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家族になりますっ!  作者: 桜城カズマ
第一章「僕はお前のおにーさんだから」
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第10話「膝枕のワケ」

「すぅ……すぅ……」


ワタシは(まさる)さんが眠ったのを見てから、頭を撫でる手を止め、勝さんが添削してくれた小説を手に取る。

本当にちゃんと読んでくれているな、と思う。

勝さんはただ添削をしてくれただけではなかった。

ワンシーンごとに感想を書いてくれていたのだ。例えば、ずっと貼り続けてきた伏線を回収したときなんかは


『このシーンいいな!「あのセリフはこういう意味だったんだ」ってちゃんとわかる!』


と書かれていて、また別の描写がうまくできているところは、


『すごいなこの言葉選び!胸がきゅんきゅんしてヒロインがすごく可愛い!』


と書かれている。ちゃんと読んでくれてる。それがすごくワタシにとって嬉しかった。

膝枕したのは、まあ、そのとても言いづらいのだが、純粋に「やってみたかった」というところが大きい。

ラブコメラノベを読んでいると時折出てくる描写で、ワタシも書いてみたくなって何度も書こうと挑戦したものの、ちゃんと書けたことは一度もなかった。


「きっとこれは膝枕をしたことがないだからだろう」


とそう思い、「いつかやってみたい」と思っていたところ、ちょうどいいと言えば聞こえが悪いが、勝さんがやってきてくれた。

もちろん、


「膝枕しようとしたところを襲われる」


なんてこともあるかもしれないとちょっと怖かったから、別に最初からしようと決めていたわけではなかった。

でも、


「この人はそんなことをしない」


と思えた。


なぜなら、この人はワタシの白い髪を見ても特に不快感を示さず、訳を訊こうとしてこなかったから。

ちなみに、この白い髪は単純に不健康な生活のせいだ。

毎日昼夜逆転、小食で過ごしていたらこんな髪になってしまった。

自業自得ではあるものの、この髪のせいで友達と言える人物はほとんどいない。

けれど勝さんはそんなワタシでも別に気にした様子はなかった。それがなんだか嬉しかった。

だから膝枕をしてもいいと思った。


そしてやってみた結果。


「勝さんの寝顔かっこいいなぁ……」


勝さんのことを初めてみた時から思っていたけれど、こうして膝枕をして近くではっきりとみるとやっぱりかっこいいと思う。

たまらなくなってまた頭をそっと起きないように撫で始める。

髪の毛はサラサラしていて、撫でている自分自身も気持ちよくなる。

その気持ちよさのせいか、少し眠くなってきた。


ワタシはその睡魔に抗わず、心地の良い眠りに落ちていった。

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