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鈴木さんち  作者: 夜乃桜
2/10

「ほら!食え食え食え食えー!!

 学校と幼稚園遅れるぞ!」

 朝から勘八くんの声が家に響き渡る。



「杏奈ー。

 今日もお手伝い偉いなぁ。」

 勘八くんの大きな手が杏奈の頭をくしゃっと撫でる。


「だって、母ちゃん昨日もアニメ見とってまだ寝とーちゃもん。」

 お皿を並べながら、カタコトのような福岡弁で杏奈が答える。


「杏奈ー。

 女性の出産は大変なんだよ。

 うちは子沢山だろ?

 それだけ杏には負担かかってんだぞ。

 杏は身体休めてるんだから、いいんだよ。」

 勘八くんの優しい声。


「でも父ちゃん昨日夜勤で寝てないっちゃないと?」

 天才児の杏奈が心配しながら、勘八くんのよそったご飯を並べる。


「気にすんな。

 家事は俺の趣味なんだよ。

 杏は毎日子供と遊んでるだけでいいよ。

 それに俺は、タフなんだぜ!」

 勘八くんはニカッと杏奈に笑いかける。

 杏奈もそれに答えて天使のような笑顔を浮かべる。


 そうしてるうちに、2Fの部屋から降りてきたモンモンが自分の席に着く。



「よ!モンモンおはよう」

「おはよう。お父様。」


「おはよう。モンモン姉ちゃん。」

「おはよう。杏奈。」


 いつもの朝の風景だ。


「モンモン。ヒロシと杏子は?」

「ヒロシも杏子も自分で身支度整えてたけど。」

 物静かにモンモンが答える。


「そっか。

 じゃ、あとは頼んだぞ。

 俺、そろそろ出ねーと。」

 勘八くんがバタバタとダイニングから出て行く。


「お父様は、朝食済んだのかしら?」


 モンモンの問いかけに勘八くんが慌てて答える。

「今日は時間がなくてな。

 作りながらつまんだからいい。

 食器は各自水洗いして食洗機に入れとくんだぞ!

 じゃあ、いってきます。」


 ガチャっとドアが開き勘八くんが病院に向かった。

 勘八くんは、敏腕外科医だ。

 今日もたくさんの患者さんが勘八くんを待っている。


 患者さんからの指名が多いお陰で勤務時間を増やし、なんとか家計を回している。



 そうこうしてる間に、身支度を終えたヒロシと杏子がダイニングに来た。

「あれ?父ちゃんもう行ったと?」

「ヒロシ、なにを寝ボケてますの?お父様は忙しいんですのよ!」

 まだ3歳の杏子がヒロシに姉御風を吹かせる。


「でも、おはよーくらい言いたかったばい。」

「ヒロシがグズグズしてるからぁー!」


(きょう)ちゃんもヒロシも早く食べりっ」

 杏奈がヒロシと杏子を席に座らせる。


「いただきます!」

 ヒロシと杏子が可愛く合唱。



「おはよう。杏奈。今日もお手伝いしてたんだね。」

「聖兄ちゃん!」

 降りてきた聖が杏奈に話し掛ける。


「杏奈はお利口さん。」

 勘八くんがしたように、聖が杏奈の頭を撫でた。

 聖の綺麗な瞳と目が合い、杏奈は照れながら俯く。


「あれ?健一は?」

 聖が杏奈に問いかける。

「健一兄ちゃんは、今朝は遅くていいみたいで、まだ寝とるとよ。」

「ふーん、そう。」

「聖兄ちゃんは健一兄ちゃんに会いたいと?

 お部屋行っていってきます言ってあげるといいばい。」

「い…いや、遠慮しとく。

 杏奈がいればいいや。」

 聖が杏奈に笑いかける。

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