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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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603 塩輸送荷馬車襲撃前日 (中)

 ジェナたちはおやつには帰ってきた。

 少し休んで、さて出かけよう。今日はオリメさんもアヤメさんも含めて全員だ。ステファニーさんとリンも呼んだ。


 荷馬車の側に転移。ジゼルさんに相談したいことがあると言って荷馬車を止めてもらう。もう先が見えているから焦らず車列は停止した。

 道端にみんなに集まってもらう。当然護衛の人も一緒だ。裏切り者はもういないから。


 では話そう。

「明日の昼頃、橋を通過すると思いますが、その地点で襲撃の用意をしています。まずは橋の手前で襲撃をかけ、荷馬車を橋に追いやります。橋では丸太を並べて待っています。後ろからおいたてられた荷馬車は丸太に乗り上げ、橋から落下、塩が水に浸かりダメになるという筋書きと思います」


 ジゼルさんが護衛さんたちに聞かせるように聞く。

「それは本当なのでしょうか」

「はい。見てきました。丸太もすでに襲撃班の手元に運んであります。あとはタイミングよく橋の上に置くという具合です。なお、襲撃班の後ろの丘を越えたところに、ジゼルさんの次男のジローさんが50名率いて、橋のこちら側に30人、橋の方に20人待機しています。襲撃を始めたら出撃でしょう。どうします?」


「襲撃者から気づかれないように迂回するには今から迂回を始めるようで、裏街道になり、道は悪いし、盗賊が巣食っているかもしれず、危険で、なおかつ二日以上余計にかかる」

 護衛さんだ。さすがに良く地理を知っている。


「迂回しても盗賊により塩を失う可能性があり、また貴重な時間を消費してしまう」

 組合長さんも発言する。


「丸太は切り飛ばして進みましょう」

 アンヌさんは威勢がいい。


「ではそうしましょう。橋近くになったらアンヌが先頭、マルティナさんには荷馬車を守ってもらいましょう」

「えっ、マルティナさんじゃ」

「アンヌが先頭です。せっかくいただいた薙刀が役に立つ時です。私も行きます」

 ジゼルさんも行くというので後に引けなくなったアンヌさん。

「わかりました。突撃します」

 嫌でもなさそうだ。


「では最初の襲撃は荷馬車を追い立てるのが目的でしょうから追い立てられたふりをして突っ走りましょう」

 僕が発言しておしまい。


 今回は民主的に突っ走ることが決まった。明日はドラちゃんとドラニちゃんに分乗して高みの見物といこう。


 ジゼルさんに細工をお願いしておく。観察ちゃんがジゼルさんを本店に送って、すぐジゼルさんと戻って来た。ニコニコしている。細工は流流、明日が楽しみである。

 ドラちゃんに乗ってパレートに戻る。


 そのころ王宮では侍従が国王に勧めている。

「明日昼頃パレートから待望の塩が荷馬車二台に満載にして、郊外につくようです。迎えに行きませんか。先の国王はお加減がよろしくないようですが、先の国王の弟様とご家族様は見に行かれるそうです。貴族の皆さんも色々な方が出るようです」

「あ、ああ」

「では、手配しておきます。明日朝出発です。城外ですがすぐ近くです」


 観察ちゃんから映像が来る。庶子派の侍従だ。というか現国王支持の侍従はいないのではないか。先の国王の隣の部屋にいた侍従も庶子派だし。

 侍従が出て行った。


 侍女が王妃に言っている。

「大丈夫でしょうか」

 実家から呼び戻した侍女だな。


「わかりません。なにか考えがあるのでしょう」

「色々な方とはどういう意味でしょう」

「それは叔父上の支持者と数少ない国王に近い方でしょう」


「危なくないでしょうか」

「ここにいても同じでしょう。先の国王陛下は薬を盛られているようですし」

「私たちが出て先の国王様は大丈夫でしょうか」


 そうだねえ。先の国王陛下はもう回復したほうがいいな。薬師を派遣しよう。庶子派に精神的ダメージを与えよう。

 誰がいいかな。真面目さは6聖人だが、臨機応変口八丁手八丁の詐欺師・ペテン師のハビエル神父の方がいいかもしれない。薬師になるのは容易いだろう。


 まずは先の国王に手紙を書いて、ドラニちゃんに持って行ってもらう。書いた。

「ドラニちゃん、先の国王に手紙を持って行ってくれる?」

『わかったー』


 ドラちゃんと二人で飛んで行った。手紙は忘れている。あ、気がついた。手紙はドラニちゃんの収納にプッシュした。

『忘れちゃったー』

 飛んで行った。可愛いね。


 王宮、先の国王の部屋。少し空いている窓から小さなドラゴンが入ってきた。足を差し出すとポトっと封書がベッドの上に落ちる。先の国王が手に取るとドラゴンが読んでと言っているようだ。


 読んでみると、今日薬師を派遣するからそれで回復したことにしましょう。一時間後に王宮の入り口にハビエル神父というものを派遣する。出迎え不要と書いてある。差出人はジュノ シン様だ。神様だ。手紙をおしいただいて、お願いいたしますと返事をした。

 コクっと頭を振って二頭で出て行った。


 先の王妃に手紙を渡す。

「どうやってこの部屋までくるのでしょう」

「わからないが神様の使いだから問題はないのだろう」

「楽しそうね」

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