表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

使い魔猫ウルタールの暇つぶし日誌

作者: 春古年

吾輩は猫である。

名前はウルタール、毛並みは見事なキジトラである。


猫と言っても単なる猫では無い。

町内の猫共を統べるボス猫であり、魔導士様(わがあるじ)を御守りする使い魔猫である。


今宵、夜道を見回っているのは、暇つぶし(など)では無い……断じて。

(あるじ)が住まう、町内を夜回りして警備するのが吾輩の役目。


星空が綺麗だにゃ~♪とか、夜風は気持ち良いにゃ~♪とか、浮かれているわけでは無い……断じて。


ん!?

「た……たすけて……」

そう、か細く(おび)える声が微かに聞こえる。

声は、あの公園からだ。


吾輩は、夜回り中。

当然、見に行かねば!

ほの明るい街灯に照らされるその公園の中へと。

そして茂みに身を潜めて、声のする方へ視線を向ける。


年端も行かない少女が、両手を胸に握りしめ、(おび)える様に(たたず)んでいる。

そして、その少女の目の前で、威嚇する様に鎌首をもたげて居るのは……ムカデ!?

それも、普通のムカデなんかじゃ無い、吾輩よりも大きな化物ムカデだ。

なんで、こんなのが……なんて考えてる暇もない。


素早く、そのムカデの目の前に躍り出て、少女のに襲い掛かろうとするヤツに、吾輩の伝家の宝刀、猫パンチをお見舞いする。

カリッ!

と音を立て、吾輩の爪が弾かれる。

固い殻だ、爪が通らん……。

已むを得ん、この手は使いたくなかったんだが、背に腹は代えられん……。


ムカデに飛びつき、噛みつく!

ハムハム、ハムハム……いや、別に甘噛みしている分けじゃ無い……断じて。


ムッ、マズイ、巻き付いて来た!

負けじと噛み締める(あご)に力を込める。

ハムハム……バリッ!


ヤツの固い殻に牙が食い込む……だが、ヤツの締め付けが更にキツク……。

バリッ、グシャッ!

固い殻が砕け、そのまま喰いちぎる。


ムカデは気味の悪い体液を首元から流し、そのまま息絶える。

すると、巨大だったヤツの体が小さく、普通のムカデに。

どうやら、吾輩に退治され元の姿に戻った様だ。


ペッ、ペッ、不味(マズ)ッ!

口の中にヤツの体液の味が広がる。


そして後ろを向き、後ろ足で、(たお)した強敵の(しかばね)を覆う様に砂を掛け、弔う。

武士の情けってヤツさ。


「有難う猫ちゃん♪」

少女が吾輩を抱き上げ抱きしめる。

フッフッフ♪ 存分に抱き締めるが良い♪ そして、モフるが良い♪


(しばら)くして少女の腕から解放されると、一旦彼女に背を向け歩み、もう一度その無垢な魂に振り返る。


ついて来ると良いよ。

魔導士様(わがあるじ)なら、きっと迷える君の魂を幽世(かくりよ)へと導いてくれるさ。

「にゃー♪」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ