第11話「遠い昔の夢を見た。」side・奏音
短くなってます。すみません。
遠い昔の夢を見た。
ワタシが生まれた時にはお母さんはお父さんと離婚していて、ワタシはお父さんの顔を知らない。
それが原因で小学生の頃はよくいじめられていた。
ワタシが何かをしたわけではないのに。
小学生3年生になる頃にはすっかり足は学校に向かなくなってしまい、不登校になった。
けどほんの少しだけ感謝している部分もあるのだ。
それはこの不登校期間にワタシはワタシの原点たるものに出会えたから。
ワタシは不登校で家にいる時間を使いアニメをよく見るようになった。
最初はなんとなく、時間を潰すために見ていたけれど、段々アニメの面白さにハマっていき、そしてライトノベルを知った。
そして、ワタシにとって運命と言えるライトノベルと出会った。
それは、ただただなんの得意なものがない、それどころか成績も危うく、留年ギリギリな主人公が、足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて、「夢」を叶える物語。
ワタシはその主人公の泥臭さに、執念に憧れを抱いた。
そして、ワタシは「ライトノベル作家になりたい」という夢ができた。
これが、ワタシの夢の原点、始まり。
だけどこれはただの夢の始まりじゃなかった。
ワタシは学校に行っていない間、全力でひたすら小説を書いた。
しばらくするとアイデアが出なくなった。
ワタシはこの原因は自分の経験不足にあると感じて学校に通うようになった。
休みの日や空いた時間があれば部屋に閉じこもって小説を書いた。
けど、小説を書けば書くほど、部屋に閉じこもれば閉じこもるほど、何か大切なものがなくなっていく感じがした。
ご飯も少食になり、睡眠時間も減ってしまい、その生活バランスの乱れからか、気づいたときには髪は黒色から白色になっていた。
そのせいで学校でのいじめはお父さんがいないことから、白髪に関することに変化した。
その上、家族たちと関わる機会が減り、妙な距離感が生まれてしまった。
髪の毛のことはともかく、家族のことは今でも少し後悔している。
もし、昔のように戻れるのだったら、戻りたいと、強く思う。
でも戻ったところで何かが変わる気がしているわけでもない。
ワタシは、小学3年生のころからずっと、過去に囚われ続けている。




