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黄金のドラグレイド  作者: 雨蛙
第2章 帝都ヴァルタール編
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第9話 協力

 翌日、佑吾たちは再びニアの店を訪れていた。

 店番をしていたニアを見つけると、佑吾は開口一番、昨日話し合った内容を伝えた。


「ニア、昨日の件だけど、俺たちも君の計画に参加させて欲しい」

「うわっ、ちょ、ちょっと待って!! 一旦外に出よう!!」


 佑吾の言葉を聞くと、ニアは突然慌て始めた。

 そして佑吾たちを店の外へと押し出し、自分も一緒に出ると、店のドアをピシャリと閉めた。


「まさかと思うが、君がしようとしている事を父親は知らないのか?」

「いやーえへへ……」


 ライルが、ニアの様子を訝しんでそう尋ねた。

 ライルの問いかけに、ニアはバツが悪そうな表情を浮かべて笑った。


「父さんは、あたしが危ない事をしようとすると良い顔しないからね。あたしが魔物の素材を一人で取りに行くのも、反対してるくらいだし」


 それでもね、とニアは言葉を続けた。

 その表情を、とても十代のものとは思えない真剣なものに変えて。


「デネブみたいな卑怯なやつのせいで、父さんの武器が売れなくなっちゃうのは絶対に嫌。そのためなら、あたしはどんな危険な事だってやるよ」


 その言葉に、そして彼女の覚悟を湛えた表情に佑吾は息を呑む。

 自分には、ニアほどの覚悟があるのだろうか。そんな考えが頭をよぎった。

 暗い雰囲気になりかけたところで、ニアは表情をパッといつもの明るいものに変えると、話を続けた。


「まっ、それは置いといてさ。あんたたち、あたしの計画に協力してくれるんでしょ? じゃ、あたしの仲間に紹介するから付いてきて」


 ニアが歩き出すと、佑吾たちは彼女の先導に従って歩いていった。

 しばらく街の中を歩いていくと、ニアが明らかに人通りの少ない裏路地へと入っていった。大丈夫だろうか、と少し不安になりながらも佑吾たちはニアに付いて行った。

 少し歩いて、ニアが足を止めた。

 ニアの目の前には、ボロボロで見るからに誰も住んでいなさそうな家があった。ニアはためらいなく、勝手知ったる我が家のように、その家へと入っていった。

 佑吾たちも、ためらいがちにその後に続いて、家に入った。


「さっ、こっちだよ」


 ニアが居間と思われる場所へと、佑吾たちを案内した。

 そこで、中央に置いてあるテーブルを囲むようにして、男が五人、女が二人、それぞれがソファや椅子に座ってくつろいでいた。

 男は二十代くらいの若い人も居れば、三十後半くらいの人もいた。

 女性達の方は、ニアよりも少し年上に見えるが、それでも一番年上そうな人でも二十代前半くらいだった。


「おいニア! そいつら、誰だ?」


 古びたソファに座っていた佑吾と同い年くらいの若者が、怪しむように佑吾たちを睨みつけた。


「新しい戦力だよ。魔物との戦闘経験もあるらしいから、実力はバッチシだよ」

「……彼らは、信用できるのか?」


 その場にいた七人の中で、一番年配そうな男性が尋ねた。


「信用できるよ。何たって、彼らはアフタル村から来た人たちだからね」


 ニアのその言葉に、部屋にいた七人が驚きを露わにして、納得したような表情を浮かべた。どうやら彼らも、デネブがアフタル村と取引しないよう手を回していることを知っているらしい。


「アフタル村……? もしかしてそこに居るのはライルさんかい?」

「ん……? お前は肉屋のせがれのジェイルか?」

「そうですそうです! まさか、ライルさんが手伝ってくれるなんて!! みんな、ライルさんは信用できる! それに、腕の方も信用できるぞ!!」


 ジェイルと呼ばれた男の言葉を聞いて、他の六人も佑吾たちへの警戒をやっと解いてくれた。


「仲間と認めてもらったところで、俺からも確認したい事がある。ニア、君の計画に協力するのはここにいるメンバーだけか?」

「いいや、ここにいるメンバー以外にも協力者はいるよ。ここにいるのは、計画の要を実行するメンバーさ」

「なるほどな……確認したかったのはそれだけだ」

「納得してくれたようだね。じゃあみんな、この人たちに教えるついでに、計画の再確認をするよ」


 ニアはパンパンと手を叩いて皆の注目を集めると、中央のテーブルに地図を広げた。

 そして、大きく丸で囲まれた地域を指差した。


「あたし達の目的はここ。街のはずれにあるグレーデン商会の倉庫。ここを襲撃する」

「「「襲撃!?」」」


 佑吾、コハル、サチの三人の驚く声が、綺麗に重なった。


「目的は何だ?」


 驚く佑吾たちを尻目に、ライルが落ち着いてニアに問い掛けた。


「あいつが管理している違法な商品を、保安局に見つけさせる事さ」

「どーいうこと?」


 コハルが、首を傾げる。

 その問いに、ニアは人差し指をピンと立てて自信ありげに説明し始めた。


「いい? 最初に、あたしたちが違法な商品があるデネブの倉庫を襲撃して騒ぎを起こす。軽いボヤ騒ぎとかね。次にそれを確認したあたしたちの仲間が、保安局へ通報する。火事だーってね」

「ちょっと待って。あんた確か、保安局にはデネブの賄賂が流れてるって言ってなかったっけ?」

「うん言ったね。そして、保安官全員に渡してる訳じゃないとも言ったよ。デネブが渡してんのは、管理職の上位の保安官にだけで、犯罪の対処をする下位の保安官には黄銅貨一枚たりとも渡してないんだ」


 サチの疑問に答えたニアは、そこで言葉を切り、地図から佑吾たちへと顔を向ける。


「それにね、保安局で通報を受け取るのは、あたしたちの仲間になってる保安官だよ。そして、賄賂を受け取っていない下位の保安官を引き連れて、確認のために倉庫に入ったら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って寸法さ」

「犯罪の証拠って?」

「麻薬だよ。デネブの野郎は、他国から輸入した麻薬をここ帝都で売り捌いてんのさ」


 ニアが佑吾の問いに答え、そしてその顔を忌々しげにしかめた。

 周りにいるニアの仲間たちも、それぞれ怒りや憎しみの表情を浮かべていた。


「デネブの野郎は、商談のフリをして飲み物に麻薬を混ぜて相手に飲ませるんだ。それで中毒になった相手に、麻薬を高値で売り付けて借金漬けにして、何もかもを奪っていくんだ。俺のダチもそれで……」


 ライルの知り合いのジェイルと呼ばれた男が、両手を強く握りしめ、悔しそうに呟いた。彼の両手はその悔しさを表しているかのように力一杯に握り締められ、ブルブルと震えていた。


「あたしの計画に協力してくれているみんな、デネブの野郎が許せないんだ。あいつに好き勝手やられるのは、もう限界なんだよ」


 佑吾よりも幼いはずのニアの瞳には、とても子どものモノとは思えない、並々ならない決意の色があった。


「……ごめん、話が逸れたね。計画の一連の流れはさっき言った通りなんだけど、もうちょっと詳しく計画を詰めようか」


 そう言って、ニアは計画の詳細について、更に語り出した。

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