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黄金のドラグレイド  作者: 雨蛙
第1章 転移と出会い
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第1話 日常

小説家になろうに初めて投稿します、雨蛙と言います。

本作品は異世界ファンタジーものです。


注意事項は、

・スキル、ステータス、レベルといった概念は登場しません

・主人公たちは、特殊なチートスキル等を持っていません

の2点です。


本作品を楽しんでいただけましたら、幸いです。

「ふう、今日は疲れたな」


 夜九時ごろ、スーツを着た、いかにもサラリーマン風な出で立ちをした男──千早佑吾が、くたびれた様子で帰路についていた。

 十一月に入ってから急に冷え込み始め、日が落ちると更に寒くなる。そろそろコートを出した方がいいかなと、ぼんやり考えながら歩いていく。

 いつもなら、こんな時間まで残業することはほとんどない。大体が定時上がりだ。しかし、今回は佑吾の同期がミスをしてしまい、その後始末を手伝っているうちに、こんな時間になってしまった。

 その同期とは、入社してから一緒に仕事をしたり、社内で他愛もない世間話をよくする程度には親しい間柄だった。だからミスをして困っている彼を、放っておくことができず、残業してまで手伝ったのだ。


 そういった経緯があって、現在に至る。

 同期の手伝いをした事は後悔していない佑吾であったが、その疲れはしっかりと佑吾の表情と足取りに刻まれていた。

 やがて、自分が住むマンションの部屋のドアの前に着いた。すると、部屋の奥からドアに向かって、何かが駆けてくるような音が聞こえる。

 その音の原因を知っている佑吾は笑みを浮かべ、待ち切れない子どものように急いで鍵を回して玄関のドアを開けた。


「ただいま!」


  ちなみに佑吾は未婚者だ。そのため、当然佑吾の「ただいま」に対して「おかえり」という返事が来ることはない。その代わりに、「ワン!」と元気な犬の鳴き声が返ってきた。


「おーよしよし、ただいまコハル!」


 佑吾が玄関のドア開けると、真っ白な犬が佑吾を迎えるようにちょこんと待っていた。佑吾は身をかがめ、犬に抱きついて撫で回す。犬も嬉しそうに佑吾へと身を寄せる。

 しばらく犬を可愛がって満足した佑吾が立ち上がると、犬は名残惜しそうに、佑吾の足に体をすり寄せた。

 ごめんな、と謝りながら居間へと移動する。居間へ入ると、本棚の上にのっそりと居座っている黒猫が、突然の闖入者である佑吾を訝しむような目でじとーと見ていた。


「ただいま、サチ」


 佑吾がそう呼びかけると、黒猫のサチはしばらくじーっとと佑吾を見つめた。しばらくして興味を無くしたのか、ぷいっと顔を背けた。

 そのいつもと変わらないサチの様子に、佑吾は苦笑する。

 コハルとサチは、佑吾にとって家族も同然だ。

 一緒に暮らすようになってからまだ二年程しか経っていないが、小さい頃からペットと一緒に暮らしてきた佑吾にとって、ペットは第二の家族だ。

 この子たちがいるからこそ、仕事も頑張れるというものだ。


 一息ついた佑吾は、スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを外しながら明日の準備を進める。明日は、実家に帰省する予定なのだ。月曜日は有給を取っており、土日と合わせて三日間、親戚の葬儀のために実家に帰ることになっているのだ。

 スーツケースに着替えや必要なものを詰め込んでいると、コハルが「何してるの?」と言いたそうな顔で、こちらにトコトコと歩いてきた。その可愛らしい仕草を見て、佑吾は破顔しながら答える。


「明日、ちょっと遠出するんだ。もちろん、コハルとサチも一緒にね」


 そう言ってコハルの頭を撫でると、コハルは嬉しそうに目を細めて、撫でられるがままになっていた。サチも佑吾の話に反応したのか、尻尾がくるりと一度動いたのが見えた。

 働き始めてから一度も実家には帰っておらず、また、働き始めてからコハルとサチと暮らすようになったので、佑吾の両親はコハルとサチの事を知らない。

 実家でもペットはたくさん飼っていたし、両親も動物が大好きなので、連れて行っても大丈夫だろう。コハルは人懐こいので心配無いが、サチは無愛想なので少々心配だ。でも、自分の両親なら、サチとも上手に付き合ってくれるだろう。

 実家での事を色々と考え、佑吾はコハルとサチとじゃれながら、帰省の準備を進めて行った。

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