パープーハイスクール
なんか大人のあるあるとしてさ、学校系の夢をいまだにみるっていうのあるでしょう。定期テストで問題がなにひとつ正解が解らないんだけど、周りはみんなスラスラ問題を解いていて焦った、みたいなの。まあそれぐらいしか例としては思い浮かばないんだけどさ。
おれは一切そういう夢みてこなかったわけ。学校系の夢、っていうか夢自体みたことを覚えていることが稀だったんだけど、必ず夢ってみてるらしいじゃん。あ、一応説明しておくと全部寝ているときにみる夢の話ですよ。
それが最近になってよくみるのよね、学校系の夢を。どんな夢かはっきり覚えているのは殆どないんだけど、ああ学校の夢をみたなあって質感だけが残ってるんだよね。でもひとつだけ、しっかりと覚えているのが、歴史の教師にちゃんと教科書を持ってきなさいって三回連続くらいで注意されていて、そろそろ本当に持っていかないとあいつマジでキレかねないな、って思ってさ、今日って歴史の授業あったけ……うんなんだかあった気がするな、って歴史の教科書を探してみるんだけど、無いんだよね。歴史の教科書が。ううん参ったなって困るってだけの夢なんだけど。
こんなことって本来は起こらないのよ。おれは教科書やノートの類すべてを学校に置いてあったから。なんであんな夢をみたんだろう。普通に焦ったよ。どうしよう……ってさ。
テスト系の夢はみたことないよね。多分、テストでプレッシャーを受けたことがないからだろうけど。定期テストでおれが一番拘っていたのは、もう早く終わらせるってことだよね。クラスの中で絶対に一番早く終わらせてやるって。そこに情熱を注いでたから。とにかく解らない問題は即諦めて、解る問題と記号問題だけバーッと埋めて、大抵5分くらいで終わらせてたんじゃないかな。ぶっちぎりで早かったもんね。終わったら速攻で解答用紙を裏返して、机に突っ伏して寝るか、問題用紙の裏に落書きして過ごすんだけど、その時間が至福だったね。なんかみんなが一生懸命やってる時に、おれは悠々と過ごしているぜって。最初は周りがおれを天才なんじゃないかって思ったらしいね。あまりにも早いから。スゲーもう終わったのかよって焦ったって言われて、おれも鼻が高かった。テストが返ってくると、なんだよただの馬鹿じゃねえか、ってことになったけどさ。
テストで0点ってさ、フィクションだとのび太くんとかよく取ってるけど、現実ではあまり見ないでしょう。おれもさすがに0点は2回しか取ったことなくて、1回は中学の時の技術かなんかのテストで、まあこれは仕方ないよね。仕方ないとしか言えないよ。なにこれ初耳なんだけど、って問題ばっかりだったからね。名前も知らない機械のパーツの名前とか知るわけないじゃん、そんなの。授業出てなかったのかな。出てたと思うんだけど、全部そういうの得意なやつにやってもらってたからな。触ると点く電灯作ったりとかそういうやつ。おれはもう一切関わってなかったから。授業の間なにやってたんだろうね。そっちの方が退屈じゃない? そう今なら思うけど、当時は本当に嫌だったんだろうね。
2回目は高校の数学ね。いやらしいことにさ、記号問題がなかったのよ。問題を見た瞬間にやられたと思ったね。もう数学なんてさ、考えてわかるものではないじゃん。他の教科なら全然わからなくても、まだ推理したり、教師がドジったのかサービスなのかわからないけど、他の問題の中に答えが書いてあったりすることもあるじゃないですか。でも数学はね。解き方がわからなければ、為す術がないよね。もう問題を見ないで適当な数字を解答欄に書いて終わらせたね。宝くじみたいなもんだよね。いやルーレットかな、近いのは。全部、外したけどね。当たり前か。
こんな感じでも、成績自体はクラスの平均よりちょっと下くらいだからね、恐ろしい高校だったよ。みんなアホ過ぎて。こういうアホ高校あるあるだと思うんだけど、春の集合写真がどんどんアップになっていくんだよね。どんどん辞めていくから。素行が悪いのは大体すぐ辞めるのよ。おっかないやつは1年の夏前くらいには、ほぼいなくなってるの。残るのは何の取り柄もないアホだけっていうね。で、その後辞めていくやつは、普通に勉強が出来なさすぎて退学になっていくんだよ。テスト勉強とかほぼしていないおれより出来ないってどういうことなんだろうね。
あとは出席日数か。こういう高校って出席日数ギリギリなのがステータスだったりするからさ。入学してきた時にはあんなに礼儀正しくていい子だったのに……ってやつが、三時間目が終わった後くらいに、ちょっと悪ぶって登校してくるのを見ると、なんか悲しくなったよね。入学当初はおれのこと阿部くんって呼んでたのが、次に阿部ちゃんになって、最後は阿部って呼び捨てになった時は、さすがにちょっとおれも……まあ別にいいんだけど、なんかすっきりしねえな……ってなったよね。おれは最初からそいつのこと呼び捨てだったから、文句は言えないんだけどさ。
結局、そいつ出席日数の計算間違ってギリギリで卒業できなかったからね。卒業アルバムにも載ってるのに。アホ過ぎるよね。いい子だったんだけどな。
まあこんなんでも生きていけるから、もしいま勉強とかできなくて悩んでいる人がいても、まあ多分大丈夫ですよ。生きていくくらいなら余裕だよって。そう言いたいよね。老後がどうこうとか、ちょっと不安煽りすぎだよね最近。おれいまだに老後なんて知らねえよって思ってるけどな。だってやっぱり一番大切なのって若い時だよ。若い時に楽しまないと。年取ったら身体動かなくなっちゃうんだから。そんな時に一番金持っててもしょうがないでしょう。そう思うんだけどね。まあ人それぞれですよね、生き方は。そんなところかな。じゃあね~。




