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異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』  作者: FOX4
攻略、リド砦
27/1856

PHASE-27【帰還】

 ふぅぅぅぅぅぅ……。

 気合いを入れつつ、


「べ、別に俺は、嫌なこととかをベル達に押しつけるつもりはないぞ」

 ――…………返事がない、ただの無視のようだ……。

 勇気を出して口を開いた結果が無視ですよ。俺のギヤマンハートが粉々になりそうだ……。

 異性からの無視がこれほど堪えるとは、おもいもよらなんだ……。抉られるぜ……。

 相手にしてもらう為には、同じことをしないといけないって事か。

 同じ舞台に立つ。

 つまりは――――、命を奪う……。

 相手が人ではなく亜人で、非道を行っているからって、殺めるってのはな……。

 怒りに任せて動けば後悔しか残らないだろう。もちろん使命感で動いても命を奪えば後悔だ。

 かといって、汚れ役ばかりを周りに任せるのは、第三者目線だと卑怯者がする事だよな。

 冷静に襲われた時のことを振り返れば、俺は刀なんだから、時代劇なんかでよくある、峰打ちで対応すればよかったんじゃないだろうか。

 ふぅ、この世界に馴染むには、まだまだ時間がかかるな。

 ――……結局、運転中ベルは、一切口を利いてくれなかった……。


「おお!? 勇者殿!!」

 馬ではなく、見たこともない乗り物から出てきたもんだから、壁上から恐る恐るこちらを窺う、鎧のお偉いさん。

 俺たちと分かれば、急いで壁上から下り、門を開かせる。


「首尾は?」

 と、聞いてきたので、


「砦は破壊しました。占拠はしなかったですが――――」

 ゲッコーさんとベルが言っていた、砦を現状では維持できない兵力しかない王都では、占拠は無理だということを伝えた。

 得心がいったのか、大きく首肯で返してくる。

 納得してもらったところで、トラックから女性たちを降ろせば、門前に止めていたトラックの前に、住人の方々が走り寄って来る。

 囚われていた人達の関係者のようだ。

 羽織っているものをかけてあげている人もいる。

 続いて、俺たちに対して歓声が上がった。

 砦を攻略しただけでなく、人質となっていた女性たちが戻ってきたことに対して、歓声で俺たちに礼を述べているようだ。


「喜ばしいところ申し訳ないのですが、女性だけですか?」


「そうですが」


「そう……ですか……」

 残念そうな声を漏らした将軍。

 連れ去られたのは女性だけでなく、子供もだそうだ。

 といっても、砦にはいなかった。ゲッコーさんが探索でミスをするわけはないだろう。

 女性たちを救い出した当人は、別の所に運ばれている可能性があると発言。

 子供は兵としても育てることが可能だから、前線の砦に留めるよりも、後方で教育をするのかもしれないとの事だ。

 行きは一人だった従者が、帰ってきたら二人になっているから、将軍は怪訝な表情だったけど、今回の攻略において、値千金の人物だと俺が伝えれば、それだけでゲッコーさんへの警戒が解かれる。


「第一は囚われていた女性たちから情報を得ることだな」

 ゲッコーさんの発言に、ベルとナブル将軍が頷く。

 子供たちの情報を得るとしても、現状、女性たちは憔悴している。まずは心身の回復が優先だろう。

 セラピスト的な専門家が必要だ。

 これは戦場をよく知り、人の心を理解してくれるゲッコーさんに任せたいところ。

 本来ならゲッコーさんの部下たちを召喚するというのもいいだろう。

 やりこみまくって、実働部隊最大定員である百人を全てS 級兵士で埋めた俺だ。

 様々な役職が存在するから、医療班からセラピストを召喚するってのもありかもしれない。

 だがしかし、ゲッコーさんは信用できるが、それ以外はとなると、俺では制御できないかもしれない。

 ゲーム内容の一部には、自分たちの国を持つという設定もある。

 この世界は混乱している。だからこそ、この世界を得ようと考える者たちが、S級の中から現れる可能性だってある。

 その時、ゲッコーさんはどう動くのか。召喚が自在に出来るとはいえ、キャラクターを完全に支配しているわけではない。ベルが俺に切っ先を向けたのがいい証拠だし、未だに忠誠心ゼロだし……。口を利いてくれないし…………。

 召喚に選ぶキャラは厳選しないといけないな。寝首をかかれては元の世界にも帰れないし、何よりこの世界の魔王より脅威になる存在を呼び寄せてしまうかもしれない。


「どうした?」


「いえ、考え事が多くて、頭が追っついてないんですよ」

 貴男の部下を使うべきかどうかでね。

 ――――薄暮の中、西の城門前では炊煙があがる。救出され、無事を喜ぶように、住民が集まってのパーティーである。

 うっすいスープとカチカチのパンが一つ。それが一人一人に配られた。でも、これでも十分に贅沢なのだそうだ。

 その中心にいる俺たち。

 感謝もされるが、子供を奪われた親御さんからは助けて欲しいと懇願される。

 今までは諦めていたけども、俺たちの存在が救出を可能とすると、今回の事で分かったからか、泣いて頼んでくる。

 こういう事が起きると理解していたゲッコーさんから、パーティー前に先んじて言われていたのが、軽はずみで約束はしないこと――、だった。

 希望を持たせて未達成となれば、大きな絶望を与え。下手したら恨まれる対象になってしまうからだそうだ。

 なので――――、


「可能な限り善処します」

 って、政治家みたいな逃げ方をしてしまった。

 それでも、希望を与えてくれると思っている俺からの発言が嬉しかったようで、笑みを見せてくれた。


「――――これは本腰入れて子供の行方も調べないと」

 親御さん達の背中を見送りながらの独白。


「言葉は良薬にも毒薬にもなる。口に出した以上は良薬にしないとな」

 しっかりとそれを耳にしていたゲッコーさん。目の前では安請け合いはしなかったけども、口にしたからには、親御さん達を裏切るなって事だろう。


「霊薬にしてやりますよ」


「言うね~」

 パーティーもお開きになり、壁上の中に設けられた詰所へと戻る道すがら、ゲッコーさんと言葉を交わす。


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