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奈落の果てまでウワアアア

 閃きにすべてを賭けよう。誤魔化しもいんちきも、もう通用しない。受けを狙っている場合ではないわけだ。ただひたすらに文章を書く。一か八かで書き進めるだけだ。閃かなければ、書き終わることはない。ただそれだけのこと。同じ場所で足踏みをしていたって仕方がないだろう。ぼやっとしていたら、流れ弾に当たってイチコロだ。動き続けるんだ。おれの中身をひっくり返して、ぶちまけてやるんだ。考えている時間がもったいないし、話し合う相手もいない。居酒屋の灯に吸い込まれなくなったいま、いまこそ閃きにすべてを賭けるべきだ。ほとばしる閃光できみたちの肝を潰してやる。おれの文章を読んでしまったら、もう二度と元には戻れやしない。それくらいの意気込みがおれにはあるぜ。あるにはあるんだぜ。でも勢いが……つかない。景気のいいハッタリをかませば、おれもその気になるかなって思ったんだけど、ただただ虚しく言葉が連なってゆくだけだ。まあそりゃそうだ。ハッタリは所詮ハッタリ。虚勢なんかでおれ自身が騙されるわけがない。おれをあまり舐めてくれるな。おれはIQが150あると勝手に思っている男だぞ。計ったことなんてないよ。これからも計る気はありません。本当のことを言うと、IQ90くらいなんじゃないかなって思っています。ゲームのI.Qもすごい苦手だったもの。すぐにウワアアアアって落ちていっちゃう。なんか悪夢みたいなゲームだったね、あれは。ずごん、ずごん、ってでっかい四面体が迫ってくるってすごく嫌なシチュエーションじゃないですか。で、追い詰められて、ウワアアアアア!


 そういえば。おれは昨日、阿部千代かあいそかあいそなのです。と書いたんだけど、梨花ちゃんはかあいそかあいそじゃなくて、かわいそかわいそでしたね。レナちゃんのかあいいようと混ざってしまった模様。ニワカはこれだからいけねえな。ひぐらしのなく頃にをよく知らない人からしたら、狂人の書いた文章だね。だね。レナちゃんはこうやって語尾を繰り返すんだけど、あれはになにか理由があるのだろうか。すべてに疑心暗鬼になっている阿部千代です。だってレナちゃんの私服はよくわからない代物で。ダサいと一言で済ませるわけにもいかなくて。なあ……レナ、あれはワンピースって言うのかい? 頭に乗っけているアレは帽子ってことでいいのかい? 考えるんじゃない、阿部千代。だって……レナは仲間じゃないか。嘘だッ! に2年前は超びびらされたけど、今回はまったく怖くなかったじゃないか。冷静に考えればなにもかもがおかしくて。中学生と小学生と本気で一緒に遊ぶ富竹さんにしたって怪しくて。だって、自分のシャツに落書きされたら、普通はなにしてくれるんじゃガキどもって感じになるだろう? ドッグタグをぶら下げていたり、無駄に筋骨隆々だったり、ただの写真家じゃありませんって自己紹介しているようなもんなんだよぉぉぉぉお!! 初夏の山地にタンクトップ一丁で入るヤツなんているわけがないんだよぉぉぉぉぉお!!

 まあ、普通にハマっているわけだ。ひぐらしに。かわいいよね、おれって。普段はオタくさいコンテンツは苦手とか言いながら、素直にハマっちゃうの。だっておもしろいんだもん。でも長いんだよ、ひぐらし。最後までやりきることができるだろうか。できるだろうか、じゃない。やるんだよ。雛見沢でなにが起きているのか、おれはそれを見届けなければならない。せめて富竹さんが何者なのかくらいは知っておかなければ。


 そんなわけで、きょうはデリック・メイだ。なにが? 知らないやつは知らなくていいんだよ。この世界には表現者と作品が溢れに溢れている。そのいちいちにアクセスしてたらきりがないだろう? おれだって小説のほとんどを切り捨てているよ。はなから相手にしていない。おれが興味のあるものは普通ではないものだけだ。収まりのいいストーリー、魅力的なキャラクターなんかには、とんと興味がないんだ。誤解はしてほしくない。おれはそれが楽しいのは知っている。ひぐらし、楽しいもの。でも小説となると話は別なんだよ。まったく別の話になるんだ。小説からおれが得たいものを言葉にすることは難しい。難しすぎて、眠くなっちまうくらいだ。眠くなってきて、はやくこの文章を書き終えたいくらいだ。こんなやる気のない状態で書くのなら、書かない方がマシなのでは。そう思うだろう? 実はおれもそう思っているんだ。今日も文章が書けるイメージをまったく捉えることができないまま、書き出してみて、案の定これだ。それでも書かなければいけない、そんな気がするだけだ。いまだってなんの感触も掴んでいないよ。空虚な言葉たちを、閃きもないまま安易に記しているだけだ。はっきり言ってこんな自分に嫌になってくる。なにかが狂っている。バランスを崩している。でも構うものかよ。おれの気分なんて大した問題じゃない。書き進めるだけなんだ。その先へ、その先へと。

 なにかをする。壁にぶち当たる。当たり前のことなんだ。壁に体当たりを繰り返すだけさ。いつか突破できるかもしれない。できないかもしれない。たとえ突破できたとしたって素敵な気分は長続きしないよ。すぐにまた新しい壁にぶつかるに決まっているんだからね。それが嫌ならさっさと尻尾を巻いて逃げ帰りなってことだ。いつだって逃げ出すのは簡単だぜ。おれは労働からは簡単に逃げ出すし、そのことになんの感慨もないけれど、文章を書くことから逃げ出しちまったらきっとその事実はおれを苦しめるだろうな。結局のところ、どっちにしろラクになんてなれないんだから、だったら壁にぶつかり続けていた方がまだマシってもんだ。ほんの少しでも戦う意志があるのなら、逃げるべきじゃない。


 大袈裟なことを書いているけど、それだけおれは追い詰められちまっているってことだ。最近は文章を書くことがまったく楽しくないぜ。自分の書いた文章に輝く部分を見出すことができないってのはなかなか辛い。本当に気分が悪いよ。文章を書くことが怖くなってくるくらいだね。おれの身体が精神が、おれから出てくる言葉を拒否している。まったく。ふざけた話だ。どうにかしてぶん殴ってやりたいね。この状況を、この状態を、おもいっきりぶっ飛ばせるような、そんな勢いを切望してやまないよ。

 おれってたぶん真面目過ぎるんだろうな。そう言うとなぜだか鼻で笑われるおれだけど、でもそうなんだよ。でなけりゃ、文章が思うように書けないくらいのことで、うんうん思い悩むわけがないだろう。ただ停滞は一掃しなければいけない。真面目なんていいことでもなんでもないんだ。キーワードは、スピード、インパルス、イリュージョンだね。この3つを肝に銘じて文章を書いていこう。一度すべてをぶっ壊すくらいの覚悟が必要だ。文章ではなんとでも言えるけどね。いやなんとでも言えないから苦しいんじゃないか。そうなんだよな。どっちも正解。ちょっとあれかな、最近のおれは意識が狭まりすぎていたかな。拡張させていかないと。見えていたものまで見えなくなっちまうのはごめんだよ。独り言セラピー。自分の相談に自分が乗る。これって情けない光景かな。恥ずかしい風景かな。言ってる場合じゃねえんだよ。切実なんだって。恥だってなんだって晒すぜ、それで文章が書けるようになるならな。どうせおれを見ているやつの数なんてたかが知れてら。いや人数の問題でもないな。何万人がおれを見ていようが、そんなもん関係ないんだ。おれはおれを納得させるだけのことをやる義務がある。おれにおれの文章を認めさせなければならないんだ。それだけの話だ。

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