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デート
「お、お待たせしました。」
待ち合わせ場所に現れた彼女は、言葉に出来ないくらいかわいかった。椿の柄の浴衣が、彼女を色っぽく見せていた。
俺は思わず言った。
「あずさちゃん!その浴衣すっごく似合ってる!可愛い」
「え、そうですか…?嬉しい」
そう言って笑った彼女の笑顔に胸がキュンとした。
「じゃあ、行こっか。」
「はい!」
俺たちは並んで歩き出した。
屋台でたこ焼きや、チョコバナナを買って、2人で分け合って食べた。
俺のくだらない話で笑う彼女を見て、幸せな気持ちになった。
こんな気持ちになるなんて、初めてだ。
しばらく話していたら、花火が始まった。
「綺麗…」
彼女は花火を見上げて呟く。
俺はその横顔に見惚れていた。
俺は思わず彼女を抱き寄せた。
彼女は驚いていたけれど、何も言わず、俺に身を預けていた。
花火が終わった。
俺は彼女から身を離した。
「あっごめん。いきなり。嫌だった?」
「…嫌じゃないです。」
彼女は恥ずかしそうにそう言った。
俺たちは、しばらく無言で2人で見つめ合っていた。