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自我

眩と世永に連れられて来たのは、薄暗いろうそくのみで照らされた部屋。


かすかにクラシックがかかっていて、部屋の真ん中に大きいベッドが置いてある。


世永「自我穿通は凶妖と戦う時に必要な術なんだ。これを常時出来る人ほど力を得るんだ。」


樂「自我って今あるじゃん。」


眩「今はな。樂は怒った時頭が真っ白になった事ないか?」


樂「…ない。」


眩「人は他に向けての怒りとかの思いをぶつけようとする時、自我を忘れやすいんだよ。それで言わなくていい事もやらなくていい事もやってしまう。それが他我に襲われた状態。自分が自分で無くなってしまう。それを避けるために自分の自我を保つ方法を見つけるんだ。」


世永「それを心の芯に埋め込んでブレないようにするんだ。その自我を本能に埋め込む。この自我があるからこそ理性が保たれて思考が生まれる。」


世永が俺を浴衣姿に着替えさせる。


眩「俺は自分への怒りで自我を保っている。自分がこの時を生きてると思える心情を強く思うんだ。それがお前の自我穿通になる。」


世永「これをしないと、自分が他我に襲われてる時に仲間を殺したり、自殺する可能性があるからちゃんとやってね。」


その後、俺はベッドで1人自我を保つための思考を巡らせていた。


2人は何日掛かるかわからないけど、ごはんは持ってくると言っていた。


俺の自我を保つもの…?

俺の生きてる証の心情…。


俺は生を受けてから、いつも大切な存在がいなくなる。

俺が幸せを感じ、笑顔を見せ、希望を見せた瞬間全てを奪われた。


これが凶妖のせいと言えば、そうなんだろう。

けど、そんな簡単に決着出来ることじゃない。


俺が居たからみんなは死んだんだ。

産んでくれた母さんだって、俺のために体を張らなければまだ生きられていた。

父さんだって俺が生まれなければ泣くことは無かった。

俺がいるから、みんな不幸に会い死んでいく。


だから俺は俺自身を嫌った時、自分が見えるようになる。

凛翔と凛翔の父さんが居なくなった時、思い知ったはずなのに俺は自分の幸せを望んでしまったばっかりに父さん母さん、累、聖歌隊のみんなを殺してしまったんだ。


だから俺は幸せも希望も望まない。

ただ誰かの大切な人が理不尽に殺されないよう戦うのみ。

その戦いの中、俺が死のうと関係ない。

俺は死神なんだから死んでも誰も悲しまない。


こんな死神を誰も好きになって欲しくない。


だから俺は、俺自身を嫌って好意を退ける。


俺の自我穿通のやり方は自分への嫌悪でしか出せない。


と、思った時口の中に何か液体を入れらている事に気がつき目を開ける。


世永「わっ!起きた!」


樂「何してんだよ。」


世永「だって5日起きないんだもん。集中するのはいいけど心配だよ。」


おろおろと涙を流し始める世永。

5日も経ってるのか…?


世永に俺の携帯を出すように言い、画面を見る。

本当に5日間、俺は自我穿通のことを考えていたらしい。


目を開けると腹が空いてることに気付き、俺は世永が持ってきてくれたお粥を食べ、2リットルの水を飲み干す。


頭が痒かったので風呂場に連れってもらうと、眩がまた裸で豆乳を飲んでいた。


眩「おっ!集中力おばけ起きたか。」


世永「何時間風呂入ってるんだよ。仕事してよ。」


眩「世永よりはしてるぞ。」


樂「さっきのをずっと繰り返すのか?」


眩「そうだ。起きてる時も、寝てる時も、楽しい時も、辛い時も、今こうやって笑いあってる時も常にやった者だけが上に上がれる。」


樂「わかった。」


俺はその事を聞いてから、自我穿通をやり続ける日々を送った。

けれど、まだまだ力足りない。

俺より先に入った人たちとはまだ力が五分五分。


世永はそれで十分と言っていたが、みんなと同じじゃ上に行けない事くらいわかってんだ。

だから俺は、優善一宅は学校と寝るだけの部屋として使っていた。

そうしたら、この間一緒に生活していた奴に怒られた。

俺はお前たちがこれから大切と思える人を救えるように鍛錬してるんだ。

だから文句言うな。と思ったが喧嘩しても仕方がないのでババアに頼んで1人部屋の北棟に住まわせてもらう事になった。


北棟では問題児と言われる者の集まりだったが、それは見た目と言葉使いだけ。

中身はただの子供で、大切なものを失った悲しみをどこにぶつければいいか分かっていない者たちばかりだった。


あいつらもこれから大切と思える人に出会える人生を歩むんだ。

だから俺が守ってやれるように強くならないといけない。


そう思って数ヶ月過ごすと、世永が新しいことを教えてくれた。

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