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異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』  作者: FOX4
お久しぶりの王都
165/1922

PHASE-165【手なずける】

「コクリコ、あいつの特徴は?」

 まずは情報だ。

 プレイギアを使うのもいいが、名前も知っていたし、現地民に聞くのが手っ取り早い。


「ケーニッヒス・ティーガーは基本、人を襲う事はありません。とても知能が高いですし、強いですが、こちらから危害を加えない限り、襲う事はありません」


「でも、明らかに敵対行動だぞ」


「山の王者であり、真の強者は無用な戦いはしないんですけどね――――」


「無用な戦いはしないか――――。見習ったらどうだ」


「なんですとー!」

 目立つ為に先制攻撃とか有無も言わずに実行するお前は、山の王者を見習えと言ってなにが悪い。


「騒がない方がいい」

 ゲッコーさんからの注意。

 確かに、二人で言い合ってたら、ケーニッヒス・ティーガーのうなり声が更に大きくなった。


「コクリコ。どういうことだ」


「う~ん。ケーニッヒス・ティーガーの毛皮や、犬歯に爪は、大変高価で売買されますからね。人間に襲われた経験があるのかもしれません。左目にも傷があるみたいですし」


「乱獲は駄目だぞ! そうやって絶滅に追い込むんだからな!」


「絶滅?」

 駄目だ、この辺は中世だな。理解を得られないかもしれない。

 かくいう俺の世界でも、人間の文明が原因で、生物が絶滅していく一方だから、偉そうには言えないんだけどな。


「距離を取りつつ離れようぜ」


「ええ、ですが……」

 どうした? 簡潔に述べてもらいたいんだが。


「向こうは明らかに戦う気ですよ」

 まじか……。


「やっぱり、人間に襲われた経験があるのかな?」


「もしくは瘴気の名残があるのかもしれませんね」

 言えば、ワンドの先端にある青い貴石が赤く輝く。

 コクリコお得意の初歩(ノービス)を唱えるつもりか。


「まあ、待て」

 柄に手を沿わせていたベルだが、そこから手が離れる。


「おい!」

 無造作にケーニッヒス・ティーガーへと近づいていく。


 声を上げて静止を伝えるが、手を俺へと向けて、俺を静止してきた。

 

 相対する大型の虎は更に身をかがめて、いまにもベルへと飛びかかりそうだが、瞬間移動かと思ってしまうくらいの移動で、ベルは距離を縮める。


 モンスターでも、目を丸くするんだな。

 急な接近に、驚きよりもポカンとしている。


 長く煌めく白髪を揺らしながら、ベルは視線を合わせるように屈み、鼻の部分に手を伸ばす。


「噛まれれば腕を持っていかれるぞ」

 俺の警告もお構いなしとばかりに、鼻筋部分を優しく撫でれば、自然とうなり声が止む。


「「「凄い!」」」

 三人して、ベルの行動に感嘆した。


「大丈夫だ。我々はここから立ち去る」

 語りかけてるけども。

 

 完全に警戒を解いたのか、鼻をスンスンといわせてベルの手の匂いを嗅げば、喉の方からゴロゴロと猫が安心している時と同じ音が聞こえてくる。

 ベルってそんな能力を持っているのだろうか?


「だから安心してくれ、お前の大切な存在にも手は出さない」

 大切な存在? 何のことだろうと思っていれば、


「ニ゛ャャャ――」

 と、子猫の鳴き声が濁ったような音が茂みから聞こえてきた。


「あらあら」

 おばさんみたいな発言をしてしまったが、茂みからは愛らしいのがヒョコヒョコと出てきた。

 

 子犬サイズのクリクリお目々で、まだまだ頼りない犬歯が、可愛さを加味している。

 

 爪先部分が大きくて、ぬいぐるみみたいである。

 プルプルと震えて、飼いたくなっちゃうね。


「コイツの赤ちゃんかな?」


「多分そうでしょう」

 コクリコも乙女である。可愛いものに琥珀色の瞳を輝かせている。


「は、はぁぁぁ」

 なにやらベルが変な声を上げている。

 コクリコ同様に、可愛いものの登場に興奮しているご様子。

 

 たまに覗かせる乙女モード。


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