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厚かましくも無邪気

 調節しよう。頭のねじを巻き直そう。長い季節のまだ暗い早朝にこそ、調節できることがある。一心不乱に邁進とはいかなかったけど、重めのジョグくらいのスピードは出ていたはずだ。それなりの時間、文字をタイプすることに費やしてきて、息つく暇もなく行き着いた場所はスタート地点だった。傾聴に値しない演説を文字に起こす作業に疲れていては成長は望めやしないぜ。ヘイ調子はどうだい、お調子者のお通りだい、働く・オア・ダイ、選べない大問題。一日の大半を部屋に引きこもって、その気になったら文章を書いて、眠たくなったら眠って、それ以外の時間はほとんど馬鹿げたゲームに費やして、まるで楽園の王様気分だけど、メシだけは大抵決まった時間に食う。そろそろ外に出ないといけない。事実の切っ先がおれの喉元に突きつけられている。街に出たくない。くだらない連中と交わりたくない。この間違いだらけの間違い探しは間違いがいくつあるんだ? 一体いくつになったらまともになれるんだ? その気がないやつには一生かかったって無理だって。そもそもまともってなんだ?


 換気扇の下で吸う煙草はうまいか? うまいときもあれば、うまくないときもある。でも違いなんてほとんどないよ。煙を吸い込んでゆく、油とタールでべとついたフィルターを見つめながら、これからのことを考える。考えたって仕方のないことを考えたって仕方がないんだよ。選択の余地はないことくらい理解しているだろう。もちろん頭ではね。けどおれと頭は仲が悪いんだ。どっちも頑固なわからず屋。わかったフリだけは上手なのにも関わらず、そこから先はめちゃくちゃだ。回らない知恵と首に四苦八苦しながら、文章に逃げ込んだ。ああ突き抜けてゆきたいぜ。どこまでもどこまでも限界知らずの上等な夢の中で遊んでいたいんだ。そろそろ目覚める時間? 延長お願いします。ダメ? どうしても? ずいぶんと厳しいね。もっと気楽にやろうよ。肩に力が入りすぎてますよ。ずいぶんと凝ってますね。スムーズにいかないですね。酷い文章ですね。なにも考えていない証拠です。性懲りもなく、毎日こんな感じの文章を書いています。楽しいかい? 楽しくねえよ!


 くだらない文章、ありきたりな比喩、なにも表現していない表現、つまらないエピソード、いちいち文字にする価値はないのかもしれない。かもしれない、ではない。はっきりと価値がないと認めたまえ。それでも毎日書くことには価値があるだろう。そう思い込んだっていいだろう。勝手にするさ。自由に書こうとすると、なぜか不自由に追い詰められてゆくのは何故なのでしょうか。それはね、自由など存在しないからだよ。自由なんてものは言葉の中にしかないのさ。おれたちは生まれてから死ぬまでずっと囚われの身なんだよ。死んでからのことは不明。もしかしたらそれが自由というものなのかも。そう信じて実行に移したやつも数え切れないほどいるけど、きみもそのひとりになるかい? いえ、今回は遠慮しておきます。明日になったら良いことあるかもしれないし。それってギャンブル中毒のやつの考え方に近いよね。そうなの? 知らないよそんなこと。おれギャンブルやらないもん。ギャンブルを嗜まない男は取るに足らないやつだって風潮なんとかなりません? 破滅しないギャンブルなんてギャンブルじゃないだろう。1レースに1000円突っ込んだくらいでギャンブラー面してるんじゃねえよ。おれなんて丸2年働いてないんだぞ。おれの方が立派なギャンブラーだろう。振り返れば破滅がニコニコ手を振ってるもの。おれも一応、ハーイって手を振り返してはみるんだけど、マジでどうしよう。


 朝からしけた話はするもんじゃないな。重要なことは、おれがまだ生きているってことだ。元気いっぱい。打ち負かされっぱなしの人生は言うほど悪くない。羨ましがられるってほどでもないけど、妬まれたり足を引っ張られたりはしないから、気楽なもんだよ。蔑まれることはあるけど、その辺は根性でなんとかしよう。なんにせよ、気にしないことだね。興味のないことはぜんぶシカトだ。でもなるべく多くのものに興味を持とうね。ほとんどが役に立たないことだけど、気は紛れる。気が紛れれば、解決することって沢山あるでしょう。それは錯覚だって言うなら、最後まで錯覚していればいいじゃない。目を覚まさなければいいじゃない。夢の中で遊んでいれば楽しいよ。みんなで手を繋いで遊んでいれば、それがいつしか現実になってゆくのに、大抵のヤツはある時はっと目覚めて寝返りやがる。おいおい、夢の中に置いて行かれたおれはどうすりゃいいってんだよ。仕方ないから、ずっとひとりで遊んでいるよ。いつ飽きるのかなって自分でもそう思うんだけど、これがなかなか飽きないんだよね。不安? あるよ。当たり前じゃん。どんな生き方してたって不安はあるものでしょう。でも不安に飲み込まれたやつは悲惨だね。醜く変貌しちまって、まるで化け物みたい。角度によっては理知的に見えるらしいんだけど、例外なく狂ってるから。そういうやつはコスパとか言い出すからすぐわかる。二言目にはコスパって言い出すやつには近づかない方がいい。セコい考えは伝染するからね。まあおれがあなたに伝えたいのは不安はお友だち、怖くないよってこと。不安ってのはファンであり、ファンはファナティックから派生した言葉だから、まあそういうことなんだよね。どういうこと? うーん、わかんない!


 適当なことばっかり書きやがって。そうお思いの方も多いかと思われますが、そんなのはおれの気のせいなんだよね。だって見るからに適当極まりない文章に対して、適当だぞって怒る馬鹿がいるなんて到底思えないよ。でも世の中には信じられないほどの馬鹿も多数生息しているから、あらかじめ手を打っておくのは予防策としては悪くない。悪くないけど良くもない。正直に言えばどうでもいい。出たよ、またおれのどうでもいいが。なんでもかんでもどうでもいいって言えばそれで済むと思ってるんだ。そうかもしれん。そういう部分はなきにしもあらずだ。でも今回のどうでもいいは本当にどうでもいい話に対してのどうでもいいだから、おれが正しいと思います。なんでもいいよ。どうでもいいんだよ。よくもまあここまでどうでもいいことばかり書けるものだ。だってどうでもよくないことなんて書けないよ。どうでもよくないことってなんだ。財テクとか? いまどき財テクなんて言うやついないっての。お、またそういう話? 激おこぷんぷん丸の話をもう一度しちゃう? なんかさ、おれの中で激おこぷんぷん丸は猫なんだよね。もちろん怒っているよ。激怒している。あ、でもリアルタッチの猫ではなくて、もっとファンシーな80年代後半のサンリオのデザインみたいな猫だね。うちのタマしりませんか? よりもうちょっと前の感じ。もっとダサい感じ。伝わるかな。伝わらないだろうなあ。

 2024年になってから二度も激おこぷんぷん丸のことを書いているやつなんておれくらいだろうね。そういう意味ではオンリーワンの存在である。ただオンリーワンだからいいってわけでもなくて、むしろ歓迎されないオンリーワンの方が人数としては圧倒的に多いだろうことは想像に難くない。おれはどっち? データ上では歓迎されていない方に入っていそうだ。でもデータは所詮データ。現場で感じることがデータよりも重要な場合なんて腐るほどある。かといってデータをはなっから無視するのは愚か者のやることだ。経験則による直感とデータをうまくミックスして活用できることこそ、現代人に求められる最低限の能力と言えるのでないかな。

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