アクネヤングの濡れた夢
ミッシェルのチバさんが亡くなりましたね。2、3年前にガレージロックのイヴェントで、DJをやっているのを見かけたことがある。相変わらずルースターズが好きなんだなあと嬉しくなったのを覚えている。ミッシェルもバースデイもそんなに好きではないというか、あまり聴いたことがないけれど、高校生くらいのときは周りの連中が結構ミッシェルに夢中になっていたから、おれら世代のヒーローのひとりではあるだろう。
おれが御冥福をお祈りするほど思い入れのある人ではないし、おれがお祈りしなくても、恥知らずなやつらがSNSなどで大量に御冥福をお祈りしていることだろう。まあチバさんの死についてこうやって書いている時点で、おれも恥知らずのひとりということになってしまうのだけれど、それでもやっぱりなんだか寂しいね。
外は比較的あたたかいのだが、室内は寒いので、暖房をつけるのだ。ああもう。適当人生。いままで一度でも真面目にことと向き合ったことはあるのか。あるよ。あるよっていうか、いつだっておれは真面目だっつうの。大真面目で生きてるのよ。でも他人に評価されないなら、それはまるで意味のないことなんだろう? んなわけあるかい。ふざけんな。なぜそこで他人はバカばかりという発想が出てこない? それは恥ずかしいことだから? それとも本当はそう思っているのに、本心を隠しているだけなの?
自分の書いた文章を他人が読めるところに出している時点でもうじゅうぶんに恥ずかしいっての。これ以上に恥ずかしいことって他にあるか。恥ずかしいからあんまりリアルの知り合いには言いたくないんだろう。文章を書いたり、小説を書こうとしている時点で、ですよ。もうあんたは恥ずかしいやつですよ。初対面のやつに言えるか。趣味で文章を書いています、小説家になろうっていうサイトで。言えるか。言えるわけがないだろう。言えたら大したもんですよ。キレてないですよ。
最初っから恥ずかしいんだから、もう突っ走れよ。ぶっちぎれよ。自分以外のすべてを潰せ。生きるか死ぬかの勝負に持ち込め。最終的には自分も殺せ。わかったかバカヤロウ。
なんかもう旅行にでも行きたいね。おれが旅行に行きたいなんて思うのはすごく珍しいことなんだぞ。基本、動きたくないんだから。旅行に行ったら行ったで、今度は帰るのが面倒くさいってなるくらいなんだから。今日はホテルで一日過ごそうよ、なんて思っちゃうんだから。だって観光ってマジでつまらないんだもん。観光地に集まっている連中って例外なくアホみたいなやつばかりだし。そういうアホ向けの商売やってる最高にださい店が軒を連ねているし。観光地のランドマークをバシャバシャ写真に撮っているやつは、頭の中に蠅の卵でも産みつけられたんじゃないか? だってそんな絵はどこにだって転がっているだろう。ネット、ガイドブック、TV……いちいち探さなくたっていくらでも見れるだろう。ら抜き言葉だとか、いちいち指摘してくれなくても結構なんだよ。これはコンピューターへの文句です。それとも素人が取った写真だから、それがいいのか。拙い構図と冴えない連れの笑顔とピースサインがいいのか。わからないな。なにも共感できない。観光地が好きなやつってなんなの? こういう文章を読んでもなにも思わないやつか。なるほど。それは言えてる。
奥日光とかいいよね。いろは坂を登って、山の上の湖の周りをとぼとぼ歩くの。華厳の滝には見向きもしないで、そのへんで鳥でも探すの。お腹が空いたら、とんかつでも食べて。湖に飽きたら、更に山の上を目指すのさ。あのへんってよくわからないよね。登るとまた湖があるの。どういう地理なんだ? こんどタモさんに聞いてみるか。
戦場ヶ原とかいいんだよね。なんもない。つーか、タモさん。なんで山の上なのに、こんなだだっ広いところがあるんですか? もうよくわからなくなっちまうよ。でもたぶん火山なんでしょう。原因は。こういうわけのわからない地形って、大抵火山なのです。まあ火山って地球のエネルギーの逃げ場所だもんね。地球のニキビっていうか。地球の夢精っていうか。やっぱ地球ってとてつもなくデカいのよ。いや、おれがとんでもなく小さいだけか。
戦場ヶ原って名前もいいよね。昔の人はあんな辺鄙なところで戦争してたのか? そう思わせておいて、実は神々の争いの場だったていう素敵なおはなし。確かにそう言われてみると、そんな感じがする。荘厳なんだよね。でっかい蛇とムカデが戦ったんだってさ。マンダ対ムカデンダーって感じかな。かっこいい。鳥もいっぱいいるし最高だよね。熊もいるらしいね。近所に欲しいよ、ああいう場所が。
今日は晩ご飯作らなくていいからご機嫌だね。昨日のチゲ鍋が残ってるから。ご飯を炊いて、サラダを作るだけでいいのさ。でもサラダを作ることすら面倒なのさ。気が進まないのさ。でもでも今日中に食べたいのさ。シナシナになった葉っぱは食べたくないのさ。ぶよぶよになったミニトマトは気持ち悪いのさ。だから今日中に食べておきたいのさ。気が進まないけれど、やるしかないのさ。それがおれの運命だと言うのならば、粛々と従うまでさ。




