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異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』  作者: FOX4
お久しぶりの王都
164/1922

PHASE-164【金色の虎】

 ――――デトックス効果が抜群の森に囲まれた中を歩くけども、村の事を考えると、そういう気分にはなれないよな。

 現在の天候だと、平和なら弁当を持って風光を楽しむって感じなんだけども。


 ――ガサリ、


「ん?」

 なんの音かな?

 ゲッコーさんが左腕を横に伸ばして止まれの合図。


 茂みの方で、草木が揺れる。

 

 木漏れ日はあるが、山道以外は手つかずの自然。

 奥の方は闇に支配されている。


「気を抜くな」

 立派な装飾で出来た護拳が付属した柄に、手を沿わせるベル。

 感知能力が高いベルが見せる動作。


 明らかにこちらに敵意のある存在が近づいて来ている証拠。

 でも、まだ抜剣をしないから半々なのかな?


 とにかく警戒は怠らない。


 腰のホルスターにあるマテバのグリップを右手で握り構える。

 

 日本にいた頃には考えられない、危機管理能力の向上である。

 

 こんな風に日々、緊張状態を保っていたなら、蝉に驚いて死ぬなんて事もなかったし、セラに馬鹿笑いされる事もなかったんだろうな。


「西部劇じゃないんだ。片手で撃とうとするなよ」

 と、渋く鋭い声で注意を受けた。

 危機感の中でも格好つけようとするところは、危機感を本気で受け止めていない証だと反省だ。

 

 ちゃんとホルスターから抜いて、両手でしっかりとグリップを握る。


「来ますよ」

 ワンドを構えるコクリコ。

 

 王都では、借りてきた猫みたいに大人しくて、いいところがなかったからか、誰よりも前に立つ。

 

 後衛の魔道師が立つ位置じゃない……。

 こいつにもお叱りを発してほしいですよ。ゲッコーさん。


 ――ガサガサと音を立てて、草木がうねり、それが俺たちが立つ山道へと近づいてくる。


 バッと、茂みから飛び出してきたのは、


「なんと美しい」

 小声で漏らすベル。

 言は正しい。

 

 金色の毛並みからなる虎が現れた。


「でかい虎だ!」

 ベルと違って、俺は美しさより、大きさを口に出す。

 

 そもそも虎を生で見た事ないから、大きさは分からないが、目の前のは間違いなくでかい。

 

 全長は五メートルくらいはある。

 

 上顎には犬歯と思われる二本の歯が、弧を描くように生えている。長さは一メートルはあるだろう。

 

 こいつは――、


「ゲッコーさん。サーベルタイガーですよ。絶滅した生き物を俺たちは見ています」


「だな……。凄い経験をさせてもらっている。いままでも凄かったけども。ファンタジー世界は俺たちに夢も与えてくれる」


「これは貴重です! このモンスターはケーニッヒス・ティーガーという、大型の希少なモンスターです!」


「「なに!?」」

 俺とゲッコーさんは、興奮するコクリコの説明にハモって返す。

 なんて素敵な名前なんだろうと、二人で顔を見合わせる。


「アハト・アハトですよ。そいつは素敵だ、大好きだ! ですよ」


「最後のは分からんが、お前の熱き思いは理解できる。前面装甲180㎜に、マイバッハHL230P30をヒーヒー言わせたエンジン泣かせの凄いやつ」

 ごめんなさい……。語末に進むのつれて興奮してますが、俺の知識では、そこまではついて行けません。

 

 俺以上に、女性陣二人は、熱く語るゲッコーさんをポカンとしながら見ている。


「グルゥゥゥゥゥゥゥ」

 典型的なうなり声を上げ、身を低くし、今にもこちらに躍りかかってきそうな勢いだ。

 名前に興奮している俺たちとは違った意味で興奮している。


 相手は野生のモンスター。日本にいた時の俺なら一目散に逃げてただろうが、ヒッポグリフやクラーケンを目にしてるからか、そこまで怖がっていないっていうね。

 

 胆力がついたもんだ。

 

 ケーニッヒス・ティーガーとの距離は二十メートルほど。

 結構、離れているけども、俊敏そうだから、一足飛びで目の前まで来るだろう。

 で、敵対行動となれば、長くて鋭い犬歯が、俺たちに見舞われるってところか。


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