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異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』  作者: FOX4
俺、異世界に来たんだってよ
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PHASE-08【鎧袖一触】

「でも、この城壁の規模からして、百は少ないような」


「いい着眼点だ。だが、ここの兵士の逃げ惑う無様さから、この城壁を守る兵はあれを止められない程に、寡兵で惰弱なのだろう」

 戦略ゲームも好きでやってるからな。このくらいの事は分かったりする。

 でも、あの規模を防げるほどの力もないとはね……。


「どん詰まりだな。人類にとってこの場所は」


「随分と余裕だな」


「一回、死んでるからな」

 疑問符を浮かべているって表情だな。

 改めて見ると、見入っちゃう美人だな。


「何を惚けている!」


「いてっ!」

 長い足でゲシリと蹴られた……。


「にしても……」

 どうすんだあれ。数の利があるのが分かっているからか、圧力をかけるように、雄叫びをあげつつ、ゆっくりとした歩調で城門に近づいて来る。


「フッ、数に頼り驕っている。驕兵必敗(きょうへいひっぱい)を経験させてやろう」


「あっつい!」

 いきなり俺の横で炎を纏うなよ! しかもさっきより熱いし。明らかにさっきより上の威力だ。


「灰燼と化せ、人ならざる者たちよ」

 居合いのように剣を振り抜くと、炎が扇状に広がっていき、迫り来るオークとトロールの軍勢を飲み込んでいく――――。

 ――……後に残ったのは影だけ……。

 俯瞰から見たなら、炎は敵隊列の前線から中央部分の辺りまで襲っているだろう。

 右翼、左翼、後方にいたオーク達は、ベルヴェットの一振りに、大いに慌てて混乱している。

 先ほどの住人たちみたいだ。

 一体が背を見せて走り出すと、連鎖するようにその行動を模倣していった。


「たったの一振り……」

 こんなのと、ゲーム内の主人公たちはどうやって戦うんだろうな。完全にオーバーキルのドチートキャラじゃねえか……。

 炎の化身の前では、オーク達の命は羽毛のように軽かった。


「さて、追い打ちでもかけてやろうか――――」

 淡々としてるな。事務的だよ。

 戦いにおいては冷酷な存在なんだろうか? 人格面はゲーム雑誌なんかでは掲載されてないしな。

 これは……、どえらい人物を召喚してしまったかもな…………。


「壊走だな」

 独白する。

 一振りで多数の命が消滅した。発言どおり追撃を実行するのだろうか? 一人で……。


「ふん」

 と、侮蔑し、炎を消すと、レイピアを鞘へと納剣。

 他愛ないから、追撃は馬鹿馬鹿しいと思ったのだろうか?

 オーク達を追う事をせず、俺にゆっくりと歩み寄って来る。


「――で、貴様は何者だ」

 先ほどの続きか……。下手なことを言うと、炎が俺に見舞われるのかな?


「どうした? 答えられないのか。ならば、その手にしている物は何だ?」

 棒じゃないよな。もう片方だよな。

 左手に握っているゲーム機、プレイギア。

 ディスプレイを見れば、ベルヴェット・アポロのパラメーターが表示されてる。

 このゲームにこんな機能あるのか? あったとしても主人公とその仲間だろう。

 ――――ピコン♪

 明らかにメールの音だ。棒を捨てて、両手でプレイギアを持ち、ディスプレイを凝視する。


「おい、何をしている? 質問に答えろ」

 ちょっと待ってと、手を向けて待ってもらう。

 イラッとしたんだろう、「チッ」って、舌打ちが耳朶に届いた。

 でも一応、待ってくれるみたいだ。

 ディスプレイにあるメールマークを食指でタッチ。


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