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鈴木さんち  作者: 夜乃桜
3/10

杏△

「みんなおはよう。」

 杏が起きてきた。

 みんな口々におはようを返す。


「遅いですわよ。お母様。」

 まだ3歳の杏子が嬉しそうに杏を迎える。


「だってぇー。

 進撃の鉄人が面白くって。

 ネットリラックスで1話から見た後、

 漫画全巻購入したから読んでたらいつの間にか明るくなってるんだもん。

 全然眠れなかったわ。」

 悪びれた様子もなく杏が答える。

 ネットリラックスとは、アニメが見れる有料コンテンツだ。

 杏の夜の時間の大半がネットリラックスと言っても過言ではない。


「まったく。

 起きれたからいいものを。

 またヒロシの幼稚園に遅れたらどうしますの?」

 杏子が呆れながらも大人びた説教をする。


「ごめーん。」


「今日は遅れんかったき。

 (きょう)ちゃんよかよ。」

 幼稚園の制服を着たヒロシが助け舟を出す。


「ヒロシありがとう。」

 杏は、可愛くヒロシにお礼を言う。


「いや、よかき。可愛い女の子を守るのが男の勤めじゃき。」

 ヒロシが照れる。

 いつもの福岡弁と広島弁が混じった謎の方言だ。


「さぁ、朝ごはんにしましょう。」

 杏が、席に着く。


 鈴木さんちのテーブルは広い。

 勘八くんが家族で座れるようにと大きめのテーブルを作らせたからだ。

 二世帯住宅用の土地を購入し、大きめのリビングを設計し、10人掛けのテーブルを入れた。


 その時はまだヒロシと杏子と杏奈が生まれてなかったのだが杏がよく食べる為、ご飯のおひつと寸胴鍋を乗せるスペースを取るために余裕ある設計にしていた。

 それが杏奈、ヒロシ、杏子が生まれ、今ではお誕生日席を作ってやっと家族みんなで座れる。


「今朝は出汁巻き卵じゃない。」

 杏が嬉しそうにテーブルを見ると、そこには黄金色に輝く出し巻き卵が並んでいた。

 どう見てもプルプルで、箸で一口大に切るとじゅわっと透明なスープが溢れてきそう。

 それを口に入れたら、旨味と出汁の香りの天国だ。

 それに濃厚でタンパクな卵の味がガツンと、そして優しく口の中を刺激し、食欲が止まらなくなる。

 これも勘八くんの得意料理だ。

 と言っても大概の物は作れて、全部得意料理と言えるのだけれど。

 普段メスを持ってるだけのことはあり、包丁使いも超一流!

 一流料亭も顔負けだ。


「母ちゃんの分は、出汁巻き卵10本やけんね。

 1本に卵4個使っとるけん、母ちゃんの分は卵40個やけん。

 母ちゃんの分のご飯はおひつに入っとるよ。

 母ちゃんの味噌汁は寸胴鍋にいっぱいたい。

 母ちゃんの分の特製サラダは冷蔵庫の中のボウルに大盛り。

 杏奈、そろそろ学校行くけん、食べとってね。」

 言い終わると杏奈は勘八くんに言われたように食器を下げ、水洗いして、食洗機に突っ込む。


「言い忘れとったけど、ぬか漬け足りんかったら冷蔵庫に入っとる。

 母ちゃんの昼ごはんのナポリタンとオムライスも冷蔵庫。」

 歯を磨きながら杏奈はムニャムニャと説明し、学校へ向かった。

 聖兄ちゃんも途中まで一緒。


 モンモンは朝課外の為先に出たようだ。


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