620 王都までの旅に出る
朝食後ジェナ、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんで見回りに行った。
僕は、アカとマリアさんとみんなに挨拶だ。
畑で二百人衆が働いている。手を振る。メーメーが寄ってくる。撫でて撫でてというから全頭撫でる。次はモーモーだ。涎をべったりつけられる。涎だらけになってモーモー軍団を脱出、涎飛んでけと綺麗にする。次はコッコだ。ピョンちゃんもいる。
バトルホースがやってくる。仔馬もずいぶん大きくなった。ジェナ達なら十分乗せられるだろう。少しバトルホースに乗って、神国散歩。バトルホースがみんな付いて来る。楽しいね。風が気持ちいい。湖に入って泳いだりした。
それからベーベーだ。元気だよ。ベーベーとベーベーマン。背中に乗って砂丘を登る。これから荷物を背負ってスパエチゼンヤまで行くのだそうだ。二百人衆と話をしながら行くので楽しいと言っている。よかった。
ベーベーとベーベーマンは泉の広場の方に行った。荷物を積むのだろう。
次はミツバチの森に行って女王さんに挨拶。元気だった。
それからお花畑のベンチに座って、ミツバチさんの挨拶を受ける。ミツバチおじさんになってしまう。ミツバチさんがびっしり。ひとしきり挨拶したらミツバチさんは花と巣箱を往復し出した。
小鳥さんが遊びにくる。みんな元気みたいだよ。
一回り挨拶したからパレートに戻ろう。ジェナたちも帰って来た。
パレートのスパ棟に転移する。
僕とアカ、アーダ、マリアさん、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、リン、ジェナ、チルドレン、熱帯号、雪原号だ。
観察ちゃんが、ホルストさんと荷馬車隊は人も馬も温泉に入ってすっかり長旅の疲れが取れたから今朝早く、王都への街道を行く便と街道からそれて街々を巡って塩を配って歩く便とに分かれて出発した。8台と教えてくれます。
お茶を飲んでいるとジゼルさんとアンヌさんがやって来た。
「おはようございます」
挨拶の後、ジゼルさんが切り出した。
「ホルスト達は昨日の温泉風呂ですっかり回復して、今朝は王都に向けて出発しました。シン様からお借りしていた塩を返すようにと言われています。借りっぱなしで申し訳ありませんでした。やっとお返しできます」
「いいですよ。あれは進呈します。何かのお役に立ててください」
「ありがとうございます」
神様がいいというので素直に従っておくことにしたジゼルである。
リンがジゼルさんとアンヌさんにお茶を淹れてくれる。リンがいるから助かる。
「今日はジゼルさんは?」
「もう少ししたらアンヌと王都に観察ちゃんに送ってもらおうと思います。まだやることがたくさんあるので」
「落ち着くまで大変でしょうね」
「ええ。でも方向が見えているのでその点は楽です」
二人はしばらく話をして屋敷に戻り、観察ちゃんが王都まで送って行った。
僕は何をしようかな。
マノンさんは支店長と何か話している。きっと布の色のことだろう。
それでは広場まで散歩しよう。
マノンさんと支店長に手を振ってみんなでぶらぶらと歩く。
サーっと人が避ける。衛兵さんが遠巻きについてくる。何かあっては大変という緊張感がひしひしと伝わってくる。
広場の屋台の人も目を合わせない。来ないでくれ来ないでくれとの気持ちが伝わってくる。
ジェナ、ドラちゃん、ドラニちゃんも勝手が違うので屋台に走って行かない。
「困ったね」
「戻りましょうか」とマリアさん。
「戻ろう」
ロワール商会に戻った。街の雰囲気がほっとしたのがわかる。ほとぼりが覚めるまでダメだな。
支店長とマノンさんがまだロワール商会にいたので、話しておこう。
「おはよう。私たちが街に出るとどうも街の方々が気を使うので、これからパレートを立って王都を目指します。ほとぼりが覚めるころまた来ます。宿舎は今まで通りオリメ商会パレート支店の皆さんとロワール商会で使っていてください」
「それは残念です。旦那様も余計なことを言うから」
「まだいて欲しい」
マノンさんが言う。
「もう立派な支店長だし、当面頻繁にオリメさんとアヤメさんが来るから大丈夫だよ。それに観察ちゃんがいるから用があったら言ってね。何かわからないことがあればヴァンサン支店長に教えてもらうといい」
「ではお願いします」
ヴァンサン支店長とマノン支店長に頼んだ。
ロワール商会の人に挨拶し、工房と店に行って、王都に行ってくると言っておいた。スパ棟でみんな人化してもらう。スパ棟、厩、車庫を収納。城門の近くまで転移、城門から出た。
「外に出てほっとするね」
「ほんとに」
マリアさんとリンも同意見だ。
「王都はどっちかな」
観察ちゃんがあっちと案内してくれる。しばらく歩いて人の目がなくなったのを見計らって荷車を出した。
ブランコが先頭、僕とアカ、アーダ、マリアさん、リン。アイスマンがジェナとチルドレンを乗せて荷車を引く。周りはドラちゃんとドラニちゃん。最後尾はジュビアだ。いいんじゃないか。ホルストさんの荷馬車隊を抜かないようにゆっくり行こう。
緩やかな起伏の葡萄畑の丘が続く。小さな集落が時々ある。こういう集落に庶子はいるんだろうな。観察ちゃんが街道筋ではなく、人の往来もない奥まったところだと教えてくれます。島流しだからね。
おやつとお昼、お昼寝、おやつで一日が過ぎる。何事もない。街が見えた。ちょうど一日歩いたから宿場町だな。僕らは宿場町の手前で街道から離れて丘の陰で野宿しよう。
野宿もたまにはいいよな。魔物はいない。
テントを出しテーブルを出して夕食だ。二百人衆の料理は美味しい。
夕食後汚れ飛んでけとやってから、みんな人化を解いて就寝。お狐さんがやって来る。いつものようにお狐さんの話を聞いて就寝。




