無情に色っぽい
そりゃまあ書くことなんてないわけですよ。その一言に尽きるんだよね。いくらおれが文章を書かねばって気合いを入れようがさ、書くことがないっていう事実は揺るぎませんよね。けど文章を書く以外なにもすることがないわけでね。
なんでか暇ってわけではないんだよな。放っておくとするするっと時間は過ぎて、一日なんてあっという間ですよ。あまりにも滑らかに時が過ぎ去ってゆくものだから、人生のぜんぶがこんな風だったらめちゃくちゃラクでいいのになって思うんだけど、まあそうは問屋が卸さないのは皆さんも知ってのとおりでございます。
不思議なものだよね。焦ってちゃかちゃか日々を過ごしていた方が時間の感覚がゆっくりで、のんびりゆっくり過ごすとあっという間に季節なんてすっ飛んでいくんだから。おれはやっぱりのんびり過ごしたいよ。その結果、あっという間に人生終わりでもいいよ。ドン・コルレオーネみたいな死に方とか超いいよね。オレンジ咥えて子どもと遊んでいる時にコロッと逝っちゃうの。マイケルの死に方ってお父さんとほぼ一緒の死に方してるんだけど、お父さんは暖かそうな日差しの中で、孫だかひ孫だかと遊んでいる時に死んじゃって、マイケルはなんかどんよりとした天気の日に孤独の中で死んでいくわけですよね。対比みたいな感じなんだろうけど、おれは別にマイケルの死に方でもいいよ。拷問の中死んでいくんじゃないんだから。そりゃマイケルにとっては娘さんの死が拷問のようにつきまとっていたのかもしれないけど、それでもマイケルはあの後も生き続けたわけでしょう。で、老いぼれて孤独に死んでいくんだけど、椅子に座って死ぬっていい死に方じゃん。そうは思いません? 病院のベッドではなく、椅子で死ぬってのがおれの憧れだよ。ゴッドファーザーシリーズを観ていないとさっぱりなお話でした。まあのんびりストレスなく生きて、ある日ぽっくり逝けたらこんなに幸せなことってないじゃんっておれは思うんだよ。
でも周り見てみると、おれみたいに、なんの組織にも属さないで金を稼ごうともしない期間を過ごしたことのある人って、そんなにいないんだよね。むしろそういう状態って恐怖の対象みたいになってる。あと罪悪みたいに思ってたりとか。意味わからないよね。おれなんて隙あらばそういう状態に自分を誘導しちゃうんだけどな。働かないで済むなら働かない方がラクに決まってるじゃん。みんな知らないんだよね、このラクさを。申し訳ないけど、めっちゃラクだから。もし小指一本落とせば、一生この生活を確約してやるって持ちかけられたら、おれは迷いなく小指を落とすよ。恐怖は一瞬、痛みなんて一か月もすれば終わるじゃないですか。片腕一本って言われたら、そりゃ割に合わんとは思うけど。片目なら……うーん、迷うけど、やっぱそれも遠慮しておきたいね。目はちょっと怖すぎるよね。それなら渋々働きますわ。
ありえない仮定の話に真剣に悩むのって馬鹿の証拠だよね。こういうやつに、宝くじ当たったらどうする? って聞くと興奮しだすんだよね。おれ? おれは生活費にまわす一択だ。とりあえずその金が無くなるまでは働きません、絶対に。ここまで働きたくない40代って逆に頼もしくない? そんなことない? そうですか。
書くことがないからはじまって、働きたくないで突っ走る文章。それも文章なんだよ。でももう少し格好つけたいね。あまりにも明け透けというか、普段着すぎる。っていうかパジャマだな、もう。これじゃ外に出られないよ。ゴミ出しくらいならできるけどね。いま頃の季節は半纏を羽織ってパジャマでゴミ出し。手ぶらの帰りは、半纏の袖の中に両腕を入れるのよ。これが粋ってヤツですよ。昔のマンガの浪人生のイメージだよね半纏って。初期のるーみっくわーるどにいそうな感じ。ぶぎゅるっ。いま踏まれたね。高橋留美子の凄いところはこういうところだよね。ぶぎゅるっ、て書くだけで、絵が浮かんでくるでしょう。おれはめぞん一刻とらんま1/2くらいしか読んだことないけどさ。ちゅどーん、って書けば、ああ茜ちゃんが乱馬をぶっ飛ばしたんだなって思いませんか。別に思わなくてもいいけどね。らんま1/2の連載中にはまだ生まれていなかった人が読んでいるかもしれないし。おれはなびき姉ちゃんが好みでした。どうでもいいね。まあいま読んでも面白いと思うよ。萌えの源流の方にいる一人なんじゃない? あの頃のオタクはそりゃもう高橋留美子先生に夢中になっていたものですよ。つーかサンデーがそんな感じだったのかな。ゆうきまさみとかさ。まあそれしか出てこないけどね。あんまり詳しくないことは書かない方がいいね。つーか高橋留美子はいまもバリバリの人気マンガ家だもんな。過去の人扱いしちゃいかんよ。偉人であることは確かですけど。
本当最近はマンガを読まないんですよ。ちょっと前にポーの一族の新しいやつが出てるのを知って、ぜんぶ買ったんだけどいまだにビニールカバーも破ってないもんね。あとアラン・ムーアのプロビデンス2巻もまだ読んでないものな。いやその前にラヴクラフト全集を読んでおこうと思ってさ。一応ざっくり説明しておくとプロビデンスはラヴクラフト自身と彼の小説の知識があることが前提のコミックなんだよね。で、おれはラヴクラフトを読んではいるんだけど、細かいことはやっぱり覚えていないのです。それで読み始めたんだけど、ラヴクラフトの文章って眠くなるんだよね。おれはそこが好きなんだけど、まあ退屈なんですよ、はっきり言ってね。面白いけど退屈っていうわけのわからない感じ。すぐ寝ちゃう。それでもう、このペースじゃやってられないなって感じで、ラヴクラフトのマンガ版を買ってみたんだよね。ビームコミックスのやつ。すごい絶賛されてたから。でもそれがつまんないの。これだったら小説を読んだ方がマシだわって思ったりして、もういつまで経ってもプロビデンスに到達できないわけですよ。それでもう面倒くせーって投げ出して、1年くらい経っちゃった。そろそろまた着手しないと。でもそうなると、おれは馬鹿だからまたラヴクラフト全集の1巻から読み始めるわけです。途中で止めたゲームも、おれは最初からやらないと気が済まないタイプなので。それでいつもまた途中で止める。いままたファイアーエムブレム風化雪月を最初からやり始めてて、すげえ楽しいんだけど長いんだよね、このゲーム。おれまだ第一部も終わらせたことないんだ。ディミトリは先生って言ってきたり、お前って言ってきたり、礼儀がなってんだかなってないんだかよくわからないやつだ。貴族だ王族だって、体制嫌いのおれからしたらウゼーって感じだけど、やっぱり進めていくとみんなに愛着湧いちゃうっていうね。単純なおれだよ。ラヴクラフトはどこいった? 死んだよ。
そんな感じの毎日ですよ。今日はちょっと雑に文章を書いてみたよ。どうでしたか? まあ誰もなにも応えてくれないことを承知でしつこく問いかけるんだよ。こっちにも意地があるんでね。伊達にあの世は見てねえぜ。この幽助の決めぜりふ的なのって当時の少年ジャンプの連載マンガのコピーを一般公募する企画があって、それで選ばれたやつだってこと知ってた? 説明下手でごめん。つまりは一般読者が考えたやつだってこと。で、なにを隠そう、おれなんだよね、考えたの。伊達にあの世は見てねえぜ。凄いだろう? まあ嘘なんですけどね。どこからが嘘なのかは各自で考えるように。おれの指導方針はそんなに甘くないぞ。ファーガス神聖王国の王子だかなんだか知らんが、構わず草むしりさせるからな。そういうことだ。




