っていただき、こうしてノエルと一緒にいることが出来るようになりました。二人の結婚式にはぜひおいでいただきたくお願いいたします」

「その時都合がつけば」

「是非是非お願いいたします」

 三人で頭を下げられた。

「うん。まあ。その時ね」

 やれやれ。この大陸も色々関係が出来たな。


 服の裾を引っ張られる。ジネットちゃんだ。

「シン様、テラーサス王国もありがとうねなの」

「はいはい。わかりました。ジェナ達と遊んでおいで」


 一周したかな。ゴードンさんと三馬鹿に捕まった。

 ゴードンさんが「この大陸でも色々やっていますね」


「外交官の出番がなくてごめんね」

「現状、行き来できないからやむを得ません」


 ゴットハルトさんが続ける。

「それにしても、ティランママ、ティランサン、熱帯号、雪原号のような並外れた存在はいませんね」


 今度はラインハルトさん。

「世界樹の台地も魔の森もないからいないのだろうな。それだからよからぬことを考えるのかもしれませんね」


 最後にベルンハルトさん。

「滅びの草原もなく、シン様もいないから人間にも手を出したのだろう」


 一周回ってゴードンさん。

「今度は、火球による業火で国が丸ごと滅びたし、街も瓦礫になったので、突出した存在に気づいたのではないでしょうか」


「シャルルさん、ノエルさん、アンリちゃんが元気で良かったわ」

 侯爵家の臨時執事長を務めたエリザベスさんの感想だ。

「もう大丈夫だろう」

「そうね。終わってみれば楽しかったわ」


「ワシはエスポーサさんにワンワン印ドリンクを飲まされてばかりだ」

「今回は美味しかったでしょう」

 エスポーサが聞く。

「そうだな。Ⅲの味は格段に向上している」

「でしょう。開発の甲斐があったわ」


「しかし踊り出すとはな」

「魔の森に美味しそうなキノコがあってね。それを入れてみた」


「それはオドリダケでしょう」

 ティランママが教えてくれる。ティランサンが続ける。

「あれは美味しいけど力のないものが食べると死ぬまで踊り続ける。滅多に生えていない」

「そうなの。たくさんあるわ」


 エスポーサが栽培しているに違いないと聞いていた人は思うのであった。


 ティランサンが聞いた。

「あれは栽培はできないはずだけど」


「ワンワン印に使おうと思って試しにやってみたらすぐ生えてきた。さすが魔の森よね」

 やっぱりと皆は思うのであった。


「他に何か栽培しているのですか?」

「魔の森には色々珍しいものが生えていてね。やけに肥えた枝分かれしたもじゃもじゃした根っこの草を神国で植えたらよく育っているわ」

 それは高麗人参だと思う。


「それとか、冷たい水が湧いているところに生えていた草がこれも根っこが太かったのだけど、根っこが緑で珍しかったから神国に持ち込んだら元気に育っているわ」

 それはわさびだ。へえ。


「それからそこから流れている小さな川に香りの強い水草が生えていたから緑の根っこの草を植えた下流に植えたらこれも元気がいいわ。みんな神国で元気に育っているから毒じゃないのよ」

 それはセリだ。


「ねえ、魔の森でほかに何か栽培しているの?」

 ステファニーさんが興味津々だ。

「栽培しなくてもたくさんあるものもあり、そんなに栽培はしていないわ」

「そんなに、ねぇ」


 皆の頭の中に、魔の森の中で鍋に湯を沸かし、毒草をあれこれ投げ入れて、ニコニコしているエスポーサが浮かんでくるのであった。ワンワン印がどう作られているのかわかってしまった。エスポーサさんは魔の森の魔女だとみんな思うのであった。

 縫い子さんと売り子さんは初めて知るエスポーサの魔女ぶりに驚いている。


 そろそろパーティーも終わりだ。

「では皆さん、そろそろ家路につきましょう」

 ゴットハルトさんが締めた。


「また会いましょう」

 宿も宿舎も戻した。

 テントなどを収納、清掃した。


 みんなで手分けして転移させていく。チルドレンも一度帰ってもらう。

 ステファニーさん、プリシラさん、プリメーロ、プリメーラ、ベーベー、バトルホースがエスポーサと転移、リンがゴードンさん一家、三馬鹿、フロランスちゃんを送って行った。

 ティランママ、ティランサン、熱帯号、雪原号は戻って行った。

 警備員はジェナが送って行った。

 残ったのは、アカ、マリアさん、オリメさん、アヤメさん、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、縫い子さん、売り子さんだ。アーダはもちろんいるけど。ジェナが戻って来た。


 揃ったから、パレートのロワール支店に転移。

 支店長さんに挨拶して、オリメさんとアヤメさん、縫い子さん、売り子さんは工房へ行った。働くねえ。僕らはスパ棟。


 観察ちゃんから、ホルストさん達の荷馬車は王都に着いたと報告があった。塩の問題は完全解決だろう。

 ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、ジェナで見回りに行った。

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