第3話 スローライフ
これは前半です。
スローライフの意味は後半で。
「敵対?それは・・・それはどういうことなんだ?まさかそんな、どういう・・・理由を聞かせて欲しい」
ティーグが嘘を言っているとは思ってはいなかったが、それでも信じられないと鬥夜は問う。それは当然だ、御霊と不死王たちは不干渉として自分達との代だけでなく遥かな過去からずっとそうあってきたのだ。
不死王たちは数千年より、そして自分達は彼らに比べれば僅か数百年とはいえそれは維持されていたのだ。変化もなく、お互いの領域を犯すこともなく、世界の有り様が変わろうともお互いを尊重し、決して危害を加えない。
それは、それだけは変わらなかった。
鬥夜だけではなく御霊全員の疑問に、ティーグはあっさりと
「知らねぇよ、くそが!」
と吐き捨てる。
目尻を上げ、奥歯を噛みしめ吐くように言い放ったその言葉に言いようもない真実味を全員が感じた。
かなり長い沈黙が場を支配する。
御霊は世界のシステムだ、そしてそれを為すために長い時間の果てに研鑽し組み合わせ捨て行きその果ての力を得ている。
しかし不死王と呼ばれる存在は世界のバグでだ。
本来ならば個人では有り得ない力を、時間を使ってはいるものの超越している。
鮮血の女王は血を媒介に無限の自身と不死を
腐敗の王は物質全てを腐敗させながら永劫の再生を
恐怖の王は闇と死と生命が感じる全ての恐怖を元に終わり無き悪夢を
死をも超越した王は全てを搾取し自らに取り込んで嘆きすら消し去る
改めて言うと世界は竜によって生まれそれが全てだった。
今でも衰えてはいるものの竜が全て、しかしそれを越えかねないのが不死王で。
今、現在。御霊たちの敵になっている。
長い、長い沈黙の後、ティーグが呟いた。
「正直、まともに戦って勝ち目はねぇ」
そう言いながら目を瞑った。ティーグだけでなく全員が目を瞑る、ほとんどが観念に近いだろう思いで。
「が、諦めてはいねぇ」
そのティーグの言葉に目を剥く。
同時に約半分はだろうな!と目を剥く。
「聞かせて欲しいね、勝ち目があるのかい?いやあるからそう言うんだろうけどね」
今まで無言だった骸羅が興味深げにティーグを見ている。
腰まで届くほどの金髪を靡かせ、その目付きは妙に憂いげでいながら、見た人を落ちつかせるような太い眉で睫毛が長く・・・しかし男だ!
正直、一番美人だ。だけど。
男だ。
御霊で一番美人だ、だけど。
男だ。
それはさておき。
「俺様が負けると少しでも思ってたら、そもそも話自体しねぇよ。とっとと犬みてぇにわんわん言ってらぁ」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべながら犬歯を剥き出
しに口を歪めた。
「ただぁーし!全滅も覚悟しとけ、そんだけの相手だ!」
その言葉で緩みかけた表情が引き締まるなか、鬥夜が改めて
「不死王たちが敵対した理由を、聞かせて欲しいんだけど。それはどうなったの?」
時間が停止する。
ただし、止まったのはティーグだけである。
「ただぁーし!全滅も覚悟しとけ、そんだけの相手だ!」
「誤魔化すんじゃないよ何?僕のスローライフに斬られたいの?君のカラクターズじゃ僕のスローライフはどうしようもないの知ってるよね?いや別に脅かしてるわけじゃないよ?ただ誤魔化しては欲しくないってだけでさ?分かるよね分かってるよね?僕たちは違えようもない魂の仲間だもんね?だったらそこ誤魔化さないで話そうよていうか普通話すよね?不和を生むから話すよね?不和どころか不安も不審も不快も感じて不毛も覚えるからというかだいたいいつもいい加減じゃない?自意識過剰と言うか自尊心高めと言うかそもそも」
「分かったすまんマジで頼むからごめんなさいやめて」
俺様主義なティーグが一番苦手で両手を上げて降参する、それが鬥夜。酷い理由で。
話が進んでねぇ・・・キャラ造型はそれなりに、かも?
次回、鬥夜のカラクターズであるスローライフの説明がハンブンある、かも。
正直、自分でも理解出来てないのですなんでや。