ヴィールス・カプセル
しかしおまえ、ヘロインって。いつの時代のお話ですか。どこの国のお話ですか。大麻はゲートウェイドラッグだから、次に手を出すのは同じダウナーのヘロインでしょう。そういう思考なわけ? なんだったんだよ、あれは。闇社会にも精通してるおれちゃんって感じを出したかったのか? ヘロインやってるやつなんて、今の日本にいないだろう。オピオイドなら、まだわからいでもない。いや、やっぱりわからないな。まあ百歩譲ってですよ。ヘロインが流通しているとしましょう。日本の都会の危険な闇社会では。怖いですねー。闇が深いですねー。でもですよ、ヘロインやってる最中の人があんなに冷静に物事を考えられるわけがないだろ、ばかちんが。過去とか振り返っちゃってるの。あたいが初めて大麻を吸ったのは……だって。
小説家は自分の経験したこと以外は書けないって言葉が身に染みるな。でもおれは思うのよ。小説家は書けるべきなのよ。自分の経験したこと以外のことも。調べたり、想像したり、経験者に取材したりして、書く。それが小説家でしょう。想像力のないアホが、ネットやらなんやらでほんの少し聞きかじった薄っぺらな情報だけを頼りに、自分が体験してきたこととはかけ離れた事柄について書こうとするから、とんちんかんなことになるんでしょう。
編集者の立場からすると、そういう小説はどうなの? どうせ読者は馬鹿ばっかりだからなんでもいいの? ヘロインって言っておけば、びびるっしょ。みたいな感じなの? これでイキなの? 大反響間違いナシなの?
そして、また、削除したと。とんずらマイクロフォン。おまえは一体なにがしたいのだ。小説家になろうの運営様も言うておられるぞ。サーバーに負荷がかかるから、あんまり削除しないでね、ってよ。
あんた、向いてないんじゃないの。無視されるのも批判されるのも、当たり前のことじゃないですか。ただ甘やかしてほしいだけなら、そういうお店に行ってくれば? 無料でイイ気持ちにだけなりたいって、厚かましいにも程があるんだよ。もう少し、真面目に生きてみてはいかがでしょうか、とんずら先生。
まあね。おれには関係のない話なんだけどさ。嫌なものは嫌なんだよな。見ていないふりができないのよ。どうしても文句が言いたくなる。ちょっと前に、セックスピストルズがどうたらシドがこうたらっていう小説も見かけたことがあって、あれもむかついたな。おまえ、絶対にパンク興味ないだろって。パンクス=地元のヤンキーみたいになってるの。んなアホな。ピストルズとシド・ヴィシャスっていうアイコニックな存在に対してね、愛がないのなら、それで遊ぶなよ。っつーかね。いまパンクやるやつなんて、どっちかというと根暗だよ。まったく主流じゃないもん。おっさんばっかだぞ。パンクのライブなんて、結構な昔から。いまの不良が音楽やるなら、ほぼヒップホップだろう。
そういうね、自分が興味のないものをね、ふわっとした雰囲気だけでさも知ってる風に語られると、こっちは気持ち悪くてしょうがないの。セックスピストルズとシド・ヴィシャスの固有名詞を出しておけば、パンクってことで不良ってことでオッケー? じゃないんだよ。
それで、オチで殺されちゃうの。代償を払ったんだって。人に不義理を繰り返した代償をね。パンクス=地元のヤンキー=自分勝手で殺されてもしょうがないやつ、なんだって。めちゃくちゃでしょ。書いた人がどんな思いで書いたのか、おれは知らないよ? でもありとあらゆるものを、馬鹿にしているなとおれは思いましたよ。
まず音楽ね。それと不良ね。パンク自体も馬鹿にしているし、ピストルズ、シド・ヴィシャスも名前を出している時点で馬鹿にしているからね。興味ないんだから。興味ないものを書くなっていうの。へんてこりんになっちゃうんだから。つまらないギャグになっちゃうんだから。
その人の他のもちょっと読んだけど、そんなやつばっかりね。固有名詞出しておけばオッケー、なの。作者である自分の知識証明完了! みたいな感じなの。それがどういうものなのか、どういう思いに支えられてきたのか、なんてことは一切書いてないんだけどね。実在する曲とかカルチャーをお手軽に小道具にしちゃうんだ。おまえ、マジでそういうのやめろって。インスタント黄昏流星群を書くんじゃない!
こういう怒りと悲しみってどれだけの人に伝わるんだろうね。おれが心の狭い、邪悪な存在になっちゃうのかな。違うからね。おれは少なくない人に愛されている文化を、邪な意図で利用しようとする、略奪者、密猟者を批判しているだけだからね。本当は直接文句言ってやりたいよ。でもそれやるとマジでおれが悪になるでしょう。最悪、強制退会でしょう? ふざけんなって感じだよね。この文章だって場合によっちゃ、チンコロされて削除命令くるかもしれないんでしょう。狂ってるって。マジで。いかれてるからね。普通の人たちって本当に怖えよ。義とか侠って感覚がないからね。快か不快かでしか物事を判断できないから。それでもおれはひっそりと続けるよ、陰口という名のレジスタンス活動をね。大抵のやつは敵だ。ファックユー。




