512 地方の街の悪党を退治する(下)
二人が帰ってきた。大きな袋を二袋ブランコが持っている。キリトリ成功だな。
さて今日はもう寝よう。その前におばさんに言っておこう。
「夜中に誰か来るかもしれませんが、僕たちで対処しますので安心して寝ていてください」
観察ちゃんに見張を頼んで部屋に行って就寝。お狐さんには観察ちゃんから、今日は夜中に悪い人が来るから来ないでねと言っておいてもらった。
さて、来るかな。なかなか来ないので眠ってしまった。夜中、観察ちゃんに起こされる。
『シン様。シン様。放火をするみたいだよ』
『わかった』
全員で狐面をつけて賊の後ろに転移する。
賊が松明に火をつけて投げ入れようとしている。燃え盛る松明がまさに手を離れようとした時、坊ちゃんの家の中に火付け役の賊を松明ごと転移させた。
他に二十人くらいいる。火をつけて騒ぎに乗じて押し入るつもりだったね。
「滅びの草原行きだ」
全員滅びの草原行き。
遠くで首尾を確認していた男がいるね。お友達だろう。滅びの草原行き。
宿の娘さんがカーテンの隙間から見ていた。いいだろう。
坊ちゃんは自宅で待っている。
「ざまあみろ。今頃は宿屋ごと火だるまだ。いくら力があっても火にはかなうまい」
吉報を今か今かと待っている。
突然目の前に松明が出現した。覆面をした男が松明をカーテンに投げつけた。放火だ。
坊ちゃん、カッとなって剣を取り覆面男を斬った。
松明の火がカーテンに燃え移る。
「誰か、誰かいるか」
男がドアから顔を出し、びっくりした。
「火事だ。坊ちゃんの部屋が火事だ」
男どもがなだれ込んできて、カーテンを引きちぎり、木桶の水をかけて大事にならずに鎮火した。
坊ちゃんの親も駆けつけた。
「どうした?」
「その男が放火しようとしたので斬った。持っていた松明をカーテンに投げつけカーテンに火が移って、火事になりかけたがみんなが駆けつけて消してくれた」
なんとなく見たことがある男が横たわっている。覆面をはいだ。
「あんちゃん」
とりまきの一人の兄だ。
「よくもあんちゃんを」
坊ちゃんの親が転がっていた剣を取って斬り捨てた。
「二人を捨ててこい」
あんまりだと男たちは思った。
男たちは兄弟を運んでこっそり墓に埋めた。いくらなんでも事情も聞かず斬り殺して捨ててこいなど、人でなしだ。
「お前はこの頃何をやっているんだ。塩の袋が二袋消えていると報告があった。また玄関のドアノブが損傷して取り替えたとの報告もあった」
「実は、俺達の踏み倒した食事代などを、債権として買ったやつがいて、キリトリに来た。怖くて塩で支払った。その時キリトリに来たのは男女二人だったけど、男のほうがドアノブを握りつぶした」
「馬鹿なことをいうな。ノブは金属だぞ。何かの間違いだ。踏み倒した食事代が債権だと。ふざけたことを言う。そんな奴らは潰してしまえ」
「それが20人くらいで今晩襲撃をかけた」
「それで首尾はどうだった」
「誰も帰ってこない。いや一人いた。さっきそこに倒れていた男だ。放火をする担当だった。それがどうしたわけか俺の部屋で放火しようとした。松明をカーテンに投げつけたので斬った」
「明日衛兵で捕縛に向かう。お前が先導しろ。手向かえば斬れ」
「わかった。やる。奴らを斬ってやる」
へえ、そう。観察ちゃんの映像を見た。
待て待て映像の続きがある。屋敷から逃げ出す人がいる。ああ、兄弟を捨ててこいと言われた人たちだ。重い犯罪者は滅びの草原行きだ。その他は山の中に行ってもらおう。僕らが通ってきた山並みの真ん中あたりに送った。運が良ければ山を越えて人里に降りてこられるだろう。
大分減ったな。騒ぎを起こすのも面倒だな。残っているのは悪党ばかりだ。観察ちゃんに言って、全員滅びの草原に行ってもらった。屋敷には誰も残っていない。戦闘の跡もない。
衛兵も悪い奴らは滅びの草原行き。
あとはみなさんがうまくやってくれるだろう。
手紙をおばさんに残しておこう。
宿のおかみさんへ
お世話になりました。
悪党一味はすべて街からいなくなりました。悪党屋敷には人はだれもいません。もう戻っては来ません。
悪い衛兵もいません。
後は皆さんで、うまく考えてください。
よろしくお願いします
それから、踏み倒し金を塩で回収しましたので差し上げます。ゴミ、汚れ、混ぜ物があり精製したら半分ほどになりました。袋も変えていますので出所は分かりません。お役立てください。
シン
手紙を部屋のテーブルの上に置いた。塩の大袋を一袋手紙の近くに置いておく。
夜明け前だが出よう。
全員で街の外に転移。次の集落目指して歩く。
明るくなって来たら走る。
ジェナは走ったり、エスポーサに抱っこされたりだ。
宿場を一つ飛ばしてコシ並の街の手前に着いた。




