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家族になりますっ!  作者: 桜城カズマ
第一章「僕はお前のおにーさんだから」
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第25話「ワタシは『書きたいものを書く』っていうのを曲げたくはないんです」

どれだけ綺麗に仲直りをしたって、どんな出来事があったって、人生は物語みたく『ハッピーエンド』じゃ終わらない。

つまり何がいいたいのかというと、夏祭りに自分的にはかなり綺麗な仲直りをしたものの、別に何かがはっきりと変わったわけではないし、日常は続いていくのだ。

夏休みは奏音の手伝いや、自分の課題をしていると、すぐに最後の週がやってきた。

・・・・・・編集作業以外に、奏音がシーンをイメージできないときなんかは僕に奏音の思うキャラのポーズや服装、朗読などを求められたときはさすがに驚いた。

ちなみに奏音はというと、話し合って徹夜や、無理なスパンでの執筆はやめ、どうしてもという場合僕がやめをかけたらやめるという条件付きで許可した。

普段夏休みではぐーたれる僕でも妹のためなら、と自然とちゃんとした生活態度に慣れた。

案外僕にはシスコンの素質があったみたいだ。


「今日はどんな感じ?」


クーラーがガンガンに効いていて、体調管理なんかくそくらえ、みたいな部屋で僕は、編集作業を終えて、奏音にプリントを渡してから聞く。


「うーん・・・・・・やっぱり10位内には乗らない・・・・・・」


パソコンを操作しながら唸るように奏音は返して来る。

夏休みの間ちゃんと毎日欠かさず小説を投稿した甲斐もあってか、奏音の小説は日刊ランキングで上位に食い込むくらいにはなってきていた。

しかしなぜかどうやっても最大で11位で、10位以上になれたことがない。


「あと6,7話で終わる予定ですけど・・・・・・載ってくれないかなぁ・・・・・・」


奏音は机に突っ伏して「ううん・・・・・・」と頭を抱える。


「仕方ない、僕らは毎日ちゃんと投稿していくだけだよ。今日がダメでも明日なら、明日がダメなら明後日、それでもだめなら・・・・・・って、何度もやっていこう。僕ももちろん手伝うからさ」


「ありがとうございます! それで次の小説なんですけど――」


と、奏音は事前に書いていたらしい小説のプロットを僕の目の前に出す。

差し出されたプロットの内容を読むに、どうやら次の作品はジャンルで言えば『青春ラブコメ』らしい。


「『青春ラブコメ』か・・・・・・今書いてるのってファンタジーだったよね?」


「はい、けど書いてて思ったんですよね」


奏音は一呼吸おいてから、


「『もっと男女がイチャイチャするヤツ書きたいな』って。今書いてるやつでもいちゃつくシーンっていくつか書いてるじゃないですか、けど一応シリアスとギャグメインで、あんまり書かない方がいいかなって自制していたんです」


確かに、奏音が現在執筆中の小説は、ギャグから始まりふとしたシーンから急にシリアスな話になっていく。

そこでヒロインと主人公がいちゃついている余裕なんてあまり入れられなかった。というかあまり入れない方が雰囲気を守るうえでは大事だと、話し合って決めた。


「なるほどな・・・・・・」


うなずきながらプロットの方をしっかりと読み込んでいく。

舞台はラノベではよくある『学園・学校』。主人公に恋をするサブヒロインは一切おらず、主人公とメインヒロインの一対一を中心に繰り広げられる、青春ラブコメ。

大まかな流れは、主人公とヒロインは他の学校にあるとは思えないような特殊な部活に入部し、やがてお互いのことを知るにつれ恋に落ちる。

悪くはないと思った。確かに面白いものが書けることには書けるかもしれない。


「なぁ、これ――」


「悪くはないけどサイトで読むくらいだったらすでに書籍になっているものでも似たようなやつたくさんあるんだから、それを読めばいいのでは、ですか?」


僕の言おうとしたことを遮り奏音は言う。

僕の言いたいことはおおよそ正解だった。

確かに、設定としてテンプレートに乗っかるのは悪くはない。悪くはないが・・・・・・どうしても「ちゃんと出版されてる本」としてたくさん出回っているものと似たような設定でやっても、おそらく伸びない。伸びるとしても、プロットに書かれているようなこと以外に一つでも、何かしら「この作品にしかないもの」を作り出さないといけない。


「ワタシもおにーさんの意見はわかりますし納得もできます。けどやっぱりワタシは『書きたいものを書く』っていうのを曲げたくはないんです」


「そうか・・・・・・じゃあどうするつもりなんだ?」


「そうですね、ワタシとしてはシリアスでメインを進めつつ、ヒロインとの絡みの時は存分にいちゃつかせる、という方向性で行こうかなと」


「シリアスメインか。確かに悪くないかもしれないな」


奏音の意見は悪くないかもしれない。サイトの感想とかでもシリアスの作りこみよく褒められてたし。まあ素人の僕がどう思おうと、大したものではないのだが。


「よし、そうと決まればさっそく取り掛かるか?」


「ああいや、まだ書かないです。というか・・・・・・書けません」

「え?」


「だってワタシ・・・・・・学校あんまり行ってなくて、どんな風に進めたらいいのかまったくもって想像できないので」


あっけらかんとした様子で、奏音は伝えてきた。


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