胸クソもぐもぐ
二か月以上毎日文章を書いていると、書くことなどとっくになくなっていると言うか、基本的には同じようなことしか書いていない。当たり前だ。おれはそれほど奥深い人間ではない。でもおれが素晴らしいのは、そんなことを気にも介さず、ほぼ誰にも相手にされないことを気にしながらも、そんな葛藤も力業でねじ伏せて、文章を書き続け、発表しているところだろう。もう文章の出来とかそういうのは抜きにして、おれの人格的なものも無視して、おれのこの姿勢だけでも誰かに褒めてもらいたいものだ。
でも知ってるよ。こういうことを書くことによって、その道すら潰れたのだ。おれの求めることが、ここ小説家になろうにおいては叶うことはない。おれが余計なことを書かなければそれは比較的簡単に叶ったのかもしれない。それくらいの文章力はあるつもりだ。しかし余計なことを禁止されると、それこそマジで書くことがなくなってしまうので、褒められようなんてどだい無理な話なのだ。忘れろ、おれ。おれへの賞賛なんてここにはない。インターネット上のどこにもない。おれの居場所は可愛い女の子たちの前だけだ。リアルの女性しかおれを褒めてくれない。なんて寂しい人生なんだ。
創作界隈くんがまた胸クソ悪い文章を書いていたな。なんで小説家を目指すのに、親とか教師の許可がいるんだよ。そんなもん黙って勝手にやるでしょうよ、普通。いい歳こいて、親の許可がないとなにもできないのか、アイツは。認めてもらったからってだからなんだよって話だしな。それとも小説家事情に詳しいおれちゃんアピールをしたかったのかな。まわりくどいことするのう。
しかもよー、なんだあの文章、いわば冷笑文体っつうの? おれだってまあ人を不愉快にさせる文章を書いてるかもしれないけど、おれって真っ直ぐじゃん? 素直じゃん? 賛同も否定もいらねえよ。おれがそう思ってるからいいの。でも創作界隈くんは、ねちねちびちびち、イヤミの下痢便みたいな文章書きやがって。バンドマンとかめっちゃ馬鹿にしてるっつーか、あれ正社員以外を人間だと思ってねえだろう。マージナルな人間には居場所はねえってか。なんでアイツ小説なんて書いてんだ? まったくしょうもねえ。あれが人気で、おれが不人気ってちょっとマジでよくわからんね。ここの連中ってみんな性根腐ってんじゃねえの? それじゃモテねえって。マジで。
まあでもああいうヤツは、敵に回すと厄介だからな。浦見魔太郎と化して、なんかあったらクレーム、通報、訴訟ってタイプだよ、ありゃ。維新の会とか好きそう。
ちょっと前にくさした先生は、なかなかのアレだった。ザガ地区ってなんだよ。彼はもう大丈夫。おれの敵からは外れた。うんっ、て書く癖もかわいいしな。おれもクセになっちゃいそう。自分勝手にお後をよろしくしちゃうのもキュートだね。うんっ、頑張って生きていこうねっ。
本当に色々な人がいるよね、小説家になろう。眺めてるだけで飽きねえわ。おれもその色々な人のひとりよ。おれもどこかの誰かに眺められてるの。そうだよ、知ってる。眺められたいから文章を投稿してるんだもん。望むところなんですよ。でも本当のおれの望みってなんなんだろうね。一時期はマジで文章が上手くなりたくて、小説が書きたくて、それだけだったけど、なんか今はね。どういう風に暴れてやろうか、みたいなさ。ああ、でも誰かを傷つけたいわけではないんですよ? これってもしかしてワタシのこと書いてる? って思った人がいたら、それはたぶん勘違いですから。勘違いしないように。ぼくはあなたのことなど書いていません。くれぐれも勘違いしないように。もし勘違いしたとしても、通報とかだけは止めるように。自分の文章で、あるいは感想でぼろくそに貶すのは大丈夫だけど、おれから文章発表の場を奪おうとするのだけは勘弁してくださいね。
おう、なんだか急に眠くなってきた。寝るならこの文章を書き終わってから寝ようね。仕事だからね、一応。そういう自覚を持ってください。でもこの眠気、ちょっと凄い勢いがあるね。いまもう目が開いてるんだか開いてないんだかわからない状態で書いてる。流している音楽が悪いのかもしれない、戸川純からキャプテンビーフハートにかえてみた。うお眠いぞ。これはまずい。
さて仕切り直しだ。スーパー行ったら、BGMがワム! だったね。そんな季節よ。つい、スペシャ~ルって合いの手入れたくなっちゃうよ。なんとなく認めるのはしゃく! なんだけど、あの曲はなんつーか、グッとくるというか……好きですね、ぼくは。なんでか恥ずかしいんだけどさ、クリスマスと言ったらあの曲なんだよね。山下さんもレノンさんもそりゃクリスマスソングの定番だとは思いますが、あとマライアさんもか。まあ他にもいっぱいあると思うけどさ、スロッピーセカンズのロンリークリスマスとかね。誰も知らないよ、そんなの。じゃあ教えてあげる。スロッピーセカンズはフィラデルフィアのメロウなパンクバンド。ヴォーカルがダミ声のクソデブなんだけどメロディは超美しいっていう、よくわかんないヤツら。歌詞はたぶん酷い。オタク童貞パンクみたいな感じ、だと思う。英語よくわからんから、聞き取れる単語と雰囲気だけで判断してるけど。
ワム! に戻りますよ。はい。まあつまりですな、あの曲、あの曲って言ってるのは曲名知らないからなんだけど、あの曲を聴くと今までのクリスマスの記憶が、走馬灯のように蘇ってくるんですね。いい記憶もありますよ。切ない記憶もありますよ。ろくでもない記憶もありますよ。それらが一斉に襲撃してきて、甘酸っぱくもほろ苦い気分になっちゃうんだよ。おセンチな阿部ちゃん。汚染地みたいな文章を書いているのにね。
クソ寒い中、新宿の東急ハンズ近くのベンチに座って、イルミネーションを一緒に眺めたあの娘とかね……お金がなかったからね。外にいたの。切ねえ。
奮発して予約したフランス料理屋でディナーしたあの娘とかね……たまたまお金あったんだよね。借金もあったけど。慣れない手つきでスパークリングワインをチン、ってしたよ。テーブルマナーとかもよくわからなかったけど、度胸と対応力でなんとかしたね。おれってやっぱりすげえ。
バイト先の男だけでカラオケで大騒ぎしたクリスマスもあったよ。椅子とかぶん投げまくって荒れてたね。張り紙とか剥がしたり。陰毛を燃やしたり。誰かが流血したり。それを見て爆笑したり。まだまだ良識知らずの童貞時代の阿部ちゃんでした。一応謝っておくよ、ごめんね。
こういう記憶たちがブワーッと総出で攻めてくるわけですよ。こりゃもうたまらんよ。そらおセンチにもなります。でもセンチメンタルはおれ、嫌いだから。特にこういう類いのセンチは許せんものがある。だからワム! のあの曲を流すのはやめろ! 小柳ユキでも流しててくれ。おれ小柳さんだったらなんも感じないから。ドン・キホーテで母子で働いてたんだよなあ、って思うだけだから。それか小柳トムでもいいよ。クリスマスソングを歌ってるかどうか知らないけど、バブルガムブラザーズならあるんじゃないの? クリスマスソングくらい。ブラザー・コーン頑張れって意味も込めてさ。
社会にはグッとこないクリスマスソングを流す義務がある。思い出に縛られるなんてまっぴらだ! 遠い目なんてしたくないぜ! コートの襟を立てて背中を丸めて歩き出したくなんてないんだ!
グッとこないクリスマスソング。なんか深夜ラジオのコーナーみたいだね。




