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異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』  作者: FOX4
お久しぶりの王都
172/1922

PHASE-172【あ……、やらかしちゃった……】

 賊のくせある名前に驚かされてしまうけども、相手は襲撃にもっと驚いてる。

 

 しかし、村の人間たちと戦って苦戦しておいて、人を攫えば、必ず何かしらのアクションが起こるという考えがよぎるだろうに。

 襲撃に驚くとは、その事を考慮できない存在。


「考えが浅はか。つまりは――――Noob」

 おちょくりつつ次の相手も打ち倒す。

 

 更に次ぎ。

 

 俺の方を向いていない相手を瞬時に見つけて、側面からの胴打ち。


 FPSは、如何に自分の方を向いていない相手を倒すかが重要。


 ゲームで習得した、敵を倒す優先順位ってのが、この世界で役に立つなんてね。


 平均キルレ1.05というへっぽこだけども、役に立ってます判断力! 異世界で!

 

 素晴らしきかな俺。

 瞬く間に三人もダウンさせたぜ。


 ベルとゲッコーさんは俺なんかよりも多い数を容易く倒しているけどね。

 それでも俺は強くなっている。


「安心しろ。峰打ちだ」

 ふふん。言ってみたい台詞を言ってしまった。

 まだ残存がいるというのにこの余裕。


「なにそれ?」

 気分がいいところに真顔で聞いてくるのやめてくれるかな、シャルナさん……。


「ええい!」

 悔しそうな声を上げるまな板。

 俺たちの活躍に対して、出遅れたかたちだもんな。

 唱えたファイヤーボールも小屋の土壁を破壊した程度だ。


 こうなると、焦りからまな板の行動がパターンに入る。


 止めようとしたが遅かった……。


「ランページボール」

 くそが! 飛んで()()スイカほどの火球が激しく炎をまき散らす。

 近接戦闘を仕掛けた俺ら及び、建物があるところで使うなよ!


「ちょっと!? 火がついちゃうよ!」


「中にはワックさんがいるかもしれないのに」


「なにを考えているんだあの子は?」


「頭がおかしいのか!」

 シャルナを筆頭に、クレトス村の方々が声を上げる。

 最後の方――、正解です。

 

 もっと罵詈雑言を放ってほしいが――――。

 

 消火が先である。

 ここは俺の独擅場(どくせんじょう)だ!

 皆に距離をとらせてからの――――、


「スプリームフォール」

 山小屋の直上。虚空から顕現する黒い雲。

 そこから瀑布を思わせる水が轟々と降り注ぎ、類焼することなく鎮火する。


「やったぜ!」

 俺の活躍で、建物火災は最低限ですむ。

 攻撃だけでなく、人々のためにも使用出来る素敵な魔法だな。


「凄いね。最高位の大魔法を詠唱破棄(スペルキャンセル)で使用出来るなんて……」

 馬鹿にしていたのに、シャルナの俺を見る目が変わった。

 透き通るような碧眼は、俺に尊敬の眼差し――ん? これは、呆れた視線……?


「ぶぇ!?」

 背中にはしる衝撃。

 息が出来ないくらいの衝撃だったぞ。


「ごほっ! 何しやがるこのまな板!」

 活躍を奪われたからお怒りですか! まじでパーティーから追放してやろうか!


「なんて事をするんですか!」


「なにがだよ!」


「あれですよ」

 コクリコが指をさす方向を見る。


「そう、あれ……」

 横から呆れた声を漏らすシャルナ。

 視線同様の声も、俺に対してのものだ。


「……あ……」

 うん……。

 俺が悪いよね……。

 最上位の大魔法を小屋の直上で発動させれば、火は消えるけど、小屋も流れてしまうよね……。

 ついでに残存の賊も流れるっていうね。


「やってしまいましたね。あれだと小屋にいるであろう人質も無事ではすみませんよ」


「お前が言うなよ! 火事を起こしそうになったから俺が鎮火したんだろうが!」


「鎮火の結果がこれでは――――ね!」

 うぬぬぬ!

 琥珀の瞳を煌めかせての嘲笑がむかつく!


「お前には言われたくないんだよ!」

 手四つになる俺とコクリコ。


「そんな暇はない!」


「「だい!」」

 二人そろってベルから拳骨を見舞われる…………。


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